第11話、ひっくりかえっちゃった
「もう少しで。スーパーハリケーンが来るぞ」
「避難潜水、用意」
「全隔壁、閉鎖」
「前部、後部マスト収納」
マストが後ろに倒れ、器具で固定される。
「|前後のアンカー下ろせ」
「沈めるぞ。もう一度、隔壁閉鎖を確認」
「タンクに注水」
「潜水せよ」
”文福茶釜”はその場でゆっくりと、海の中へ沈んで行った。
◆
メグミは、カオリ大尉と自分の部屋にいた。
「戦艦での、避難潜水は初めて?」
「はい」
「トイレは済ませた?」
「はい」
メグミはベットに横たわった。
脇とお腹と太ももを、太いベルトで固定される。
「艦は、水の中で基本動かないわ」
「でも横には回るの」
「き、聞いたことがあります」
心配そうな顔で、そっと嘔吐袋を渡される。
「吐くときは、窒息に気を付けてね」
「大体20分くらいだから、頑張って」
「・・・はい」
◆
「うひゃあああああ」
グリンと言う感じで、艦が、艦首、艦尾を軸に180度、横転する。
上下逆になっていた。
ベルトが外れると部屋の天井に落ちる。
「ひいいいいいいい」
元に戻った。
「もういっかいいい」
上下逆になった。
強者は、この状態で本を読むという。
毎回必ず、わざとベルトをせずに、壁や天井を、艦の回転に合わせて走る者が出るそうだ。
後で、ヒイラギ准尉が教えてくれた。
何度か、くるくる回った後
「な、何とか耐えた・・・」
吐かずに済んだようである。
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