第4話、タイタンホエール

 メグミは、飛行挺”水無月”を水柱の立っている方へ飛ばした。

 海面に白い筋を引きながら、低空で接近する。 


「あれだ」


 巨大な生物が、音響機雷に触れて水柱が上がる。


「ボエエエエエエエエエエエ」

 鳴き声が聞こえた。


「タイタンホエールッ」

「こんな浅瀬に」

「まだ小さい子供だ」

「群れからはぐれたか」


 全長約20メートルのクジラが、動くたびに音響機雷が爆発して水柱を上げた。

 更にタイタンホエールを混乱させる。



 海洋生物が巨大化したこの世界で、クジラも例にもれず巨大化していた。


 ”タイタンホエール”である。


  この個体はまだ子供で、大人になると軽く100メートルを超える。

 正に海の王者である。

 これまた100メートルを超える”皇帝大王イカ”との死闘は有名である。



 ”音響機雷群”を超えると、昔は陸地があった所であり一気に水深が浅くなる。

 所々ビルの屋上が海面に出ていた。


「うう。親は何してるの」

 浅瀬から離れた方に、誘導用(クジラの呼ぶ声?の音がする)のソノブイを投下する。

 飛空艇のフロート部の後ろから、投下された。

 タイタンホエールの子供に変化はない。


「こんなんじゃ無理か~」

「メーデー! メーデー!」

「こちら、日本海軍気象部所属飛空艇、”水無月”誰かこたえてっ」

「メーデー! メーデー!」


「こちら、日本陸軍所属、戦艦”文福茶釜ぶんぷくちゃがま”」

「どうしました」


「こたえたっ」

「浅瀬にタイタンホエールの子供が立ち往生してるの」


「分かりました。そちらへ向かいます」


 メグミは、目印のために照明弾を打ち上げた。

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