第4話、タイタンホエール
メグミは、飛行挺”水無月”を水柱の立っている方へ飛ばした。
海面に白い筋を引きながら、低空で接近する。
「あれだ」
巨大な生物が、音響機雷に触れて水柱が上がる。
「ボエエエエエエエエエエエ」
鳴き声が聞こえた。
「タイタンホエールッ」
「こんな浅瀬に」
「まだ小さい子供だ」
「群れからはぐれたか」
全長約20メートルのクジラが、動くたびに音響機雷が爆発して水柱を上げた。
更にタイタンホエールを混乱させる。
◆
海洋生物が巨大化したこの世界で、クジラも例にもれず巨大化していた。
”タイタンホエール”である。
この個体はまだ子供で、大人になると軽く100メートルを超える。
正に海の王者である。
これまた100メートルを超える”皇帝大王イカ”との死闘は有名である。
◆
”音響機雷群”を超えると、昔は陸地があった所であり一気に水深が浅くなる。
所々ビルの屋上が海面に出ていた。
「うう。親は何してるの」
浅瀬から離れた方に、誘導用(クジラの呼ぶ声?の音がする)のソノブイを投下する。
飛空艇のフロート部の後ろから、投下された。
タイタンホエールの子供に変化はない。
「こんなんじゃ無理か~」
「メーデー! メーデー!」
「こちら、日本海軍気象部所属飛空艇、”水無月”誰かこたえてっ」
「メーデー! メーデー!」
「こちら、日本陸軍所属、戦艦”
「どうしました」
「こたえたっ」
「浅瀬にタイタンホエールの子供が立ち往生してるの」
「分かりました。そちらへ向かいます」
メグミは、目印のために照明弾を打ち上げた。
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