第3話 マリーとその娘たち
そうは言ったもののデリルにもあてがある訳ではなかった。普通の武器屋で販売してた物なら何とかなるだろうが、竜殺しの剣は非売品である。
「ねぇ、マリーは覚えてないの? この剣どこで手に入れたか」
デリルはマリーに
「さぁ……。この剣ってどの辺りで使ってたかしら?」
マリーはボロボロの竜殺しの剣を眺めながらうーんと
「とりあえず見付かった訳ですし、上に上がりませんか?」
ネロは二人を促した。
「そうね、ジメジメして空気も悪いし……」
マリーが言うと、
「そうそう、こんなところに普通は刀剣なんて置かないわよね」
デリルは嫌味ったらしくネロに言った。
「は、はは……」
ネロは困ったように愛想笑いを浮かべて
「あっ! ネロくんだーっ!」
地下室の階段を上がってきたネロに突然、巨大な女性が抱きついた。
「むぐっ」
ネロの顔は爆乳に埋め尽くされてしまう。「ぶはっ! メ、メリーさん?」
ネロは爆乳から顔を上げて女性を見て言った。
「あはっ、覚えててくれたんだ。うれしい」
メリーはさらにぎゅっとネロを抱きしめる。メリーはマリーの二番目の娘である。三姉妹は大事に育てられ過ぎたのか、みなマリーと同じようにむっちりとした豊満な体型をしていた。
「ちょっと! 馴れ馴れしい
デリルがむっとしてメリーからネロを取り返す。
「あっ! あなたがデリルさんですか? 魔女なんですよね」
メリーが初対面のデリルを見て言う。「初めまして、メリーです」
「え? どうして私の事を知ってるの?」
デリルは不思議そうにメリーに尋ねる。
「以前、ネロくんとお泊りした時に色々聞きました」
メリーが綺麗なブルーの瞳で
「え、ええ。まぁ……」
ネロは以前、三姉妹と山奥の教会で会っていた。本当はその日のうちに下山するつもりだったがアクシデントで遅くなり、教会に一泊したのである。教会のシスターであるメリンダがなぜかネロを三姉妹と相部屋させたのだ。
「ああ、夏休みにボランティアに行ってた三姉妹の一人ね」
デリルは
「そうなんですよぉ。デリルさんから言ってやって下さいよぉ」
メリーはマリーを
それでもやはり年頃の娘には思うところがあるようで、もう少し自由が欲しいと感じているらしかった。
「メリー、何か言いたい事があるの?」
マリーがにっこりと笑ってメリーに言う。メリーはびくっとなって黙る。どうやらかなり厳しく
「まぁまぁ、ここはひとつ僕に免じて……」
なぜかネロが間を取り持つ。
「分かったわ、ネロくんに免じて許してあげるぅ」
マリーが
マリーは巻き舌でメリーに
「他の娘はどうしたの?」
デリルが尋ねると、
「リリー姉ちゃんは彼氏と旅行中なの」
メリーは
「へぇ、アベルくんと?」
デリルはうっかり口を
「え!? なんでアベルを知ってるんですかぁ?」
メリーが怖い物でも見るような顔でデリルを見る。
「あんたたちが教会に行っている時に遊びに来たのよ、デリルとネロくん」
マリーが助け舟を出す。「その時に偶然会ったの、三人と……」
「三人と? ニックとトムとも?」
ニックはメリーの彼氏で、トムは三女のサリーの彼氏である。偶然と言っているが実際にはマリーが三人を呼び出したのだ。娘たちがいないのをいい事にデリルとネロも混ぜて六人で楽しんだのはつい最近の事である。
「そ、そうね。みんな良い子たちだわね」
デリルは目を逸らしたままメリーに言った。ご
「で、サリーはどうしたの?」
マリーがメリーに尋ねる。そこにタイミングよくサリーが帰ってきた。
「ただいま。あっ、ネロくん!!」
メリーと同じリアクションでネロに抱きつくサリー。そして阿修羅のような顔で引き剥がすデリル。
「いい加減にしなさい! ネロくんは私の弟子なのよ!」
デリルはマリー、メリー、サリーをけん制する。弟子というのはちょっと弱い気もするが、デリルにとってネロはただの弟子ではない。それは何となくマリー一家も分かっていた。
「ねぇねぇ、ネロくん、今日は何しに来たの?」
サリーは不思議そうに尋ねる。
それを聞いてようやくデリルとネロは何をしに来たのか思い出した。
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