第8話 神の御業
背中に生えていた翼が全て抜け落ち、体が軽くなる。
頭上に浮いていた光輪は大きく膨れ上がり、頭の上から背中に場所を移す。
体の奥底から湧いてくるとめどない力と全能感。
なんでもできる。
そう断言できるほどの力を俺は感じていた。
「馬鹿、な……!?」
こいつらは天使だ、俺が変わったのは見た目だけじゃないと本能で分かっているはず。
「貴様が神だと……? そんなはずがない!」
「突然のことだ、信じられないのも分かる。だったらほら、かかってくるといい。神の力を見せてやろう」
「きさ、ま……!!」
光り輝く剣を手に、ミカエルが突進してくる。
今までで一番の速度だ。激昂しているせいでステータスも上がっているのだろうか。
まあただ……問題はない。
「神位魔法、
天から降り注ぐ光の奔流。
それはまっすぐにミカエルの体に命中し、彼女は為す術がなく地面に倒れる。
「が……あ……っ!」
抵抗することすら出来ず、彼女は地面に押し付けられ……気を失う。
たった一発。それだけで丈夫な
それほどの力が
「ふ、ふざけんじゃねえ! なんだその力は!! それじゃあ本当に神みたいじゃねえか!」
「落ち着けラファエル。ミカエルは油断しただけだ。あたしたちが同時にしかければ問題ない」
「ええ、ウリエルちゃんの言う通りよ。あんな魔法を使えばしばらくは強い技を使えないはず。今が勝機よ」
三人の天使はそう話すと、同時に攻めてくる。
確かに強力な魔法やスキルはそう簡単に連発できない。そう、神でもない限りは。
「
剣を横薙ぎに振るう。
ただそれだけで地面が裂け、天が割れた。
神速の一撃を天使たちは見切ることが出来ず、ラファエルは右腕を、ウリエルは左足を失う。
「があっ!?」
「つ……!」
痛みに顔を歪めながらも、二人は勢いを落とさず向かってくる。
引いても勝てないことを本能で理解したんだろう。
しかし向かってきても勝ち目はない。
つまり高威力の魔法を消費なしデメリットなしで連発できるのだ。
弱点はこの形態でいられるのは五分間だけという点のみ。他は非の打ち所のない完全チート形態だ。
「韋駄天風・轟!!」
接近してきたラファエルが、台風の如き勢いの風を拳にまとわせ、俺を殴る。
しかしその一撃もまるでダメージにはならない。俺がケロリとしているのを見て、ラファエルの顔に恐怖が浮かぶ。
「うそだろ……?」
「本当さ」
ラファエルの腹に手を当て、スキル〈
「が、あ……っ」
掌から放たれた超高威力の衝撃波をくらい、ラファエルは血を吐きながら地面に崩れ落ちる。
人間だったら塵一つ残らないほどの威力だ。やはり
「ウリエルちゃん! 今足を治すから!」
「ぐ……頼む……」
ラファエルの相手をしている間に、ガブリエルがウリエルの斬れた足を治していた。
「よくもミカちゃんとラファエルを……!」
「今度こそあたしの炎で燃やし尽くす!」
ガブリエルはこの神殿を覆い尽くすほどの水球を。
ウリエルはこの神殿を丸ごと焼き尽くすほどの炎球を生み出す。
「「くらえっ!!」」
赤と青の球体が俺めがけて発射される。
まるで二つの星が落っこちてくるみたいだ。
綺麗な光景だから名残惜しいけど……終わりにしよう。
「神位魔法、
握った拳の中にためた魔力を限界まで凝縮し……解き放つ。
ただそれだけで全てを破壊する波動が放たれ、万物を壊し尽くす。
その破壊の波動は熾天使たちの渾身の攻撃をたやすく討ち滅ぼし、その後ろにいた熾天使本人をも破壊する。
「きゃあああああ!!」
「があああああッ!!」
二人の天使の体は波動によって致命傷を負い、神殿に落下。ピクリとも動かなくなる。
こうして四人の熾天使は全員戦闘不能になった。
そして俺の『
「……ふう。それにしても疲れたな」
今にも落下するんじゃないかってほどボロボロになった神殿を見て、俺は呟くのだった。
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