白銀城はニ度輝く ～巨大浮遊城アジトごと転移した廃人プレイヤーは、異世界でも正義職ビルドを貫くようです～

第7話 準神《デミゴッド》

七剣騎士の英雄譚（セブンナイツ・オンライン）には職業（ジョブ）システムが有る。

　職業（ジョブ）には主要職業（メインジョブ）と副職業（ジョブ）の二種類があって、前者はレベル10、後者はレベル5まで上げることができる。

　このメインとサブの組み合わせで生まれるビルドの奥深さが七剣騎士の英雄譚（セブンナイツ・オンライン）の面白さだと俺は思っている。

　メインを更に強化できるサブにするのか、それともメインの弱点を補えるサブにするのか。正解はなくどれも一長一短で個性が出る。

　また職業（ジョブ）の中には副職業（サブジョブ）にしか設定できない珍しい職業（ジョブ）もある。

　俺は普段そんな珍しい職業（ジョブ）をサブに設定している。

　そしてその職業（ジョブ）は……白銀騎士団のみんなで取ったものなんだ。

　まだみんながギルドにいたころ開催されたイベント『準神（デミゴッド）降臨！』。

　これは突如七剣騎士の英雄譚（セブンナイツ・オンライン）の世界に現れた準神（デミゴッド）を倒すというかなり注目されたイベントだった。

　準神（デミゴッド）はその名前に負けない強さを持っており、たくさんのプレイヤーが塵にされ、数々の怨嗟の声が掲示板に書かれた。

　倒す方法の糸口すらつかめぬままイベント開催期間が終わりに近づき、諦めムードが漂った時、白銀騎士団は動いた。全団員、全装備、全アイテム。そして白銀城とその兵装全てを動員して準神（デミゴッド）に挑んだのだ。

　そしてまる二日間の死闘の末に、俺たちは準神（デミゴッド）の討伐に成功した。

　当然大量の報酬を俺たちは手にしてみんなで山分けしたのだが、その中に一つだけこんなアイテムがあった。

　『準神（デミゴッド）の魂』。

　それは準神（デミゴッド）という職業（ジョブ）を得ることができるアイテムだった。

　俺たちは興奮し、その説明文を読んだ。しかし準神（デミゴッド）の職業（ジョブ）はサブ限定の特殊職業（ジョブ）であり、レベル5までしか上げることができなかった。

　そしてレベル５だと対したスキルや魔法も使えない、いわゆるネタ職業（ジョブ）であった。

　とはいえこのアイテムは超レアだ。当然リーダーのあるかぷさんが使うと思ったが、あるかぷさんはこれを俺にくれた。

「準神（デミゴッド）にとどめを刺したのはお前だ。これはお前が持っておくべきだろう」

　そう言ってあるかぷさんはこれを俺に託した。

　そして託された俺はサブに準神（デミゴッド）を装備し、一番この職業（ジョブ）を活用できる方法を検証した。

　その結果見つけたのだ。

　この職業（ジョブ）をもっとも活かせる戦い方を――――

「スキル発動、職業置換（ジョブチェンジ）」

　そのスキルは、文字通り職業（ジョブ）を入れ替えるスキルだ。

　入れ替えるのは主要職業（メインジョブ）と副職業（サブジョブ）。つまり主要職業（メインジョブ）がレベル5になり、副職業（サブジョブ）がレベル10へと変化する。

　このスキルはまあ実践で使われることは少ない、いわゆるネタスキルだ。

　メイン剣士サブ魔法使いのキャラが、急にメイン魔法使いサブ剣士になってもちょっとびっくりするだけだ。それに職業（ジョブ）が変わっても装備までは変わらないので、メインが魔法になった瞬間、剣士用の装備は強制的に外されてしまう。

　このゲームでは職業（ジョブ）限定の武具が強いから、それは致命的だ。

　だがそんなネタスキルの活用法を、俺は見出した。

「聖騎士をサブへ――――」

　このスキルの効果時間は約五分。

　その間だけ俺は、

「準神（デミゴッド）をメインへ！」

　俺は、神になれる。