第38話



 江島はガルデスのいる司令官室でくつろがさせてもらっている。


「副長、スコッチは如何ですか」


「いえいえ、酒は夜にさせていただきますよ」


「面白い」


「え?」


「以前から思っていたのですけど、エジマ副長はイトカワ艦長と似ているところが少なからずありますね」


「そうでしょうか」


 と江島は最初に出されたコーヒーカップを片手に苦笑いしている。

そこへノックをして、一人の軍人が現れる。


「どうしたね?」


 と尋ねるガルデスに兵士が答える。


「最新の情報です。放射能汚染がアルゼンチンとブラジルに上陸、最北端地域では汚染濃度50%を越えたと測定器から定期報告が届きました」


「早いなぁ」


 と江島が答えると


「早すぎる」


 とガルデスが言う。


「乗組員全員に知らせてくれ、出航準備だ。出航予定は日を繰り上げて3日後だ」


「はい、出航予定3日後」


そう言うとウルグアイの兵士は部屋から出て行った。

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