第34話
巡航型潜水艦から厳重に蓋を閉めた小さなポットを持って一人の男が出て来る。
男はウルグアイ軍から借りた電動車で海軍病院へ向かった。
海軍病院に着くと真っ直ぐに糸川の部屋に向かった。
廊下を歩いていると糸川が前から現れた。
驚いたような顔をする糸川に声を掛ける。
「艦長」
「やぁ、これはこれは石田軍医殿ではありませんか」
「お久しぶりですね、艦を出てから会っていないように思います」
「そうですね、私もそう思いますよ。立ち話なんかより、病室に入りませんか」
「お子様は?」
「元気なものですよ、先程までキャッチボールをしていて、私は休憩がてらトイレに行って戻る途中です」
「御子息が目をお覚ましでおられるのなら申し訳ありませんが、この上の階にあるラウンジへ行きませんか」
糸川は不思議そうな顔をするが、
「よろしいですよ、でも、ラウンジというスペースがあるだけで、何も売ってませんよ」
「ええ、結構です。お渡ししたい物があるんです」
はて? と思う糸川だが、
「分かりました、行きましょう」
と答える。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます