第30話
池波航海長はカプロ海軍基地作戦会議室で海図を見ている。
至る所で起こった核爆発で地形も変わっており海の底も随分と変容しているであろうことと知りながら。
それでも、ウルグアイから南極までなら、世界で核爆発が起こるまでとあまり変わっていないであろうとも思っている。
そこへ、ノックもせずにガルデス司令官が現れる。
「やぁ、イケナミ航海長、我々の潜水艦の航路は決まりましたか」
「はい、ガルデス司令官。私としてもアルゼンチンを越えてからドレーク海峡に出るのが良いかと思います。ドレーク海峡から南極半島に向かう間にサウスシェトランド諸島で浮上、ボートで上陸、食糧になるような生き物がいれば捕獲。保存食以外の物を手に入れることができれば、と思っております」
「うん、お任せするよ。うちの潜水艦乗りとも十分に相談してくれると嬉しいね」
「勿論です。既に航海士全員で決めたところであります」
「それはいいね、それとだがね、司令官はやめてもらおう。この基地を出て行く身だからね。これからは艦長でいいよ」
「了解しました。ガルデス艦長」
「うん、艦の操舵はクラマにずっと乗っていたあなたにお任せするけど、うちの潜水艦乗りの面倒も見てやってくれたまえよ」
「了解です。カプロの航海士の訓練も怠りません」
「ありがとう、でも、そんなに堅苦しくならないでほしいものだね。戦争はもう起こらないんだ。軍も崩壊したと同じだから」
「ありがとうございます、ガルデス艦長」
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