第13話

13


 「こちら、くらま、カプロ海軍基地、どうぞ」


 通信士の矢作が応答を願っている。


「こちら、カプロ海軍基地、潜水艦くらま、どうぞ」


 やっと海軍基地と上陸の準備についての打ち合わせをすることが出来るようになった。

そして通信の終わりにカプロの通信士が伝える。


「糸川艦長へ、ガルデス大佐が隣にいますが、代わりましょうか」


それに応じて通信士矢作が無線をそのままにして艦長にお伺いを立てる。


「艦長どうします?」


 矢作が促すが、


「上陸したら会えるんだし、急ぐことはないよ」


 と伝えてくれ。


 糸川と矢作の会話はカプロ海軍基地の無線機から漏れている。

もちろん糸川と矢作もそのつもりで英語で内緒話のように喋っている。

一方、カプロ海軍基地の通信室では、


「ガルデス大佐、潜水艦の中では、あんなこと言ってますよ」


「これはまた、ご挨拶だね」


 とコーヒーを飲みながらガルデス大佐は答えると、手で首を切る仕草を見せる。

了解したと見せるように笑顔でカプロの通信士は無線機に語りかける。


「以上です、通信終わります」

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