第7話 あれから

Dr.Zにメールが届いた。

桜あんぱんの藤村咲からだ。


セッションの後、奇跡が起こって

旦那さんが、桜あんぱんをお土産に

持ち帰ったというメールは見た。

あのメールから、半年ぶりかな?

そんなことを考えながら

Dr.Zは、メールを開いた。




Dr.Z様


あれから、また、奇跡が起こり

私の忘れかけていた夢が今、叶いかけています。

学生時代の友人の結婚パーティーに

行ったら、なんと旦那様は、

桜あんぱんの営業担当。

お土産に桜あんぱんを大量にいただきました(笑)


その桜あんぱんを、学生時代の

友人3人と河原で食べたんです。

その時に、飲み物を友達が買ってきてくれて…

みんな、学生時代は、いつもカフェ・オ・レだったから今回もそれを。

だけど、飲んでみて、なんかしっくりこなくて。

すみません、細かい話です。

だけど、自分の好きなものを意識し始めたら、感覚が鋭くなってきたように思うし、それにともなって、

なんだか、自分で選ぶ、選んでいい

という思いが強くなってきたんです。


だから、結局、この時も

缶のブラックコーヒーを買い足しました。

友達からは、せっかく買ってきたのに

って文句言われたんですけど(笑)


ただ、ブラックコーヒーが桜あんぱんとすごくよく合って美味しくて

それで、私、他の子にもブラックコーヒーを奢って、一緒に食べてみて❗️って勧めました。

みんな、「ほんとだ、美味しいね。」みたいな感じで、結構軽く流されたんですけど、私としては、大発見で

大満足だったんです。


それで、帰ってからなんですけど

桜あんぱんと…

イタリアンコーヒーをブラックで

セットにして、会社のみんなにも

振舞いました。


そしたら、すごく好評で。

疲れが取れるとか

甘じょっぱい感じが桜餅風で

デザートみたいだけど

お昼ご飯がわりでもいけるとか

桜あんぱんとコーヒーという

組み合わせが和洋折衷でいいとか

いろいろ意見が飛び交って

職場が沸きました。


実は…

この時出したイタリアンコーヒー

うちの会社が、主力商品として

扱ってる輸入コーヒーなんです。


私は知らなかったんですが

コーヒーの宣伝を兼ねて

輸入コーヒーを飲み比べできるカフェを出す計画が水面下で進んでいたようなんです。


その日、イタリアンコーヒーを飲みながら、話が盛り上がったことを

カフェ建設プロジェクトメンバーが

聞きつけて、社長に報告したらしく


私は、社長に直々に呼ばれて

カフェ計画に加わってもらえないかと打診を受けました。


それで、思い出したんです。

私、昔、カフェをやってみたい

と思ってたことを。

「ぜひ、やらせてください」と

二つ返事でうけました。

社長からは、手当を弾むよ

と言ってもらえて、願ったり叶ったり。


早速、桜あんぱんをメニューに入れて欲しいと提案しました。

パフェとか、ケーキとかと一緒に

桜あんぱんが並ぶのを見てみたい。

とびきり、美味しく食べてもらえるように出し方にも工夫したい。

おじいちゃんおばあちゃんにも

和菓子のようなつもりで

食べてもらいたいんです。

ハーフサイズもいいかな、なんて。

カフェって、昔

コーヒー紅茶ジュースくらいしか

飲み物なかったけど

今では、抹茶ベースのものも

あるでしょう?

それだけ、カフェの世界観が

広がってる。

カフェでもっと

世界を広げてもらえたら…。

座って食べて飲むだけなのに

日本を味わったり🇯🇵

イタリアを味わったり🇮🇹

イギリスにワープしたり🇬🇧

考えただけで、楽しいじゃないですか。

アフタヌーンティーに負けてられませんよ。

そんなことをプレゼンしてたら

桜あんぱんを前面に出してくれるって❤️


今から仕入れの契約取るんですけど

学生時代の友達の旦那さんが桜あんぱんの営業担当だから、話もスムーズで。

仕事が速いって褒めらた上に…。


逆に、コーヒー売ってくださいって、頼まれちゃって。

先方も、コーヒーとセットにして

贈答用を売り出すらしいです。


コーヒーの契約は完全に

棚ぼたなんですけど、私の手柄になってて、今度のボーナス期待できそうです。


友達の旦那さんも

うちの会社との契約で桜あんぱん売り上げがトップになったらしくて

めちゃくちゃ感謝されました。

ウィンウィンの関係っていいですね。


私も、仕事が…

こんなに楽しいと思える仕事が

転職なしに味わえるなんて

半年前には、想像もできなかったから

何が起こったのかと驚いています。


幸せは、最初からそこにある

と聞いたことがあったけど

ほんとにそうかもしれません。


すべては、あのセッションから始まりました。

ほんとに感謝のしようがありません。

先日、カフェの名前も決まりました。


私の提案で…恥ずかしいんですけど


アンパーニュ桜🌸 と(*^^*)



「……うう。

アンパーニュ桜🌸…。」


ここまで読んで、Dr.Zは、

なんか、変な声が自分から発せられて

それにつられて笑ってしまった。

あんぱんだから、アンパーニュ?

ネーミングセンス…。



そして、再びメールを読み始めた。




お店の内装は、私のイメージでいいと

任されていて

今日も業者さんとの打ち合わせです。

とても、素敵なお店になりそうで

たのしみです。

カフェができたら

カフェの方に異動させてもらえることが決まっていて、それもたのしみの1つです。


開店したらご連絡しますので

ぜひいらしてくださいね。


それから、一つお願いが…。




Dr.Zは、最後まで読み終わると

自信の積立帳 と書いたノートに

「藤村咲 桜あんぱんのカフェ」

と、書き記した。


「何度、経験しても

ほんとに、不思議な現象。

私1人の経験では、こんなにたくさんの奇跡は味わえないからなあ。

心を研ぎ澄ますと、誰にでも同じようなことが起こる。

また、私の自信が積み重なる」


自信の積立帳を読み返しながら

Dr.Zは、深呼吸した。
















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