第11話 朝の乱

 目が覚めたときに何より違和感を肌が感じとった。ほっぺが痛いではないか!手を当てると血が固まってる感触もある!

 違和感はまだある。胸から下に何か巻きついてる?てか何かいる!絶対いる!恐る恐る捲ればそこにはなんと角が生えた少女がこちら見ているではないか。

「え゛お゛!?!」

 女子高生から出るはずのない声。笑う鬼。到底ご機嫌な目覚めとは言えないが、遅刻が発覚したときより眠気が吹き飛んだよありがとう。

 頬の傷。これは匂いを嗅いだときに角でザクっといったからだそうだ。深くはないけど跡にならないのこれ?

「いつ小学校に来ればいいか。聞いてなかったよね。灯火」

 なにか忘れてると思ったらそれか。彼らとの連絡の手段がそう言えばなにもない。電話番号くらい聞くべきだったか。

「ごめんね昨日すごい眠くて。…いやっていうかなんでうちいんの!?」

 当然の疑問が思い出した。住所教えてないはず。

「もう一身同体なんだからここは僕のうちだよ」

 怪異こわ。契約こわ。

「いつでも学校きてだってさ」

 紗弥は私の部屋を探検しながらそう続けた。いつでもか…今日は日曜で休みだし朝から行ってもいいかもしれない。

「ちょっ!そこは!」

 クローゼットも探索し始める紗弥を止める。乙女には見られたくないものだってあるんだから。

「何があるの?」

「いや、まあ服ばっかだけどその、大分散らかってて…。それよりお腹空いてない?朝ご飯食べる?」

 なんとか意識を反らしたい…ご飯に食いつけ少女!年齢わかんないけど食べ盛りの頃合いでしょう!?

「ほんと!」

「おっけおっけ用意するから任せて!」

 誰かの為に朝食を用意するときが来るとは。でも妹ができたみたいで少し嬉しいと思ってる自分もいる。準備してる間に彼女にはテレビでも見て待ってもらおう。

 手順としては先ず、米を炊く→シャワーを済ませる→上がったら昨日解凍した銀鮭を焼き上げる→サラダはブロッコリーとキャベツにマヨネーズ→味噌汁は時間がかかるから鶏ガラ顆粒だしで卵スープ。全部用意できる頃に炊飯完了で作成成功だ。そろそろ昨日の汗を流したいと思ってたところだ。

 シャワーには十五分ほど時間をかけた。そしてそもそもこれが過ちだった。バスタオルを巻いたまま部屋を確認する。そこには丁度、クローゼットの探索を終えてニヤニヤした小鬼がいるではないか。

「あ…」

 間に合わなかったのだ。

「灯火。ハードなんだね」

 そこからは記憶が曖昧で、朝食を食べてる最中にも紗弥に追及される始末であった。

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