第10話 私と

 話すのは好き。でも馴れ馴れしいのは好きじゃない。人間は皆が平等に『違う』のだから、距離感はなにより大事だ。『友達』とはその境界を許し信じてくれる存在だと私は思ってる。点の繋がりは境界に伸び、いつしかそれは線となり人の信頼に結実してゆく。目に見えない繋がりだからこそ証拠は無く、信用に反故があれば苛烈な争いに発展する。

「信じてたのに」「裏切られた」と、信じていた分その反動は強く生じる。

 その点、私の友人が提唱する『丁度良いかんじ』に習うとした場合。私にとっての丁度良いはクラスメイトみたいなかんじなのだろう。取り立てて遊びに行くことまでは無くとも、どうでもいい話を軽く振れたり、必要があらば一緒に勉強したりチームを作ってリレーやったり。そんな『競う』ことはあれ『争う』ことのない多数の存在が私には心地よく、快適に思えるのだ。でもちょっとくらいは親友も欲しいなって。そう思うから。


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