第5話 面接
曰く、三神さんの属する妖怪退治組織は東京各地にあるという。なんと一応公務員の枠組みだとか。
そんな裏なのか公なのかよく分からない組織、我が地区の担当役場は小学校にあった。
「着いたよ」
「ここ母校です!」
「おやおやこれも縁かな?」
久しぶりに来た我が母校である萌華小学校。こんな用事で来るとは誰が予想出来ようか。てかそんな役場みたいなのあった?
「もちろん地下だよ?」
「あ~さすがに」
これで職員室なら拍子抜けだったけどなぁ。
相当な重量はありそうな下駄箱を三神さんは片手で引くなり、階段が出現した。秘密基地だ!と少しテンションが上がってるけどよく見たら普通に真っ暗で怖い。
手を引かれ階段を降りるとそこには防火扉のような重厚な扉があった。
「…ここですか」
「もう連絡はしてあるから開けてくれよ」
いつの間に。そんな会話をしてるうちにギィッと重い音を立てながら扉が開いた。
まず目に飛び込んだのは『職場』だった。役所の窓口の向こう側。忙しそうにpcに入力する少数の職員が見える。
「本当に公務員さんなんですね…!」
「そう。皆頑張って働いてるよ。あ!そう言えばすぐ面接あるから覚悟してね」
え?え?面接?そう混乱したとき、こちらに中年の男性が足を引きずりながらゆっくり歩いてた。
「あーどうもどうも!三神隊長お久しぶりです!」
「三年ぶりですね久保さん」
二人は知り合いっぽいようだ。
「…そう言えば穢れの方は回復したと聞きましたが?」
「例の事件からですよ。怪我の巧妙ってやつです」
唐突に意味深な会話をし始めた。私がますます場違いに思えてきたところで久保という男性はこっちを向いた。
「お話の方は伺っておりますよ!すぐに段取りするんでそこの部屋で待ってて下さいね!」
「アっはい!」
不意に声を掛けられて裏返ってしまった。
「自然体でいけばなんとでもなるよ!頑張りな!」
「なんとか頑張ります!」
ここまでトントン拍子で来てるけど大丈夫だろうか?頭を埋める疑問を一度払拭して面接とやらに挑まねば。
そして案内されたのは校長室みたいな、そういう偉い人が使ってそうな部屋だった。こういうときは来客用のソファに座ればいいっぽいのだろうか。
まもなくして先ほどの久保という男性が部屋に来た。
「お待たせしました!ではまず私の自己紹介から!」
向かいに座るといよいよ面接が始まった。…さっきから思ってたけど声デカイなこの人
「東京都駆妖局第一課立川市担当、久保陽介と申します!本日はよろしくお願いいたします!」
改めて聞くとなんとも組織感がある名前だなぁ。
「あっ稗田灯火と申します!よろしくお願いします!」
あって言っちゃった!
「ではまずですね。稗田さんは霊感はお持ちですか?」
さすがに妖怪退治してる組織だけあって凄い質問だ。普通の面接なら最早聞き返すとこだ。
「いえ特には…あんまり考えたこともないです…」
「ふんふん…では次に運動は得意ですか?」
苦手である。これから改善していきたいね。
「普通くらいかと思います!」
見栄を張ってしまった!?
「ほうほう…では次に」
久保さんの目付きが鋭くなった。それだけ空気が重くのしかかってくるような感じがした。何を質問されるかなんとなく…そういうことを聞かれるのだろうと身構えた。
「稗田さん…友達を殺せますか?」
「え」
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