勇者

 …やってしまった。


「う、ぐっ…」


 目の前に死にかけの美少女がいる。


 血の匂いが凄いがそうも言ってられない。


 取り敢えず生活魔術の緊急回復レスキューヒールに有り余る魔力を注ぎ込んで傷を治す。


 この魔術は魔力があり死んでなければどんな怪我だろうと治すが燃費が死ぬほど悪い。


 これでも結構な数の魔物と眷属契約してるのにかなり使う。


 あくまで緊急と言う事だろう。


 ……


「う〜ん…ここは?」


 目が覚めたようだ。


 取り敢えず気絶している間に浄化クリーンをかけておいたのでもう血や汚れは消えている。


「えっと、君は…」


 喋ってる途中で急に武装した少女が固まる。


 なぜか顔を青くして震え始めた。


 俺の後ろを見ている様だが。


 後ろには兎しかいない。


 如何かしたのか…


「いや如何かって、すぐ後ろにマグナムラビットのむれがいるじゃん‼︎」


 この兎はマグナムラビットって言うのか。


 …少し違うな言語翻訳が俺の知識の中で一番近い言葉に変換しているらしい。


 納得だが…


 一番近い言葉が大型拳銃って如何なんだ。


 いやまあ、確かに俺も心の中では弾兎だなんて読んでたけど。


 それにしても…


 マグナムラビットにびびってたらボス兎に会ったら気絶するんじゃないか。


「ボスっ!ボスってまさか、レールガンラビット⁉︎」


 多分そいつ。


「う、嘘」


 マグナムラビットはバレーボールくらいのサイズなのだが。


 ボス兎は一回りくらい小さい、それと跳躍するときに電気をバチバチと発生させながら衝撃波を放ちつつ直線上を融解させながらはねるのだ。


「確実にそれだよっ‼︎」


 ここの樹々は異様に燃えにくいので別にいいが。


 偶に雷でも降って来たかとびっくりする。


「えぇ…」


 そんな反応されても。


 取り敢えず少女を観察する。


 直感曰く同い年くらいらしいが、身長は平均より一回り小さく感じる。


 それに反して胸はギリギリ違和感がないレベルで爆乳である、巨乳じゃなくて爆乳だ。


「うぅ、何でそんなに僕の胸を凝視するの?」


 僕っ子らしい。


 割とありだ。


 肌は粉雪の様に白く、童顔。


 目と髪の色は透き通る様な綺麗な水色だ。


 直感曰く、よく手入れもされてるらしい。


 あまり詳しくないので抽象的な意見になるが髪型は…


 ぱっと見は少し癖のあるショートカット…よく創作でボーイッシュキャラがしている感じのあれである。


 ただ、腰元まである後ろ髪を腕一本ぐらいに編み込んでるのも見えるので実は長髪らしい。


 あれは三つ編みなんだろうか?


 装備はソシャゲにありがちな急所は辛うじて守ってる感じのフリフリしてるドレスみたいな鎧。


 魔術でも付与されてるのかもしれない。


 持っている剣は一言で言うならば聖剣だろうか。


 あくまで見た目はだが。


 総評は某牛乳ミルク工場ファクトリーなエロゲに出て来そうな美少女と言ったところか。


 で、誰なんだ?


「今っ⁉︎…ま、まあいいや。」


 少女が急にキリッとする。


「えへんっ!…僕はアルカディア王国の勇者ユーキ・ソル・ライトだよっ‼︎」


 なるほど?取り敢えず呼び方はゆーちゃんでいっか。


 勇者だし。


「それだけっ⁈」


 ゆーちゃんは可愛いドヤ顔から何故か唖然としてた。

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