After
しばらく経つと聞きなれた声が聞こえる。「お待たせ。あんた派手にやり過ぎ。掃除大変だったんだけど?」苛立ちを見せるフランを眺めながら荷物をまとめるのを手伝う。
「今日は調子がよかったもので、ついやってしまいました。」
「はぁ、あんたいつも同じこと言ってるし調子悪いときなんて無いじゃない。」キャリーケースを引いて帰路に着く。仕事を終えた僕らは横並びで歩く。
「そういや、あの子はどうしたの?」突然の質問に驚く。あの子は誰のことだろう。
「あの子とは誰のことでしょうか。」
「ローブ羽織ってた子よ。私には見え無かったけどいたでしょ?」全て分かっていたみたい。言い逃れはしない方が僕のためかな。
「ええと、元の世界へ先程帰りました。あと、連れ込んでしまい申し訳無いです。興味に理性が負けてしまった罰はしっかりと受けます。」
「あら、もう帰ったの?お父様に言えば罰があるのよね。…ケーキ6個で黙ってあげる。口止め料よ。」フランは口止め料を払った後の口の固さは誰にも負けないと思う。
「ケーキとはピースですよね?まさかホールとは言わないですよね?」フランはしっかりと、いやちゃっかりとしているからちゃんと言質とらないと駄目なんだよね。それで何回痛い目に遭わされたか。
「え?ピースで良いわよ。そんなに一度に食べられないもの。あ、でも6個のうち1個はホールでよろしくね。」この時間はほとんどの店が閉まっているけどいつ買いに行くのさ。
「ねぇ、明日仕事休みよね?」
「はい。夜は趣味でやってるバイトが入ってますが日中は休みです。」
「じゃあ、明日ケーキ買いに行きましょ?」
「えぇ、喜んで。」足音が夜に溶けていく。
異世界の暗殺者 花園眠莉 @0726
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