アラサー無職の俺の部屋に、異世界返りの幼なじみが女子高生としてやってきた。しかも俺も若返らせてしまったので、これから一緒に『イチャラブ』学園生活を送ります
イベント4 異世界帰りの幼なじみと部活見学するらしい。やめろ、そんなに激しくやると服が破けるだろ! ②
イベント4 異世界帰りの幼なじみと部活見学するらしい。やめろ、そんなに激しくやると服が破けるだろ! ②
校内の見学を一通り終えると、俺たちは部室棟へと移動した。
「でも、お二人とも本当に仲がいいんですね」
場所は運動部の更衣室前の廊下。
梢は着替えに手間取っているのか、まだ更衣室から姿を現さない。
「
「あーいや、仲良しというか、腐れ縁というか、奇縁というか……とにかく一緒につるむようになったのはつい最近の話だな」
というか、昨日からである。
「あら、そうなんですか? 部活巡りまで彼女の希望にお応えするぐらいなので、わたくし、やっぱりお二人が……」
踏み込みすぎたと思ったのか、長谷はそこで口を閉ざした。
にぶい俺にも、さすがに彼女がなにを言わんとしているのかは、わかった。
「そういうのじゃない。ただ、あいつには昔、世話になってね。その恩を返したいんだよ」
「へえ……」
梢は20年前、俺の身代わりで異世界に転移した。
本来あいつが得るはずだった、ごく普通の青春を取り戻させてあげたい。
…………なんてことを言っても伝わるはずないので、代わりに俺は別の話題をふる。
「で、さっき言ってた、俺に言わなければならないことって?」
「あ………そのことなのですけど……」
ふいに長谷は口ごもり、大きな目をついっとそらせた。
俺は直感的に察する。
――この表情と、どこかよそよそしい態度は、ちょいちょい職場で経験したやつだ。伝えたくないけど、伝えねばならないことを口にする時の挙動――
「せ、せっかくクラスメイトになったのに、こういうことを言いたくないんですけど――」
案の定、彼女の口からそんな言葉が飛び出してきた。意を決したのか、まっすぐ俺の目を見つめ、言い放つ。
「木島君たちは非常識だと思います。朝から制服で、屋外プレイをするなんて!」
「――――――は?」
なに屋外プレイって? どういうこと???
「たしかに、『野外』『女子校生』『ノーパン』はファン座のジャンルにもある定番シチュエーションです。でも、私たちは高校生ですよ? もし人に見つかって学校に通報されたらどうするんですか!?」
急に早口になって、まくしたてる長谷。
彼女は当惑する俺を置き去りにして、眼鏡をきらりと反射させ、さらに言い募る。
「なにより、いまからマニアックなシチュエーションに頼るのは、よくないです。ふつうのプレイでは満足できず、男性が機能しなくなる可能性があります」
「そのなによりの使い方あってる!?」
思わずつっこむ俺。
「ちょっと勘違いしてるみたいだけど、俺たちは別にそういうことをしていたわけじゃないからね?」
「え? そうなんですか!?」
彼女は心底おどろいた顔になる。
「でも、それならなんでノーパンで塀の上に立っていたんです?」
「それは俺にもわからん」
無人の廊下で顔を見合わせる俺たち。
そのとき、更衣室の扉が、がちゃりと開いた。
「待たせてすまない。ちょっとロッカーの場所が…………どうした?」
部屋から現れた梢が怪訝そうな目を向け、言葉を切る。
俺と長谷の間に流れる、なんともいえない空気を察したらしい。
ふいに、彼女はハッと目を見開いた。
「まさか貴殿ら、
「おまえが言うな!!」
「あなたが言わないでください!!」
ほぼ同時に、叫ぶ俺たち。
「違うならいい」
梢は腕を組んで
……なんか部活見学する前から疲れた。
「ところで、おまえはなんでそんな格好をしてるんだ?」
俺は気を改めて梢に尋ねた。
更衣室から出てきたというのに、彼女はまだ制服姿のままだ。
ただし、さきほどまではいていたミニスカートではなく、丈の長い、ちょうど一昔前のスケバン風のロングスカートにはき替えている。
他に変わった点と言えば、右手に金属の大きなやかんを持ち、髪をポニーテールにしていることだが……
「あきらかにこれから運動する格好じゃねえだろ」
「ああ、これか? 私はこれでいいんだ。たーくんにはジャージに着替えてもらう必要があるが」
「俺だけ?」
「そう」
梢はこくりと頷くと、おもむろに懐から羊皮紙を取り出した。
そこには例の彼女の手になる、稚拙な絵が描かれている。
「……いや、悪いんだけど、さすがに今回のやつはわかんねえや。ちょっと前衛的過ぎて…」
言葉を選んでいう俺。
「これは運動をする男子とそれを見守る女の子を描いた絵ですね」
横からのぞきこんでいた長谷が告げる。
「すげえな、なにが描いてあるかわかるんか」
「ええ。わたくし、ボランティア活動で、よく幼児のお世話をさせていただくことがありますので」
さりげなく画力をディスるが、梢は気にした風もなく、自ら解説を始める。
「そう、運動部で汗を流す少年とそれを陰から応援する女子マネージャーの図だ」
「てことは、おまえさんは運動部のマネージャーをやりたいのか?」
「その通り。そして、私がマネージャーをする部には、当然たーくんも入ってもらう。そうでなければ、意味がないからな」
なにがそうでなければ意味がないのかはわからんが、とりあえず俺だけジャージに着替えさせた意味は理解できた。
「ということで、さっそくグラウンドに行こう!」
いつものむっつり面を微かに上気させて、梢は告げる。
どうやら、彼女なりにわくわくしているみたいだが……。
こいつにマネージャーなんか務まるのかなぁ、と俺はそこはかとない不安を禁じ得ないのだった。
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