第1話3/3
「エリカ!」
急いで駆け寄る。
少し遅かった……
でも、まだ間に合うかもしれない。
その場に倒れ込んだエリカを急いで箱に押し込み、扉を閉めた。
ある機械を起動させ、身体中を検査する。
「良かった、大丈夫そうだ。」
数値を見るには、しばらくすれば安定化しそうだ。
しかし、体内に蓄積されたものは毒だ。
それを取り除かなければならない。
それは体を透過し、体内に残留する。
仕組みは不明だ。
ただ、幸い解毒薬はできている。
「過去何人と死んだ人に感謝だな…」
それは、いくつもの犠牲の上にできている。
過去あったあの事件以来、ほぼ1度も使われなかった薬剤だ。
注射器を取り出し、薬剤を込める。
それを静脈に注射した。
「ほんと厄介だな、これが無いと血を吐くまで症状に気が付かないなんて。」
と警報装置を叩く。
そして、自分にも打つ。
エリカは目を開けない。
首に手を当てる。
まだ、優しい温かさだ。
毎秒毎秒指を伝って、鼓動を感じる。
「あいつ、何してんだろうな。」
そんな独り言を呟いた。
……
……
公園で独り、缶コーヒーを飲んで座り込んでいる。
警察は、何度もそこを通るがもう見慣れた様子だった。
だが、警戒はしており。
いつでも捕まえてやるような目をしている。
「はぁ、これどうしよう。」
カバンの中を覗き込む。
そこには、火薬式の旧型拳銃が入っている。
それに、警察は気がついていないようだ。
そりゃそうだ、こんなの分かるはずない。
みんなバカなんだから。
「ははっ、何してんだろうな。」
拳銃をしまい、外から気が付かないか見てみる。
大丈夫そうだ。
「よしっ」
何かを決意して、ゆっくりと立ち上がる。
「あいつらを迎えに行こう。」
もう何も残っていないのに。
そんなことを思った。
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