第13章 鍛錬で強くなる警察業!
愛香が洞窟探検から帰って次の日。学校の都合で部活動が無かった愛香は一番に異少課に来ていた
愛香は学校が終わって警察署に来るとすぐ、 石山さんのいる部屋へと行った
「石山さん。あの、やりたいことがあるんですけど」
「やりたいことって、俺に頼むってことは異少課関係だと思うけど、で、なんだ?話なら聞いてやる。やるかは別の問題だけど」
「異少課の5人で鍛錬したいんです。そのための手伝いしてくれませんか?」
愛香は前回の洞窟で酷い目にあった。洞窟では敵が命を取ることを目的としてなかったので事なきを得たが、普通だと負けたらそこで終わりである。負けないようにするために、鍛錬が必要だと思った。
「…無理だ。鍛錬の手伝いと言っても、俺はそんなの専門じゃない。俺はただの任務の指示をする上司だ。現場のことまでは分からん。」
「そうですか…」
石山さんは戦闘タイプではなく事務タイプ。そんな人からの教えなど全くもって意味がないことを石山さんは悟っていた。
「だが、鍛錬自体は大事だ。俺が手伝いができるやつ探して連絡しとく。それで、1日呼んで、鍛錬のメニューやらを決めてもらうしるか。それでいいか?ちなみに、それを自主的にやるという前提だ。」
「はい!」
久しぶりに石山さんが仕事していたのが見えた。最近石山さんが仕事していたシーンがなさすぎる。
その後、愛香が部屋から出ていき、石山さんは頼む人を考えた。
「あんなこと言ったけど、正直誰に頼めばいいんだ?」
少し経ってとりあえず一人思いついた。純である。
彼女は探偵。考える力が高い。だから何とかなるんじゃないかという淡い期待をした。
そうと決まればすぐ電話した。
「もしもし。どちら様ですか?」
「俺だ、石山だ。」
それから少しは本題とは関係ないことを話していた
「それで本題なんだが、あいつら5人の鍛錬をしてくれないか?メニューとかを考えるだけでいい。」
「…できるだけがんばりますけど、難しそうです。私は5人と知り合いではありますが、ちゃんと知っているかと言われるとあんまりです。情報が少ないので、何をすればいいのか思いつけないと思います。それに、私は戦闘とは関係ないですし」
純が来てくれることにはなったが、まだもうひとり必要そうだ。でもそんな人いるか?
石山さんは机の上に置かれていた書類を見返した。そこで、二人目に頼む人を決めた。
「まあ彼女でいいかな。正直な話彼女とは会ったことはないけど、あいつらとはスポーツ大会であったっぽいし、まあなんとかなるだろ。」
その彼女へ頼むため、とあるところに電話をかけた。
「お、准じゃないか。どうした?お前がここに連絡するなんて珍しいな。どうしたんだ?」
「光坂先輩、お久しぶりです。それで、お話というか頼みがあるんですが、自分のところの子が鍛錬したいと言い出したんです。でも、自分知識がないので鍛錬について指導することはできないんです。それで、そちらに能力審査の力を持つ子がいらっしゃいますよね。その子に手伝って貰えないかなと。」
「南のことだな。オッケー。他でもないお前の頼みだ。頼んどくよ。」
「ありがとうございます。それで日にちについて…」
電話の相手は光坂茜という人。彼女は石山さんの昔の先輩である。
昔は一緒に働いていたが、引っ越して今は新潟県の異少課の上司として働いている。
そして話に出てきた能力審査の力を持つ子。それは新潟県異少課の南菊花のことである。
彼女の力は人々の様々な情報を知ることができるので、手伝ってもらおうとしたのだ。
それからも長い間電話をしていた。途中までは鍛錬関係の話だったが、途中からはそれぞれの日常などを話していた。
「あ、もうこんな時間。それじゃあ、頼んどくから。バイバイ。」
そうして電話は切れた。
場所は変わって新潟県異少課。さっきまで石山さんと電話をしていた光坂さんは、頼み事をしに彼女の元を訪れていた。
「南、富山県の異少課から頼まれたんよ。南に鍛錬手伝ってくれないかって。能力審査の力で調べてほしいんだって。どうする?行くか行かないか決めてくれない?」
そのことを聞いてすぐに隣にいた彼、東松木が答えた。
「ふざけてるのか?そんなお嬢様になんの得もないところになぜ行かなければならない?お嬢様の時間は有限。1秒たりとも無駄にできないのだ。断る」
「ちょっと待って松木。私は行きたいな。得にもならないけど、損になるわけでもないんだし。それに確実にあの5人には特になるから。」
「ですが…」
お嬢様の言葉に言葉が出てこなくなった松木に、西蓮葉は言った。
「松木、そのへんにしときな。菊花お嬢様がやりたいと言ってるんや。それを勝手に阻害させるなんて、あいつらと同じや。」
「…そうですね。分かりましたお嬢様。先程は無礼な態度を取ってしまい申し訳ありません。」
「そんな無礼だなんて。私は松木のことも蓮葉のことも一度も悪く思ったことないんだから。やめてよそんなこと。」
「とにかく、行くってことで返事しとくから。それでいいよな。」
「はい。大丈夫です。」
その返事を聞いて、光坂さんは電話でそのことを伝えた。
「准。快く引き受けてくれたぞ。ほんとにいい子達だよ。いつまでも一緒にいたいぐらいだよ。」
「ありがとうございました。先輩」
「…という訳なんです。5人で鍛錬しませんか?」
一方その頃、異少課の部屋に5人が揃っていたので、愛香は頼み込んでいた
「鍛錬か…確かに今まで感覚でやっていたけど、感覚だけで何とかなるわけないし、鍛錬は必要だな」
「でも魔族って鍛錬する必要あんまりない気がするんだよな。なんか昔見た本だと、何かをしないと能力が伸びないって書いてあった気がするんだよな。まあ何かはわからないんだが、どっちにしろ、鍛錬するべきかと言われれば微妙だな。」
それなら仕方ない。5人でやろうと思ってたけど凪さんと繁はしないっぽい
「いやでも、とりあえずやるだけやってみたいな。それで合ってなかったらやめりゃいいだけだし」
「繁がやるなら俺もやる」
相変わらず凪さんは妹に甘い。繁が言うなら世界征服でも何でもしそうな勢いだった。
繁が結構まともで良かった。まともな繁が変なことはやらないでしょう
「もちろん師匠がやるなら俺もやる。ついでに師匠…俺にもっと教えて下さいよー」
「ちょっと近い近い!」
今日も平和でした
「あ、やってくれる人見つけておいたぞ」
「ありがとうございます。石山さん。」
「あれ、石山さんがちゃんと仕事してるなんて珍しいな。」
「酷いな」
石山さんや愛香に言われた鍛錬の日になった。朝九時にはとりあえず5人とも集まっていた
なお場所は警察署の前の広場である。
「じゃあ、今回手伝ってくれる人達紹介するな。来ていいぞ」
奥の茂みから4人が来た
「…4人も頼んでないんだが。2人にしか頼んでないんだが。どうして?」
石山さんが混乱している。どういうことかイマイチ状況がつかめなかった。
「てか、手伝ってくれる人達全員知り合いだな」
「まあ、そんなに自己紹介をする必要もないと思うけど名前ぐらいはするか?私は山井純。そしてなぜか着いてきたこいつが川崎恋だ。」
「私は南菊花。そして隣にいるのが、東松木。でも東は見守るだけらしいからあんまり気にしないでね」
えーっと…今までの状況から推測すると、山井さんと南さんに頼んだら、なぜか川崎さんと東さんが追加で来たってことなのか。
「というか恋はなんで着いてきたんだ…私は頼まれたことを言ったけど、恋は行く必要ないと伝えたよな…」
「何言ってるんですか。純様は今日は鍛錬方法などを教えるんですよね。」
「まあそうだが」
「見たいじゃないですか。純様が教えるところ」
「…はい?」
「松木、私は一人でできるって」
「いや、お嬢様の見の安全を守る義務が私にはあるのです。それに、私が個人的にお嬢様のご活躍するところが見たいのです!」
「ごめん。どういうこと?」
なんか川崎さんと東さん似てるな…色々な意味で
てか言ってることがほぼ同じ。口調とかが違うだけで同じなんだよな
まあどっちも他人には分からないけど深い関わりがあるのだろうし、きっとこういうのも正常(?)なんだろうな
「とりあえず、東は悪いけどここにいるのはちょっと…少し離れた場所で見ててくれない?」
「分かりました。お嬢様」
「恋、ここにいると邪魔だからあっちにいっとけ。」
「見てもいいと言うことですねありがとうございます純様!」
話が進まんので、おまけでついてきた2人が離れた場所に追いやられた。全然関係ない話になってたからな。
俺たち5人全員が置いてけぼりくらっていたし。
「とりあえずよろしくおねがいします。」
「あ、はい。」
というわけでようやく鍛練が始まるみたいです。
「ではとりあえず情報調べますね。それ以外まあ私にできること無いんですけど」
「そんなこと無いですよ。お嬢様はどんなこともすることができる全知全能のお方なのですから!」
遠くにいた東さんが大声を出してきた
「松木、お願いだから静かにしてくれないか。」
「はい。」
「それで私がそれから鍛錬の方法を考える手はずにはなっているけど、正直な話そこまで分からないから。戦いに関してはあんまり分からないから」
「とりあえず調べますね。ああ、その間は何してても大丈夫ですよ。あと、基本的に関係のないことは調べないようにしますが、私の能力審査の力は一つの画面に複数の情報が一度に出るので、その際見られたくない情報も見られてしまうかもしれません。それでもいいですか」
「じゃあ戦闘に対する適性とかを調べてくれないか。」
それから少し経ち、5人全員のことを調べ終わったそうだ。
(魔族って書いてあったけど…まあそんなに問題なさそうなのかな。性格は優しいとやら書いてあったし。)
調べるとき、まず最初に出る画面に名前やら種族やら職業やらの基礎情報が出てくる。そのときに、たまたま繁と凪が魔族であることがバレてしまっていた。
でも、わざわざ言う必要もないと考えてくれたので、特に問題は起きなかった。南さんが魔族なら何でもぶち殺す勢だったらかなりやばいことになっていた。
「それで適性は、それぞれ、攻撃・撹乱・守備・補助回復・攻撃と出てきました。でも、これは大雑把すぎてあんまり使えないような気がします。」
「うーん…まあ、そうだな。他になんか使えそうな情報ないのか?」
「あ、能力的な適性で調べてみると、持久力・俊敏性・持久力・巧緻性(巧みに動作を行う能力)・集中力と出てきました。」
「おおっ。ほぼ全員自分の武器の力と適性がマッチしてるな。これなら鍛錬のメニューをなんとか作れそうだ。ありがとな。」
なんかこの二人少し仲良くなってる?気のせいかもだけど、なんだかそんな気がする。
「それで鍛錬方法考えてはみるけど、とりあえず集中力ならまあ何とかなると思う。銃を使うんだったから、遠くの的を狙いうちするのを毎日繰り返せば、自ずと集中力もあがる。実践でも遠距離攻撃は当てにくくなるからな、当てる特訓もかねてだ。」
「次に俊敏性。反復横跳びとかやってみたらいいと思う。勿論武器使うのなし…いや、無しバージョンとそれのみバージョンの2パターンやってみろ。短時間で瞬間移動を連発できるようになるのも大事だ。」
「あとは…ちょっと考えさせてくれ。そもそも肉体的な話は苦手なんだ。」
すでに方法を言われた二人はすぐに準備に取り掛かった。と言っても繁はここで銃をぶっ放すわけには行かないので、そこらへんにいた動く人を銃でずっと追いかけていた。いつでも貫くことはできるといっているようだった。まあ、弾は流石に抜いていたけど
「じゃあ、残りも説明する。」
鍛錬内容考えついたらしい。
「巧緻性と言っても君の仕事は薬作るのが主だろ。それなら薬作ればいいんじゃないか?薬師が物理的に戦うなんて聞いたことない。」
「持久力は長距離ランニングとかがある。一応持久力はつくぞ。だけど正直な話、2人共武器の力を上げつつがいいと思う。だから、なんとか考えた。電磁の力は長い間電磁の力で電化製品を動かせ。空気球は何回もそれを打て。こういうのは単純な鍛錬が一番役に立つ。」
言われたとおりに鍛錬を始めた。電化製品を動かし続けること。…暇だ。
一応ついているのだと思うけど、本当に暇だ。自分には体を動かす方が似合っている。
だからって鍛錬をやめてはいけない。このことにより力がつくのならするのが常識だ。
他の鍛錬として電磁で動いている相手を痺れさせるような鍛錬など、数個ほど鍛錬を考えてもらった。
そんなこんなで正午へとなった。
「わざわざ弁当作ってくれたんだ凪。ありがとう。」
「いやいや、俺は料理好きだからね。弁当ぐらい作るさ」
凪が作ってきていた弁当を食べていた。凪が5人分弁当を作ってきてくれた。凪料理人としてやっていっても変なことがなければ成功できると思う。
ちなみに教師役の人達は探偵の方達は一旦帰って、新潟県の方達はそっち側で弁当の用意をしていた。
「お嬢様やはり大丈夫なのですか?お嬢様。このままでは今日という一日を無駄に過ごしてしまいます。時間は有限だというのに、ここにいてもよろしいのですか?それに、お嬢様は武器の力を使うだけ。そんなに必要な仕事をしているというわけではないのですから、もう帰ってしまっても良いと思います。」
新潟県の二人が話していた。
「いいよいいよ。時間はまだたっぷりあるんだから。それに帰っていいとはまだ言われてないんだから、勝手に帰っちゃだめだと思ってね。」
「分かりました。お嬢様。お嬢様のおっしゃられるとおりでございます。」
一方その頃、探偵事務所では
「純様。午後も見に行っていいですか?」
「いやそんなわけ…いや待てよ。いいぞ。」
「まあ純様が断っても行くのですgえー!?いいんですか?」
「それより私に拒否権無いのならなぜ聞いた」
「形式的なやつですよ。それより見に行っていいんですね。」
「まあ、仕事はしてもらうがな。」
「…あ、はい分かりました。」
「頼めるか?それしてくれるなら見に来てもいいことにしておく」
「勿論です!純様のご命令とあらば」
本当に恋は良いやつだな…私は褒められるようなもんじゃないのに、それでも私のことを慕ってくれる…
そもそも身分的には恋は大金持ちのお嬢様。私より断然上。
そして直感とかで私に着いてきてくれたからな。あのときはうざったらしかったけど、今になってはあのときの判断は間違ってなかったと思う。
恋はちょっと変わってるけど良いやつだ。
「そう、懐かしいな…」
純は9ヶ月前、恋が助手へとなった日を懐かしんだ。
9ヶ月前、純は探偵事務所で一人で過ごしていた。
コツコツ。
「あ、入ってください。」
ドアから高校生と思われる女子が入ってくる。
「それで、依頼は何ですか?」
「依頼…と言えば依頼ではあるんですけど、違うと言えば違うんです。あの…純さんでしたよね。先の事件ではお世話になりました。」
先の事件…ああ、そういやあの事件で少しだけ彼女と会ってた気がする。
「いやいや、私は何もできてませんから。結果もあれだったわけなんですし……」
「それで、あの…お願いなんですけど、私をここで働かせてもらえないでしょうか?」
「えーっと……私の稼ぎじゃ雇うのは無理だからちゃっと」
「あ、いや、あの…給料目当てではないんです。説明しますね。私は川崎恋と言います。私の生まれた川崎家では、高校生になったら卒業まで働くよう教えられているんです。それで、ここで働かせて貰おうかなと。」
「と言われても…」
まあ事情はわかったけど、だからって雇うかは別問題。
「ところで、なんでここに?もっといい場所は沢山あっただろ?」
「あ、いやあの…この前の事件で、格好良く推理をするあなたに惹かれたんです。あとどこに行こうか悩んでいたとき。直感がここにすればいいと言ってきたので」
…ここまでを聞いた感じ悪い人ではなさそう。今は一人でもなんとかできているけど、人が増えるに越したことはないか。リスクはあるけど、リターンもある
「じゃあ、いいけど。」
「あ、ありがとうございます。今から純様と呼んでもいいですよね?」
「は?様はなくていいから。」
「いいや、様付きで言いたいんです私が!」
その日から、静かな毎日が騒がしくなった
「純様、どうかしました?」
「いや、過去を思い出してただけだ。」
山井さんがこの場所に戻ってきた。
予定まで残り5分。
「あ、そういえばあれ頼んどいた方が良さそうだな」
その後山井さんは、警察署内にいる石山さんの元へと向かった。
「どこか行かれるんですか?私もお供しますね。」
恋も一緒に来た。来る必要は無いんだけど。ま、言っても聞かなそうだけど
「石山さんのとこ。午後の鍛錬できるか聞いておいたほうがいいからな」
「あ~確かにあれをここでやるのはちょっと難しいところがありますよね。通行人な見られたら結構面倒くさいことになりそうですし。」
そんなこんなで石山さんの部屋へとやって来た
「あ。おお。山井か。どうかしたか?」
「すみません。午後の鍛錬で………してもいいですか?」
「あ、良いよ良いよ。」
軽いな。
「本当に大丈夫ですか?」
「まあ大丈夫やろ。」
大丈夫じゃない人の言葉なんだよなそれは…
「では。」
「あ、ちょっと待って。」
帰ろうとしたところで呼び止められた。
「どうかしました?」
「あーいや、山井じゃなくて川崎。こっち来てくれないか。少し気になることがあってな。」
「あ、はい。」
恋に用事なんて珍しいな。まあ私には言えないような話なのか?
ま、それなら詮索する必要はない。
「で、何です?」
「川崎って山井のこと好きなの?」
「好きですよ!大大大好きですよ!純様は私が尊敬するお方なのですから。純様にはいつも世話になってるんです。好きにならないわけ無いじゃないですか!」
っと…つい熱くなっちゃってた。
でも純様は優しいし。私を変えてくれた存在なんだ。
純様と会えた事自体奇跡。会えなかったら、私は全然違っただろうな…
「まあそれは分かってるんだけどそうじゃなくて…あの…恋愛的な意味で。」
ゴホッゴホッ。
急な質問に思わずむせてしまった。
「れ、恋愛!いやむ、無理です無理です!私が男ならともかく私は純様と同じく女子。同性なんだから無理です!恋愛なんて感じちゃだめなんですよ!」
「分かった分かった。じゃあな」
石山さんがあんなこと言うから…純様が頭から離れられない…
「終わったか」
「ひゃあ!」
純様を直視出来なかった。
「じゃあ予定の時間になったから鍛錬再開するな。午後からは実戦訓練だ。恋。」
「ひゃっ、はい!純様!」
「どうかしたか?」
(やばい心臓がバクバクいってる。さっきの事のせいで〜。落ち着け落ち着け私。)
「あ、ダダ大丈夫です純様。」
「…そうか?まあ本人が言っているんだからそうなんだろうけど。で、恋。こっち来てくれ。」
恋は足がカクカクになりながらもその場へと行った。正確には最初のほうはめちゃくちゃカクカクしていたが、時間が経つに連れそれも取れてきた。さっき起きたことを無理やり忘れたみたい。
「それで、恋と5人で戦ってみろ。恋はこれでも戦闘できる方だ。鍛錬にはもってこいだろう。あ、でもどっちにも言えるけど気絶程度で済ませろよ。殺ったりしたら洒落にならん。」
「戦うって5対1ですけど大丈夫ですか?」
「だって恋が勝ったら鍛錬にならんだろ。これぐらいでいいんだよ。でも流石にあれとも言えるよな…そっちの2人のうちどっちか戦うの手伝ってくれないか?5対2ならまあぐらいな気がする。ちなみに私は戦闘には関係ないから無理だ。」
そこら辺で長い間休んでいた新潟県異少課の2人を呼んだ。審査したあとずっと何もしていなかったが、ようやく出番が来たのだ。
「私は偵察ならできますけど戦うのは2人にかなり任せていたので戦うのはちょっと…松木はどう?」
「お嬢様のご命令とあらば。」
東は戦う意志を表明した。
「あ、じゃあ作戦でも考えといて。10分後からスタートね。」
ということで年上の二人と戦うことになった。
「どうする?」
「2人共強いよね多分。新と愛香は見てないけど川崎さんは俺達が負けた敵に一人で勝ったから。」
「あのときのか。」
夢の事件の時のことである。
「新潟県の東さんの方は?」
「うーん…強さに関しては何も聞いてないよね。」
「とりあえず、情報をまとめておこう。」
東さんが強いかに関しては誰も知らない。強さを目の当たりにしたこともないので当たり前。スポーツ大会の時しか会ってないからわかるわけ無い
だからそのことは一旦置いておいて、二人の情報を集めることにした
情報は作戦を考える上で非常に重要である
「川崎さんの武器は槍で、力はよく分からないんですけど、多分一定時間能力を上げる的な、そんな力だったと思います。でもそれを使って少しすると反動で倒れてしまうというものだったはずです。」
となると最後の切り札的なやつか
「東さんはワープゲート作る能力だったよね?」
「確かそうだったはず。」
東さんの能力は愛香の瞬間移動と似ている。愛香の瞬間移動強いから、苦戦を強いられそう。
「とにかく、川崎さんの力使ったときの攻撃でなるべくやられないようにすることが最善かも。30秒間の強化モードがどれくらい強化されるのかは分からないけど。」
「でも逆に言えば、川崎さんの方からしてもあまりそれ使いたく無いだろうな。最後の切り札を初手で使うなんてそんな確実性のないことをやるとは思えない。」
探偵の助手という戦いとはあまり関係なさそうな仕事をやっているけど、3人が倒せなかった敵を倒したということは戦いに慣れている可能性が高い
「まあそういうことだな。」
一方、もう一つ陣地では
「とりあえず自己紹介する?私は川崎恋。武器の力を使うと30秒間ステータスが大幅にUPする。」
「私は菊花お嬢様の執事の東です。お嬢様のご命令に従いこの任務を遂行致します。」
命令してない
「お、おぉ…まあでもそれは置いといて、さっきまで見ていた感じ君ってあのお嬢様と思われる彼女のこと大事に思ってるんでしょ。」
「思われるってなんですか?あの方は正真正銘のお嬢様です!」
面倒くさいな
「ごめんね。私も憧れている純様をめちゃくちゃ思ってるからその気持ち分かるんだよね。いいと思うよ私は。」
「なるほど。そういうことですか。あなたは蓮葉とは違って止めないだけでなく肯定してくれるとは。まあ少しぐらい仲良くはなれそうですね。」
ツッコミがいないとこうなってしまうのだ。誰も止めることはできない。
2人は予定の時間まで色々と話していた
「終了。それでは両チーム場所に着いて〜」
あの後も新達は作戦を考えてはいたが、結局これといった作戦は出てこなかった。
3人が川崎さんの戦闘シーンを1回見ただけ。これだけで今回使える作戦は流石に思いつかなかった。情報がなさすぎだ。
「始め!」
始まりを示す音が鳴った。
「そういや彼女って…え?本当に?気のせいじゃなくて?本当だ。こんなこと実際にあるなんて…どうしよう?誰かに言う?いや…でも…」
鍛錬の戦いが始まろうとしていた頃、菊花は気になったことを調べていて、そしてすごく驚いていた。
「え…本当?でも、本当なんだよね。」
今まで能力審査で出てきた情報は全て嘘偽りの無かった。だからこそ、余計に混乱していた。
「これは…どうするべきなんだろう。見て見ぬふりはできなさそう。からといって…うーん…」
彼女は誰のどんな情報を知ったのか。このときには彼女以外誰も知らなかった。誰にも言えぬことを抱えてしまったのだった。
「さ、本気できていいよ。私何故か体かなり丈夫だから、そっとやちょっとのことで死なないから。その代わり、こっちもちゃんとやるからね。」
川崎さんは武器を取り出して牽制していた。
相手の様子を見ようとしたのか、どちらの陣営も攻撃を仕掛けようとはしなかった。ただ立って相手の動きを観察していた。
「これにこれを入れて…」
ただ一人、凪を除いて。
凪は薬を早くから作っていた。相手のことなどお構いなくで作り始めていた。
「駄目、そんなことされたら私困っちゃうんだ。」
「お兄ちゃん!」
川崎さんが薬を作っていた凪を攻撃した。すぐに繁が弾を撃って逃げたが、作っていた薬は駄目になってしまった。
「この後ろに!守りに関しては俺は一番ですよこの中では!」
「やっぱり、回復役から倒すのはRPGの基本だよね。」
川崎さんはこちらの武器の力を知っている。情報をうまく活かしながら戦うつもりだ
「これは…きつい戦いになりそうだな。」
というのも、今回戦うのは二人。全員で一人と戦うことはできない
初期位置の問題で、半ば強制的に翔・凪・繁が川崎さんを、そして俺と愛香が東さんを相手にすることになった。
「電磁で動きを封じて…」
電磁でとりあえず痺れさせる作戦。作戦と言っていいものかは微妙。
電磁の攻撃をした。そうすると東さんは無言でワープゲートを自分の前に作った。
「え?ああ…これ強くね?」
俺は気がついた。ゲートを通ると別のゲートから出てくるということは、自分の前に置いている以上前からのすべての攻撃が当たらなくなる。遠距離を打とうが走って攻めに行こうがゲートをくぐることになるので相手にまともに攻撃を与えられなかった。
「私はお嬢様の執事。お嬢様の命令に必ず従います。」
だから命令してない。
「愛香!危ない!」
「は、はい!?」
愛香の横にゲートが出来ていた。そしてその中からメリケンサックを持った東さんがやってきた。
俺の声で間一髪愛香が瞬間移動して事なきを得た。
「避けられたか。」
強い。確実にそう思った。
「と言っても、遠距離攻撃はきついな…」
恋と戦う相手には繁、つまり遠距離攻撃のプロがいる。遠くから一方的にやれる遠距離は強い。
かと言って、翔が攻撃を防いでいた。恋の力は基本的に戦いで一度限りの技。あんまり早く使うことはできず、通常攻撃しか出来ていなかった。
「繁、このまま押しきれそうか?」
「今の所は出来そうだけれど…」
凪は翔が守って繁が狙撃している間、ただひたすらに薬を作っていた。
「回復薬を作っておかねば…」
今回は翔の盾の後ろで隠れながら作っていた。
「つまり盾さえ無ければ何とかなるということか。まあ上手くいくか分からないけどやってみよっかな。切り札使うにはまだ早い。」
「ちょっ…この…」
恋は弾を避けることを目的としてか徐々に近づきながら3人がいるところを中心とした円を描くように動く。要するに渦巻の形に動いたのだ。
繁に取ってこの戦法は厄介だった。というのも銃で狙おうにも標準が定まらないのである。自分自身を何回も回転させるひつようがあった。この銃はあまり連射はできないので、一発に集中したいのだが、それができなくなった。
「はぁー…着いた。」
盾を持つ翔の目の前まで来た。そこで地面を蹴って一気に今までの回転とは逆方向に移動した。「一人目。」
同じ方向に移動すると思ってその方向に向きを変えた翔と、恋の位置関係が垂直になった。
その一瞬、その一瞬で盾を持つ翔の腕を突いた。
「もうどこだよ。」
東さんはゲートを何個も出して置けるらしい。実際各県にあるゲートが東さんが出したものなので本当は対戦前に知ることもできたが、そのことを失念していた。考えが及ばなかった。
「分かりません…」
戦う際何度もゲートを出しているが、それを片付けなかったため、戦場はゲートだらけになっていた。もう相手がどこにいるか場所が分からん
「えーっと…ここに行って…いやここは前にも来ましたね。違うってことか…」
ゲート一つに付き出口は一つと決まっているが、その出口がどれかを試す以外で知る方法はなかった。そのせいもあって訳わからんことになっていた。
「ようやく見つけた。」
松木は新達の後ろにいる。そのことに新達は気がついていなかった。小声でガッツポーズをしていた。
「いまなら…」
メリケンサックを武器に後ろにいた新を攻撃した、
「痛っ…そこか!」
新が振り回した剣にあたってしまった。とっさのことで上手く避けれなかった
「グッ…」
「翔!大丈夫か?今薬を渡しに…」
凪はさっきまで作っていた薬を渡しに行きたかったが、行けなかった。
というのも、恋が翔のところにいたのだ。基本的に薬を作らないと戦う手段を持たない凪がそこまで行くのは不可能だった。
仕方なく、恋から離れた。繁も同じように離れた。
「やっぱりガチでやるから楽しいのかな。あんまり私は戦わないけど、なんかそんな気がする。」
「狙撃で何とか…ってまさかそんなことされるなんて…」
「これやっちゃ駄目ってルールはないよ。実際の戦闘でもよくあることだったはず。慣れておいたほうがいいと思ってね。」
恋は倒れた翔から盾を奪い取ってそれを装備して戦いに出た。力の空気球はやり方が分からず恋には使えなかったのだが、盾としてだけで優秀になっていた。
異世界からの盾は現実のよりべらぼうに強い。繁の魔弾ですらも盾で防いで無効化した。
「とはいっても、片手で槍、もう片方で盾持つのは普通にやりづらいな…」
恋はそんなことを思っていたが、凪達との戦いでは些細なことだった。
繁の弾を簡単に盾で防いでいた。
「意外と何とかなるもんなんだな。初めて盾使うんだけど。」
恋は知らないものでも何かすぐに使い方が分かる。要領がいいというやつだった。
「くっ…まぐれ当たりだろうに…」
後ろから攻撃されたから新は本能的に攻撃しただけである。まぐれ当たりと言われればまぐれ当たりだった。
「一旦逃げるか。ここまでは追ってこないだろうし。」
東さんはゲートへと入った。いくつかのゲートを経由してかなり遠くまで逃げた。
「次はどこから来るんだ…愛香。探すより向こうから来るのを待ったほうが良さそうな気がする。」
「はい。分かりました。」
このゲート迷宮を作ったのが東さんだ。全部は覚えてない可能性がかなりあるが、作った以上一部は覚えていると思う。
そんなところで探しにあるき回るのは愚策だと感じた。探しているときは相手の攻撃に集中できず、不意打ちを喰らう可能性だってあった。
「そこか!」
目の前にゲートが出てきた。東さんが作ったのだろう。
そこから東さんは来るだろうから、愛香と俺はそのゲートに集中していた。
「えーっと…ゲートを作って…いや二人共警戒してるな…作戦変えるか。」
バレないように近づく、そこで倒す。卑怯だと言われるだろうが構わない。お嬢様の命令なのだから!
「あの盾こんなに強かったんだ…」
繁は戦いながら思っていた。繁の攻撃は一撃一撃が強い攻撃なのにそれを無効化しているのだから。
「繁、これを!」
「分かったお兄ちゃん。」
凪が渡したのは一時的に身体能力を上げる薬。一時的とはいえ、この戦闘中ぐらいなら長引かなければ戦闘中ずっと効果がつくものだった。
身体能力はそれなりに上がるので、結構重宝するのである。
「何かは分からないけど、あれまずいな…でも時間的には止めに行くのは無理そうか。もう渡っているんだし。先に止めときゃよかったな…こういう薬は強いものが多いんだよ。」
恋は最初薬が渡るのを阻止しようとしたが、距離的に考えていまから行っても間に合わないと考え、仕方なく断念した。
「おぉ…身体が火照ってくる…なんか強くなってるような気がする…」
「ホッ…良かった。ちゃんと効いたっぽいな…」
凪は心の中でホッとしていた。繁に副作用が起きなかったからだろうか。
「長引かせるより、短期決戦狙ったほうがいいな。あの子がいる限り、これはジリ貧になる。」
あの子とは薬を作る凪のこと。凪は攻撃はできないがバフや回復ができる以上、長期戦になるとこっちが不利になると考えたのである。
「ここから佳境に入りそう。」
恋は地面を蹴って走って二人の場へと向かった。
「そこだな!」
「うわっ!危なかった…」
東さんはメリケンサックを持って攻撃してきた。愛香を狙ったのだが、運良く愛香が動いたのでかすった程度でとどまった。
だが、避けたときに足をひねって頭を打ってしまった。血が出ているわけではないが、気を失ってはいた。
「おりゃー!」
「危ないな…剣に対抗するのは難しいんだよ。」
新が攻撃してきたが、東さんはぶつぶつ言いながらもメリケンサックで剣の攻撃を防いでいた。
普通に考えてメリケンサックで剣を防ぐのはありえない。メリケンサックはそこまで大きくないから、それで全て防げるわけはないのである。
だが、東さんは腕と手を巧みに動かし、様々な方向から切りかかった数発の剣をすべて防いでいた。
「ならこれで…」
電磁の力で無理矢理動けなくさせた。電磁の力さまさまである。
「くっ…」
これは勝ったな。
剣で打ち倒すその時だった。
「ゲートを作って…まだやられはしない。」
盾としてゲートを作った。そしてそれだけではなく、電磁で動けない身体を無理に動かしてゲートの中に入れて、そのゲートを消して逃げた。
「逃げられたか。てか愛香大丈夫か?」
「あ、神代先輩。大丈夫ですちょっと気を失っていただけなので」
なら良かった。
「きついきついきつい…」
繁と凪は攻撃してくる恋から逃げ回っている。さっきまでと違って彼女は一心不乱に攻撃してきて、逃げるしかなかった。
翔の盾や新の剣のように攻撃を防ぐことができるものは持ってない。繁の銃で防ぐのはまあ無理だろうし、凪の薬研はできるわけがない。
何とか高い身体能力でジャンプしたり走ったりして逃げていた。
「でも…このままじゃジリ貧だな…」
「お兄ちゃん…でもこの状態で攻撃は無理だよ…」
繁の銃は撃ちたいときに即座に撃てるものではない。標準を合わせる必要がある。そして、逃げながら標準を合わせるのは無茶だ。
「ジャンプ状態からなら…あ、無理だこれ。」
「逃げ切れないよね。障害物がある場所ではないし。」
二人は常に何とかならないか話していた。
「もう仕方ない。やるきゃっない。お兄ちゃん。お願い。」
繁は逃げるのを止めて標準を定め始めた。恋は今一心不乱に突撃してきているが、そのため盾は装備してない。なら攻撃当たるのではと思ったのである。
「さあ、戦うか」
時間がないので凪が少しでも時間稼ぎすることになった。まあほんの少しだけだけど、その時間があったおかげで勝てる確率は0ではない。
「瞬間移動で場所探しますね。」
「…いました。あそこの奥です。」
愛香は近くに瞬間移動して相手が今どこにいるのかを調べた。
「はぁっ…何なんだよあれ…急に痺れたんだけど…」
少し離れた場所で東さんは休憩していたっぽい。愛香に見られていることに気が付かずに。
「電磁の力で何とかならないかな」
さっき逃げられたのは近くにゲートがあったからだから、ゲートから離れている今なら簡単に倒せるんじゃないかという発想。
休憩中を襲うのはなんか卑怯な気もするけど、これは鍛錬だし、いいよね多分。
「で、そこにいるんでしょ」
!バレた…
音を消してここまで来たんだけどな…流石としか言いようがない。
「休憩も終わったし、最後の戦いでもやるか。」
さっきまでと同じようにゲートを自分の前に置き攻撃を封じる。
「瞬間移動で行ってみます。」
「てやぁ!」
「はいはい。」
愛香は瞬間移動でゲートの裏側に移動した。そして攻撃を加え始めたが、また軽くあしらわれた。
「ぐっ…」
メリケンサックの攻撃を腰にくらってしまった。愛香はさっき気を失っていたのもあり、体力にもギリギリだった。
「愛香…」
その様子を音だけ新は聞いていた。
「凍れ!」
魔弾の力で繁が周りを凍てつかせる。恋の動きを封じることが目的だ。
「氷かな?」
だが足を動かしていたことにより足自体を凍らせて動けなくすることは無理だった。
だが、それは重々承知の上だった。
「って…滑る滑る滑る〜!動きづらい!」
繁にとってはこっちの方が目的だった。氷の上で自由自在に行動するのは慣れないと無理。そしてこの状態ですぐ慣れるとは思えない。
慣れるまでに倒せばいいんだ。
「ほいっ。薬だ。飲むと集中力が上がるやつ。」
凪が渡したのはさっき自分自身が作った薬だ。
「ありがとうお兄ちゃん。この一発にかける。」
「何とか…やっtうわっ!」
滑って少し遠くに行ってしまったので、方向を急転換しようとしたが、その際に足を滑らしてこけてしまった。
「おりゃぁぁ!」
繁は一発撃った。それは狙った場所に当たった。
「はは。やられちゃった。でも楽しかったよ。この槍を使うことも最近はなかったからね。」
こちらの試合は凪繁と翔の勝ちで終わった。
「愛香。やられちゃったか。」
「まあそうなりますね。では1対1の戦いを始めましょうか。」
ゲートの裏へ行ける場所を探して2人が戦っている場所まで行けた。しかし俺が着いた頃には、すでに愛香はやられていた。
カンッ!
メリケンサックで相手側から攻撃してきた。
「どうせさっきと同じことをされるなら、それをされる前に倒せばいいだけ!」
「くっ…速い…」
先程と同じように電磁でなにかしようとしたのだが、攻撃が多くて電磁を出せるほど頭が回らない。
「痛っ…」
攻撃もかなりくらっている。剣で全て防げるほど現実は甘くない。
勿論こっち側からも攻撃しようとしたはしたけど、メリケンサックの猛攻で攻撃が防がれた。
「ならこれで!」
タイミングを見計らって後ろ向きに跳ぶ、そして少し離れた。
「ここで電磁の力!」
攻撃をくらっていないのなら電磁が使えるほど頭が回る。
電磁は見事ヒットして、痺れて動けなくなった。すぐ近くに逃げられるような扉はない。
「くそっ!」
「これで終わり。」
最後の攻撃を入れ、なんとか東さんを倒した。
こっちも、鍛錬の相手に勝てた。
「…凄かったな…色々と…あの…鍛錬なのに…なんかガチでやってたし…」
今回の鍛錬。どちらも勝つことができた。翔凪繁の3人の方はどうなっていたのか知らなかったけど、勝っていたみたいだ。
「じゃあ、これで今日は終わりとするか。」
時間には4時半を過ぎていた。上空を見渡すと、夕焼け空がひろがっていた。
「もうこんな時間なんだ。」
結構長い間戦っていたみたいだ。戦いに夢中で気がつかなかったけど。
あの戦い中に天気を見る余裕なんてない。
「午後のはともかく、午前中のは毎日やらないと身につかんからな。一回やればすべてが身につくほどこの世界は甘くないぞ。」
もちろん。そんなことはうすうす気がついていた。こういうタイプのものはコツコツやることが大事だと思っていた。
「じゃあ、解散でいっか?」
「いいと思う。」
「なら。よし恋、帰るぞ。」
鍛錬が終わったあと、俺達5人はいつもの異少課の部屋へと戻っていた。
「はぁ…きついなこれ…」
凪はたいそう疲れていた。
「そういえば、凪はあのときも最初は嫌がってたよな…ほら、スポーツ大会のとき。」
「ああ、やっぱ俺に運動はきついって…」
まあ回復役的なところあるし、実戦でもあまり運動する必要はないな。
「みなさんありがとうございます。私がやりたかった鍛錬に付き合ってもらって」
「いいよいいよ。俺達確かに最近はしばしば負けることあったしな」
ここで戦闘力を上げることは必然だった。むしろ愛香には感謝したいぐらいだ。勿論。鍛錬のために来てくれた新潟県の二人や探偵の二人にも。
「じゃあ、もっとやらないとな。師匠。今からもう一回やりませんか?」
「え?今から?」
早いよね。早すぎるよね。そこまで頻繁にはやる必要はないと思うけれど。
「あ、繁。そういやもうちょっとでスーパーのタイムセール始まるから着いてきてくれない?お一人様につき卵1パック無料なんだよ。」
「あ、いいよお兄ちゃん。それじゃあ、また明日。」
「え?ちょっと待って…」
この状況で置いてかないで!
「師匠。やりましょうよ!」
「助けて愛香…」
周りを見渡したが、愛香はいなかった。
「愛香ー!」
このとき愛香は遅めのおやつを食べようと、近くの抹茶菓子店へと行っていた。
「誰か助けて…」
このあと、かなりの間翔に誘われる羽目になったのであった…
「なら。よし恋、帰るぞ。」
鍛錬の講師的な何かの仕事は終わり、私は恋と帰ろうとしていた。
あの子達も部屋へと戻っていた。解散でいいだろう。
今日中に学校の課題を終わらせたいと言う気持ちがあったので、早めに帰ろうとしていた。
「あ、あの!」
と思っていたら、南さん…だったかな?そんな感じの名前の人に呼び止められた。
「あのすみません。お二人とこの後ちょっとだけ話したいことがあるんです。いいですか?」
「?いいけど…」
「お嬢様?どうかしたのですか?」
「東、悪いけどこっちで人には聞かれたくない話があるから、松木は私が松木のところに行くまで離れていてくれない?」
「は。お嬢様のご命令とあらばなんなりと。」
そんなに大事な話を?
「それで単刀直入に聞きます。山井さんって……ですよね?」
私の顔が一瞬で青ざめた。こればかりは人には知られてはいけないことなのに。なんで知ってるんだ。
「いや〜何の話?」
落ち着け、ポーカーフェイスを保て私。この子の勘違いって可能性…ほぼないけどそれにかけるしかない。
「すみません。さっき実は…私が見ちゃったんです。私の情報を見ることができる力で…それで見えちゃったんです。本当はそんなことを調べようとしていたわけではなく、ただどんな人なのか人物像を確認したかったんですけど…」
これ終わったな。勘違いという線が一瞬で消えた。
ここまでなのか…
「純様。どうします?私的には衝撃を与えて記憶を消したほうがいいと思います。」
恋…
「あ、いやそのことは誰にも言わないです。気になって色々と見ちゃったんです。それで、そのことについて色々分かったんです。このことを知ると…同情してしまって…過去に起きたことやその秘密を知ってもなお助手を続けるあなたのことも知ったんです。」
言わないか…信用できるか?信用したいはしたいけど…会った当日に信じるのはどうも無理だ。
「じゃあ、何をしようとするんだ?流石にそれを知って何もしないというわけではないだろ?それならわざわざ伝えに来る必要もないんだし。」
金か?金を揺すろうとでも?
「お願いします。私のやりたいことのお手伝いをしてほしいんです。」
私は彼女は私達に依頼をした。
もちろんその依頼を受けるつもりだ。。そのことをすれば黙ってくれるならお安い御用だ。
それに、同情しちゃったし。依頼の際に教えてくれた彼女のことに。彼女が依頼をするきっかけとなったことを。
「恋、私は受けようと思うが、恋はどうだ?」
「もちろん受けますよ。なんてったって私は純様の助手ですから。」
裏切られないことを祈ろう。それが一番怖かった。
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