第11章 スポーツの秋の警察業!
9月になり、学校では2学期が始まった。
夏休みが終わってしまい、学校での授業が始まった。夏休み明けって、いつもより授業に身が入らないような気がする。
放課後にいつもの通り警察署に来た。
「暑い…」
9月って暦上は秋だけど、最初の頃は夏と同じように暑い。早く涼しくなることを切に願う。
5人は揃っていつもの部屋にいた。最近は任務と言っても変なことに巻き込まれたりしないから楽だ。その代わり、肝試しに行ったら戦闘する羽目にはなったけど
「あ、石山さん。」
ソファに座ってくつろいでいると、石山さんが部屋へと来ていた。
「そういえば石山さん。あの夢の事件の犯人ってどうなったんですか?あの事件から一ヶ月ぐらい経ちましたけど…」
夢の事件…勿論俺や愛香が夢の中で苦しんだあの事件のことだ。犯人をこの3人と探偵の2人が捕まえてくれたらしい。
俺にとってはその犯人のことが全く分からない。因縁があるとかではなく無差別に襲ったんだろうってことは話を聞いて悟ったけど、動機も何もかも俺は知らないんだよな。見てすらいないし。
「ああ…あいつならあれからずっと黙秘を続けているんだよな…そもそも他人の夢を操ったなんて証拠もないし、そこを追及するのは無理があるんだよな…」
「そ、そんな…」
繁は落ち込んでいる。警察官として、悪いことを犯した人を捕まえることができないのは悔しいところもあるのだろう
「とはいっても、殺人未遂やらそっち関係の罪にはなるだろうし、罪は償ってもらうから安心しな。」
「ほっ…良かった」
そういえば、事件の顛末については皆から聞いたけど、一個人が無差別に夢を乗っ取って過去を見せるなんてできるのだろうか?普通ならそんなことできないはず。
と思ったけど、技術班に色々と送るあの博士がいるし、一個人でもそんな機械を作ることができた可能性も否定はできないか。あの博士色々とおかしなもの作っているし。
「そういえばあの探偵の彼女が言ってたことだけど、夢を見させてなんかしらのエネルギーを集めていたんじゃないかだと。人を苦しませるために、その人の悲しい過去を5日に渡って見せて、最後に絶望叩き落とす。そうやってそのエネルギーを集めたんじゃないかと。」
言っていることがよく分からなかった。
「あ、そんなことよりお前らに手紙来ていたぞ」
「手紙?」
警察署に手紙が…しかもここに?ここは市民の目にも触れにくいところだと思うのだけど
手紙を受け取り、その封筒を開けて皆で中身を見た
差出人は新潟県異世界対策少年課所属 南 菊花となっている。この人に心当たりはない。
でも異世界対策少年課は様々な県にある。長野県にあの2人がいるように、新潟県にこの送り主がいるということか
早速中身を読むことにした
私達は二週間後の日曜日、中部地方の異少課のメンバーでスポーツ大会を開こうかと思っています
スポーツを通して交流を深められればと思っています。初対面となる人も大勢いるでしょうが、皆同じ仕事を行っている人達です。同じ仕事を行っている同士、魔族を倒すコツや魔族に関する情報をより知り合えることを願っています。
種目に関しては後日詳細をお送りいたします
場所は新潟県沖の孤島ですが、皆様は新潟県警察署に集まってください。
参加されるか不参加になるかをもう一つのはがきにお書きになって、返信していただけますようお願いします。
手紙の内容はこうなっていた。
「スポーツ大会。面白そうじゃん。やろうよやろうよ」
翔はめちゃくちゃ乗り気だ。かく言う俺も行きたいと思っている。
「私は他の異少課の方に会ってみたいです。そしてあわよくばその県の抹茶を…」
「愛香、流石にそこまでは無理だと思うぞ」
「冗談ですよ神代先輩。新潟県のは買いますけど他の人たちに持ってくるのを強制させたりとかしませんから」
愛香はスポーツというより交流できることに興味があるみたい。あとは繁と凪だが
「私は行こうかなと。楽しそうなので」
繁は行く気だ。そして凪は…
「ああ…繁が行くなら、俺も…行こうかな…」
行くと言っているのに、なんか行きたくないような顔だった
「凪、どうかしたか?」
「いや、どうもしてない。繁が行くんだから、俺は行く。」
妹離れできていない兄っぽさがある。
なお、凪があんまり行きたくなかった理由は、凪はスポーツがあまり得意ではないからである。そもそも、凪は運動神経はあまり良くない。異少課でも後方支援が主であんまり戦っていない。その理由には運動神経があまり良くないことも関係していた
だが、それでも凪は行くことを決意した。繁のためである。繁を別の県にまで行かせるのはもしものことがあったらと思うと…という理由で行くことになった。シスコン
「なら、参加でいいな?」
「オッケー。」
往復はがきに参加することを記入して、近くのポストに入れた。
数日後の異少課
新、愛香、翔がいた。
凪は食堂でバイトをしていて、繁は石山さんに用があり石山さんがいる部屋に行っていた
「ようやく宿題全部提出できました…宿題を無理やりやらせるなんて強要罪ですよ…先生を逮捕したいです」
なんか翔が自分の理論を展開していた。
「夏休みの宿題をやらなかったお前が悪い」
「そんなこと言わないでくださいよ師匠…そもそも宿題なんかやらなくていいと思うんですよ。宿題なんて学力をつけるためとか言ってますけど、半数以上の人は宿題をちゃんとはやってないじゃないですか。答えを見てそれを写す単純作業じゃないですか。ワークとかをやる宿題なら2回目以降は薄っすらと前の答え覚えてしまっているから、意味ないと思うんですよ」
微妙にツッコみづらいな!
確かにそう思うけどさ。
「先輩、石山さんからこれもらいました。この前の新潟県の人からみたいです」
繁が封筒を持って戻ってきた。俺と翔はもちろんのこと、スマホを見ていた愛香も手を止めて見にに来た。
早速封筒を開けてその中身を見てみた。中には予定表と書かれた紙が入っていた
「スポーツ大会のか」
最初の方は日時とか場所とかそういう前回のはがきにも書いてあったことなのでサラッと読んだ。そして本題となる種目のところを読んだ。
予定
集合
開会式
自己紹介
バドミントン
サッカー
借り物競争
野球
昼休憩
アーチェリー対決
騎馬戦
バスケットボール
ドッジボール
閉会式
解散
途中途中にスポーツ?ってなるやつがあるな
まあでも、ちゃんとしたプログラムだ。楽しめそうなスポーツ大会になりそうだ。
「色々とありますね」
「卓球無いのかよ…」
翔は卓球部らしいからか卓球ないことに悔しがってる
翔には悪いけどバスケットボールあって嬉しい。
予定の下にも何やら書いてあった
動きやすい服装で来て下さい
公平なくじ引きの上赤組と白組に別れてもらいます。また出場選手はくじ引きで決められます。
雨天時は中止になります、また任務がある場合は途中で抜けて構いません
昼食についてはこちらでお弁当を用意します
種目では武器の力を使用してよいです。
まあ普通の注意事項だな…
いや待て待て、最後…え?
「武器の力使用オッケーってことは、一筋縄ではいかなそうだな…面白そうになってきたー!」
普通じゃない戦いにしかならないな。どうなるのか
あれから数日経ち、ついにスポーツ大会当日になった。
今はいつものところで待っている。翔以外全員が集まっていた
翔は電話で遅れると伝えてきた
「翔今遅れているらしくて、先行っててって言われたから先行こうか」
「そうですね。それにしても不思議な気分です。自分が瞬間移動を使わなくてもワープできるなんて」
愛香にとっては瞬間移動は自分が好きなように行うものだからな。まあ不思議と言えば元魔王やらが近くにいるこの状況が一番の不思議だけど
「着いた…っぽいかな」
新潟県行きの長いワープゲートを抜けるととそこは雪国…じゃなくて白い広い部屋だった。
壁にはスポーツ大会控室と書かれた看板が掛けられてある。
「おはようございます。主催者の方ですか?」
俺は目の前にいた男に話しかけた。ここには今の所俺達を除けば彼しかいない。
「…あ、いや、多分そう聞くってことは君たちもだろうけど、君たちと同じくスポーツ大会の参加者だよ。ついさっき来てスマホしながら開会式の時間になるのを待っていたんだ。」
あ、なるほど。参加者の方だったか。
「君たちはどこの異少課?ちなみに俺達は岐阜県の異少課だよ。」
「俺達は…あれ?俺達?もしかしてまだ来てない人がいる?」
「あぁ…もう一人いるんだ。」
「呼んだ?」
「うわっ!」
びっくりした…
後ろから声が聞こえた。さっきの女子の声。いや流石にビビる。
しかも後ろにはさっきまではいなかった女子が立っていた。
え?なにこれホラー?スポーツ大会にそんなホラー要素とか無くていいから
「紹介するよ。こいつがさっき言っていたもう一人の子。俺達二人で岐阜県の任務やっているんだけど…」
なんか訳ありな予感
「始めまして、観音玲夢っていいます。ふぁぁぁ…」
凄いあくび出してる。眠たいのか?
よく見ると目も細い。
「てか俺の名前も言ってなかったな。任田沖だ。よろしく。」
二人が名乗ったんだし、こちらも名乗らないといけないよな。
「俺は神代新、こっちは波山愛香。そしてそこにいるのが根高凪と根高繁だ。あと遅れているけど大木翔っていうやつもいる。」
「そっちは人が多いね。羨ましい限りだよ。こっちは2人で仕事させられているからさ。毎日忙しいよ。しかもあいつは結構な割合で自分の欲を優先するから、実際は俺一人で仕事することも多くてね…新しい人が欲しいけどそんな都合よく現れてはくれないし…」
お疲れさまです
今は5人もいて、仕事も楽になったんだけど、昔はきつい仕事を一人でやっていたな…
「あれ?玲夢さんはどこに?」
愛香がふと言った。辺りを見渡すと確かにいなくなっていた
「ああ、それはよくあることだから君たちは心配しなくていいよ。」
こんなことよくあることなの!?
まあずっと一緒にいたであろう人が言っているんだし、そうなんだろうなきっと
「よ!新。一ヶ月ぶりだな。」
ワープゲートを通って新たにやってきたのは長野県の二人だ。
「繁、一緒に話しないか?」
「名村さん。いいですよ。どんな話します?」
名村さんは繁と話に行った。この前の肝試しの件から繁と名村さん仲いい気がする。
仲が良くて悪い訳はない。警察と政治家の癒着とかそういう仲の良さじゃないんだし。
でも何があったのかは気になる。流石に何かあったと思うんだけどな…
「あ、ホクじゃんか。久しぶりだな」
「沖!いや最後に会ったの数ヶ月前だったっけ?任務でたまたま会ったの。いやー久しぶりだな。」
この二人前に会ったことがあるっぽい。数ヶ月ぶりの再開のほうが大事そうだし。
時間が経つに連れ、新しい人もどんどんやってきた
全員に今のうちに話しておきたい気持ちもあるが、時間的にも無理だし、休憩時間にでも話そうかと思っている
再開を喜んでいるような人達。スポーツを楽しみにしている人達。色々な人がいた
あと10分。それで開会式が始まる。
「ごめんなさい。遅れてしまいました…」
翔も着いた。時間には間に合っている。
翔はなんか知らない女子と仲良くなろうとしている。好きにさせておこう。それで痛い目見たとしても知らん
繁はまだ名村さんと話している。そして凪の様子を見ると俺が知らない人と料理の話をしていた。料理好きの人がいたんだな
そして愛香はというと…
「ちょっと、やめてください…」
部屋の隅っこで何か絡まれてた。愛香に女子が詰め寄っていてそれを男子が必死に止めているのが見えた。
周りの色々な会話も聞こえるので、たまたま聞こえた愛香の声以外はこの位置からは聞こえない。どういう状況なのかは分からないが、愛香のほうが絡まれているだろう。心配なので近くに行ってみることにした。
あの女子に酷い目にでもあってるのか?それなら助けなければ。でも見た感じそのようには見えないけど。いやでも、それまでに何かあったとしてもおかしくはない
「可愛い可愛い!ねぇ君、ちょっと写真撮らしてくれないかなハァハァ」
…何だこれ
本当に何この状況
「お前な!」
「黙っていて!私のこの想いは誰にも引き裂かれないの!」
「恋愛漫画みたいなセリフじゃねえかよ。そしてその想いも片思いだろ。」
絡んでいた女子がそれを止めていた男子と揉めている。今のうちに愛香に事の顛末を聞いておきたい。
「愛香、さっきまで何があったんだ?」
「あ、神代先輩。あのー…ここで時間を確認していたら、いきなりこの人に『可愛いね!』って言われて…それで何か詰め寄られていて…」
聞いても状況がよく分からん。
発言的に愛香がナンパされたみたいだけど、相手が女子なんだよな…
「ちょっと!なんで捕まえるのよ!」
「お前今捕まえないとまたこの子の写真撮ろうとしてただろ」
「そうだけど?」
「少しは隠してくれ。あ、ごめんなさい。大丈夫でしたか?」
女子のことを男子が縄で捕まえていた。
「あ、私は大丈夫です。それで、何だったんですか?なんで私のことを…」
愛香もよくわかってなかったんだ。そりょそうだよな
「それは、あなたのことを見てビビッと感じちゃったんですよ。可愛さが溢れていると。それでぜひ写真を撮っていつでも残そうと思ったまでです。ところで、写真撮りませんk」
「こいつは俗に言う幼女が好きなロリコンなだけです。幼気がある可愛らしい女の子を見つけると不審者じみた…不審者の行動を取るんです。女なのに男に関しては興味ゼロで、幼い女の子しか眼中にないのようなやつなんです」
まぁまぁわかった。完全な変人だ。
「え…私って…そんなに幼く見られているんですか…そりゃそうだよね…私なんて背も全然伸びないし、ここも全然成長しないし…周りの女子はどんどん成長しているのに…」
愛香は胸を触りながら言った。
愛香…やっぱりそこコンプレックスだったんだ…
身長に関しては俺は全くアドバイスできないんだよな…
「何を言っているの、背が低いのも、貧乳なのも、全く問題ないわよ。背が低いことによって得られるメリットだってあるでしょう。貧乳もそうよ。巨乳なんて疲れるだけ。それに、私みたいに巨乳より貧乳が好きな人はたくさんいるわ。私が保証する。それがあなたのアイデンティティなの。自分に誇りを持ちなさい。」
いい感じに言っているけど低身長も貧乳も幼児の体型だから好きなんじゃないか?
そんな予感がバリバリする
「あ、そうですね。ありがとうございます。」
なにはともあれ、愛香が嬉しそうにしているからいっか。
「本当に巻き込んでしまって申し訳ありません。こいつにはきちんと言っておくんで…」
「私はただロリっ娘が好きなだけなんだから!なんでそんないつも変人みたいな扱いしてくるのよ。」
「変人だからだろ自覚しろ」
「それなら陸ちゃんが女裝してくれりゃいいのに。陸ちゃん見た目的にも女装させたら可愛さが輝くと思うんだから!ね?」
「絶対しねーよ。」
「陸ちゃんのケチ」
マジで訳分からん人だったな…
まあ人の趣味は十人十色、勝手に否定しちゃ駄目なんだと思うけど…いや…これは…ちょっと…うん
「あ、そうだ。名前教えて?」
「私ですか?私は波山愛香って言います。」
「愛香ちゃんね。可愛らしくていい名前じゃない。」
やっぱりナンパみたいな状況だな
「はぁ…もうなんとかならないかな…」
「陸ちゃん。落ち込んじゃだめ。なんでそんなに落ち込んでるの?」
「おまえのせいだよ」
見ててわかったことはこの男子が可哀想であること。それは確かだろう。
「私は若木露里、こっちは野宮陸ちゃん。二人で静岡県の異少課をやってるの。仲良くしようね。そしてあわよくば写真を…」
「身の危険を感じるかもしれないので仲良くしなくてもいいですよ」
愛香…どうするんだ?
仲良くするか?それとも断るか?
「若木さんですね。仲良くしましょう。野宮さんも。」
愛香は若木さんと野宮さんと握手をした。まあ愛香のことだし、断るとは思ってなかったけど
まあ大丈夫だって祈ろう。一応警察署で働いているんだし。流石に…ね?
それから数分、愛香が若木さんと話していたので、近くで野宮さんと話していた。
野宮さんからの会話の内容が苦労話が多かった。勿論あの子のことである。
戦闘自体はなんとかなるけど、あの性格のせいで戦闘とは関係ないところで被害を被っているらしい。彼女を止めるのに疲れているのだとか
自分が翔に振り回されたりしているからか、何だか気があった。そういえば翔以外の3人は皆まともだよな…愛香は抹茶関係のときだけ性格が変わるけど、被害を被るわけではないし。凪はほぼ毎日ちゃんとしている。繁も凪と兄妹だからか性格が似ている。まともな人材が揃ってたの恵まれているな…
翔も静止を聞かず突っ走ったりするだけだし。少なくとも若木さんよりは楽だ。
「俺もそっち行きたいな…せめて露里のロリ好きが少しでも収まってくれたらいいんだけどな…」
頑張ってください
「お待たしてすみません。多分全員…いますね。私は新潟県の異少課で働いている者です。それでは会場の島へと案内しますね。着いてきてください。」
部屋へと一人の男が入ってきた。時間はもう少しで開会式の時間となる。このスケジュール大丈夫か?
ここら会場までの移動時間結構かかるだろう。ここは新潟県の警察署。島となると船移動になるから余計に時間がかかってしまいそう。
この部屋にいた皆が男に着いていった。
「では、私の力で作り出したこのワープゲートをくぐれば会場はすぐですよ。皆様の安全は保証していますので。まずこれは皆様がここまで来るのに通ってもらったワープゲートと同じものです。安心して通ってください」
少し歩いたところに今日来るときに見たワープゲートと同じデザインのゲートがあった。
まさか同じものだったとは…
というか、同じものってことはホク達が使ってきたワープゲートとかもこの人が作ってくれたものなのだろうか。
ゲートをくぐると、そこは海の近くの砂浜だった。大きな波の音が聞こえる。海の方を見ると、見渡す限り水平線。本当に島なのだろう。
それから少し歩いて、目的の場所へとついた。テントやらが設営されていて、体育祭のような感じになっていた。
「それでは皆様、こちらに県別でお座りください。これから私のお嬢様が計画されたスポーツ大会が始まります。座ってお待ちしていてください。」
指示通りに俺達は座った。前から俺、愛香、翔、凪、繁の順番で。そんなことをしていると、案内してくれた男はどこかに行っていた。他の仕事をしに行ったのだろう。
お嬢様。と言っていたな。あの人も普通の人とは違う訳ありなのか?というか異少課って色々と訳ありなの多くないか?
俺達は元魔王やらその兄やらがいるし、長野県には俺達を最初敵対視していた魔族がいた。静岡県には変人がいたし、岐阜県はなんか任田さんが嘆いていた。そして訳ありっぽい新潟県。
俺が知らないのは中部地方だと石川、福井、愛知、山梨の4つか、それにこの人しか知らない新潟県を合わせて5つ。その人達はどういう人なんだろう。ちゃんとした人、少し変わっていても許容範囲内な人だったらいいな…
「これより開会式を行います。」
座っていたところの前に女子が立っていた。彼女はマイクを握って話し始めた。
「今回は私が企画したスポーツ大会に参加いただきありがとうございます。この大会は、スポーツを通して、同じ仕事をする人同士交流してもらいたくて企画しました。よろしくお願いします。」
この子も礼儀正しいな。ここまで案内してくれた彼と同じく。
それからは注意事項やらの発表やらがあった。すでに送られてきていたものに書かれていたのと同じような内容だったけど
「それでは組分けへと移ります。順番にこの横の机へと並んでくじを引いてください。赤いくじを引いた人は赤い旗が立っているところに、白いくじを引いた人は白い旗のところに移動してください。」
皆がそれぞれ引いて、その結果を話しながら結果に応じて移動していく。まるで席替えのようだった。
そして自分の番となった。
赤いくじを引いた。つまり紅組ということだ。
紅組の旗のところへと移動した。翔が同じく紅組だった。愛香、凪、繁は白組へとなったみたいだ。翔だけど、まあ変なことはしないでしょう多分。待合室にてなんか変なことやっていたようにも見えたけど気のせい気のせい。
全員が引き終わって、主催者で今行くことができない前で立っている彼女以外は移動が終わったみたいだ。
翔以外で俺が知っている人で紅組なのは、ホク、岐阜県の任田さんと観音さん。ぐらいだだな。知らない人も多数いる。
そういえばこれだと愛香と愛香にナンパじみたことをしていた彼女とが同じになっているけど、大丈夫だよな?まあ彼女を止めていた野宮さんもいたし、まあなんとかなるだろう。
「それでは、開会式をこれにて終了します。次は自己紹介です。各自、自分の名前と所属している県、その他のことを言ってください。始めは紅組の方からです。順番を適当に決めて自己紹介を皆に聞こえるような大きな声で始めてください。」
紅組ってこっちからか
「順番どうする?」
「私が初めいってもいいですか?」
「あ、いいですよどうぞ」
最初に名乗り出たのは案内してくれた礼儀正しい彼だった。
「私は新潟県の異少課のメンバーであり、あちらに立っていらっしゃる菊花お嬢様に仕えている執事の東松木という者です。何か用があるのなら何なりとお申し付けください。ただし、お嬢様のことを傷付けたらどうなるか分かってますね?」
最後の言葉の気迫が凄かった
「では次はウチが行くな。ウチは新潟県の異少課メンバーで、菊花お嬢様のメイドの西蓮葉や。松木とは違ってお気楽に生きていきたい人や。みんなよろしくな」
執事にメイド、相当お金持ちだな。
その後は俺や翔、ホクなんかが自己紹介した。翔が俺の弟子だと言ったせいで面倒くさいことになったけど
「俺は任田沖、岐阜県の異少課のメンバーだよ。ちょっともう一人のメンバーに振り回されている苦労人。まあ気楽に話してくれ」
任田さんは普通の人だな。てか普通の人のほうが珍しいという状況。
「えーっと…おーい。おーい。あ、これ駄目だ。てことで俺が玲夢のことも説明するか」
あれ?観音さん組分けのとき紅組にいたよね?どこに……?
「観音玲夢。俺と共に岐阜県異少課で働いている。見た目はちゃんとした女子なのに……こいつ、めちゃくちゃ眠ります。眠りの欲求だけずば抜けています。命に関わらないときは仕事中でさえ眠ります。そういう眠りに命をかけている人です。そしていまも眠っているっぽいので俺が代わりに自己紹介しました」
最初に会ったときも眠たそうにしていたけど、眠るのが大好きすぎるからなんだ。
愛香の抹茶好きを思い出す。
今も眠るって相当だよ。どんだけ寝たいの
てか今どこにいるの?
「私は六道黒子。福井県の異少課メンバーです。白組に私の双子の妹の白子がいます。私も妹にも仲良くしてください」
「僕は山梨県の異少課で働いてる平良心。僕、今日は頑張るね。皆仲良くしてね」
「俺は石川県の異少課の鏡丹治、丹って読んでくれたら嬉しいです」
まだ話してない人達が自己紹介していくけど、聞いたところちゃんとしていそうな人で良かった。
次の人で紅組は最後かな。最後の人は女子。
てか、異少課の女子達って可愛かったり美しかったり、皆顔立ちがいいな。
「ブラッド。次ブラッドの番だよ。」
「はっ。我に名乗りをさせようというのか。いささか傲慢だな。だが我は気分がいい。特別に貴様等人族に我の崇高な名を教えてやろう。我はブラッド。ストーンリバーの国の高貴なる吸血鬼の末裔だ。さあ我に血を捧げよ。血を捧げたものは眷属として我が可愛がってやる。はっはっはっ」
あー…これはいわゆる中二病ってやつか?
いや、実際凪や繁のように、魔族のこの世界には人もいるんだし、吸血鬼が実際にいてもおかしくはないか。話し方が明らかに中二病だし、中二病特有の片方の目を隠すやつをやりながら話してたし、中二病っぽい気がするけど。
「じゃあ紅組全員紹介できたことだし、次は白組。まずは主催者として私から行くね。私は南菊花。新潟県の異少課で働いている。松木や蓮葉とは違って取り柄なんてあんまりないけど、仲良くしてくれたら嬉しいな」
この人本当は東さんや西さんが言っていたお嬢様なんだよな。そうはいい意味でとても思えない。
お嬢様といっても権力を使っているようには見えない。庶民派というところか。
その後、凪、繁、名村さんが自己紹介した。
「私は若木露里。静岡県の異少課メンバー。可愛い幼女の写真が見たいです。もし良かったらください!よろしくお願いします」
「静岡県の異少課の野宮陸です。露里にめちゃくちゃ振り回されています。露里には気をつけてください」
まあこの二人はどっちも開会式前に話したし、こんな感じだろうとは予想していたけど。まさか写真を募集したり自分の自己紹介でもう一人の危険性を知らせたりするとは思ってなかったけど
「私は福井県の六道白子です。姉のような人になりたいです。姉ともども仲良くしてください」
自己紹介は進み、残りの人数も減ってきた。
人が多いから自己紹介に時間がかかっているけど、まあ微々たるものか。
「自分は唐栗。愛知県の異少課で働いています。自分はあなた達と同じ人間ではなく、脳があるからくり機械です。こんな自分でも、優しく扱ってください。特に水を大量に浴びてしまうと壊れてしまうので絶対にしないでください」
…え?
今話していたのはどう見ても男の子。からくり機械のようには見えない。
でもこんな変な嘘をつくか?というところもある。
「俺は愛知県の異少課で働いている人。明石湊。さっきの唐栗を作った張本人だ。機械といえども、唐栗には自我がある。ほぼ人間みたいなものなんだ。親として同じ人間のように扱ってほしい。お願いする」
さっきの彼がからくり機械だっていうの本当だったのか…
よくこんなに精巧なからくり機械作れたな
最後の人になった。
「俺は丸岡日向。石川県の異少課です。吹の中二病にいつも困らされています。あ、吹っていうのはさっき自分のことをブラッドと呼んでいたイタいやつのことです」
あ、やっぱり中二病だったのね。
まあそんな感じだったし、驚きはない。むしろ本当に吸血鬼だったほうが驚く。
「はい。これで自己紹介は終わりです。それでは試合へと移ります。第一種目はバドミントンです。準備が終わるまでテントでお待ち下さい。なお、出場選手についてはくじで決められます」
そんな感じで解散し、紅組のテントへと戻った。紅組のテントには紅組のうち新潟県の2人以外の全員が集まっていた。
「あ、観音さん。いたんですね」
「んあ…?どうかした?」
「あ、いえ何でも」
観音さん自己紹介のときにはいなかったのにな…いつのまに
「そういえば、自己紹介のときどこに行っていたんですか?」
任田さんが代わりに自己紹介してくれてたんだよな。
「君、女の子の秘密は探っちゃ駄目だよ。」
そう言われると何も言えない。
秘密にしておきたいんなら探っちゃだめだと思うし、この話はやめるか
「お前な。秘密なんて言ってどうせ寝てただけだろ?」
「大正解」
「笑顔で言ってもごまかされんからな。代わりに自己紹介するはめになったんだから」
寝ていた?
「あの…寝ていたってどういう?」
自己紹介のときに寝るのが大好き的な話をしていたけど…
「ああ、こいつの武器の力が自分を透明にする力なんだけど、これを使ってバレないように寝やがるんだよいつも。直接寝てるのがばれたらまずいけど、いなくなったならまだなんとかなるとか言って。」
…まじかよ
想像以上に寝るのが好きなんだな
テントで待っていると放送が聞こえた
「バドミントンの準備が出来ました。バドミントンはダブルスとなっております。なお今回は1ゲーム先取で、先に21点取ったほうが勝ちとなります。それでは、選手を発表します。紅組 任田沖&平良心。白組 波山愛香&明石湊。出場選手はコートに出てください。」
出場選手は全員出た。今は作戦なんかを話すタイムとなっている
紅組コートにて
「任田お兄さん。僕、頑張るね。」
「気合入っているな。あいつとは大違いだ。じゃあ前のほう頼めるか?俺は後ろのほうが力使いややすいから。」
「分かった。お兄さん。僕も武器を使って応戦するね。」
一方白組コートは
「はぁ…俺か…俺の武器の力全然合ってないんだよな。」
「そうなんですか?」
「ああ。ところで君の力はなんなんだ?力については知っておいたほうがいいだろ。ちなみに俺は無機物に自我を芽生えさせる力。全くといっていいほど今回は使えない。」
「あ、私は…」
「はい。それでは作戦会議終了です。では、試合に移ります。」
じゃんけんをした結果、最初のサーブは白組からとなった。
紅は平良心が前衛、任田沖が後衛。白は波山愛香が前衛、明石湊が後衛となって、ゲームがスタートした。
「はい。」
カッ…ポトッ
最初は白の得点が続いた。というのも、明石さんが打ったシャトルは力を込めて打っているのだが敵の前衛のエリアまでしか届かなかった。しかし、前衛の平良君がどんだけ狙っても打ち返すことができなかった。
「僕…」
「そんな落ち込むなって、バドミントンやったことないのか?」
「うん…」
この回に打ったシャトルがネットに当たってしまったので、紅のサーブとなった。
今の得点は0-6
「こっち番か、6点の差なんてすぐ埋めてやる。覚悟しな。」
サーブを打った。それに対して白は山なりの軌道でなんとか打ち返した。
「これを待っていた」
え?俺は目を疑った。彼は空を飛んでいた。多分彼の武器の力なのだろう。武器の力には慣れたと思ったけど、その物理法則を無視した力にはいつでも驚かされる。
空中の高いところ、山なりの軌道の一番てっぺんのところで彼はシャトルを前下方向に力いっぱい打った。勿論これにはふたりとも反応できずに1点を入れることができた。
同じ方法で3点続けて入った
今の得点、4-6
「ほらよっ!」
打ったシャトルに対し、前衛の愛香がなんとか打ち返した。
愛香は山なりではなく、ネットの少し上を通るような軌道で打ち返した。こうすることで、明石さんの空を飛ぶのに対抗した感じだ。
しかし、そのシャトルは風に吹き飛ばされて紅組エリアから出てしまった。
「え?真ん中のほうだったのに…え?」
愛香は困惑している。流石にこんなことが起きたら誰でも困惑するだろう。
たまたまかともう一回シャトルを同じように打ったが、それも風により出てしまった
「平良君、なんかした?」
「うん!僕が風をおこしてシャトルを動かしたの!最初は難しくてできなかったけど、集中したら簡単にできたんだ!」
これ強すぎでは?
風を吹かせることで全てのシャトルを場外に落とせば、白は勝ち目がなくなる。
なんとかならないか白組の二人は力を尽くしたが、点差は広がるばかり。サーブミスによりサーブ権を手に入れたとしても、一回でサーブ権がもとに戻ってしまった
今の得点 20-10 紅組のマッチポイントである。サーブ権は紅組。
「そうだ!」
突然、愛香が何か思いついたみたいだ。相手のチート染みた技を突破できる何かを。
シャトルは後衛が打ち返した。平良君は風を起こす準備をしている。
しかし、シャトルはネットを越えるとすぐに紅組のコートへと落ちた。あまりの早さに、二人共何もすることはできなかった。
「よし、私を瞬間移動してなんとかできないか考えていたけど、瞬間移動って他のものもできるんだった。それなら、そのシャトルを瞬間移動すれば、打ち返せないよね。」
愛香の作戦はシャトルを瞬間移動させるというもの。これによって風の影響も受けず、しかも場所を選べるから確実に打たせないところに移動させることもできる。風を操るのと同じぐらいのチートだ。
11、12、13、14、15…
どんどん得点を取っていく。紅組の二人の力では全く歯が立たなかった
「16点目!」
スカッ
しかし、ここで予想外の事態が起きた。白組がサーブをミスしてしまった。
「ごめん!」
「危なかった…このままだったら負けるところだった。」
紅組が21点となり、バドミントンは紅組の勝ちとなった。
最後に相手チームと握手し、バドミントンは終わりを迎えた。
「少しの間準備期間となります。テント内で待機お願いします。」
負けた白組の2人は自陣のテントへと帰っていた。テントへ戻るとすぐ一人の子が来た。
「パパ!かっこよかったよ!」
「おーよしよし。唐栗。」
湊は唐栗に抱きつかれている。
唐栗は機械である。だから勿論湊と血が繋がっているわけはない。でも唐栗のことを湊が全て作った。生みの親という点では、父と子という関係で問題ないだろう。
愛香の悔しさは二人の微笑ましい様子を見ているとどこかへ行ってくれた。
「愛香。いやー最初から盛り上げてくれたね。シャトルを瞬間移動させるなんて凄いよ。私には思いつかなかった。」
繁が話してきた。
「ふふっ。ありがと。」
笑顔を繁に返した。
「ほらほら。水分補給しておいたほうがいいよ。お兄ちゃんが秋でも熱中症になることはあるって言ってたから。」
繁はテント内に愛香を座らして、そこに置いてある愛香の水筒を取った。
「まだまだ、始まったばかり。どうなるかな?」
一方そのころ、凪は…
「え?本当ですか!?」
「うん。この島夕焼けが綺麗に見えるんだよ。でも何でそんなことが知りたいの?もしかして見たいの?それならいい場所教えてあげる。あそこに小高い丘が見えるでしょ。その上から見ると綺麗だよ。」
主催者で同じ白組の南菊花さんに質問をしていた
「ありがとうございます。」
「どういたしまして。」
これはいいことを聞いた。夕焼けが綺麗に見えるんなんて…絶好の告白スポットじゃんか!
早速繁に伝えておこう。繁は新のことが好きで、新に告白したいのに、最近色々とあって告白なんてできなかったからな…
でも、ここなら大丈夫。流石に今回ぐらいは邪魔来ないでしょう。お願い神様。どうか繁に悪戯しないでください。
「え?お兄ちゃん本当!?」
「ああ本当だ。」
愛香と話し終えた繁に戻ってきた凪がこのことを伝えた。
「どうする?今日告白する?突然だからしないのでもいいけど。繁にとっても何も準備できてないだろうから。」
繁は少し悩んだあと、自分の気持ちを伝えた。
「私、今日告白する!」
「分かった。繁の告白はいつものように俺も手伝うから」
紅組では帰ってきた二人はそれぞれ色んな人と話していたけど、俺はそれには加わっていなかった。
「えーっと…次はサッカーか」
次の競技のことを色々と調べていた
予定表を見ているとアナウンスが鳴った
「次はサッカーです。サッカーは基本的には普通のサッカーのルールと同じですが、人数の関係上両チーム5人、そのうち一人はゴールキーパーという分け方になります。それでは選手を発表します。紅組 西蓮葉・大木翔 観音玲夢・鏡丹治・日柱吹。白組 南菊花・名村亜美・若木露里・野宮陸・丸岡日向。選手は会場へ出てください。」
バドミントンコートはいつの間にかサッカーコートへと変わっていた。準備が早い。
チームメンバーのときに一人だけ聞いたことのない名前が出てきた。日柱吹…いや、吹という名前は丸岡さんの自己紹介で出てきたか。あのときの自己紹介から、多分自分のことをブラッドとか呼んでた彼女の本名なんだろう。
「ブラッド。一緒に行かない?」
「我はあの場へと召喚されたわけではない。ブラッドという我が名は未だ一度も言ってはない。だが、丹の頼みとあらば我は召喚されることを決意しよう」
やっぱり。ブラッドという名前は言われてないのに行こうとしていることから完全に同一人物でしょう。
そういえば、あっちの彼は吹の中二病には…って中二病であることを確信していたけど、逆にこっちの彼は本名ではなくブラッドという名前で呼んでいた。わざとおちょくる感じで言っていたようには見えなかったから、彼は信じているのだろうか。彼女が吸血鬼であることを。まあ、だからなんだと言われればそうだけど。
「師匠。俺日頃の成果を見せるんで、絶対に見ていてくださいね」
日頃の成果って…サッカーじゃん。
サッカー毎日練習している…って言うわけじゃないよね。まあ本当にそういう意味で言っていたのなら悪いけど。
紅組からは出場選手がテントから会場へと行った。白組も同じようだ。
予定表の時刻通りに次の競技が開催された。
「それでは作戦タイムです。3分後に試合を開始いたします。それまでにゴールキーパーを決めてください」
作戦タイム 紅組にて
「まずはゴールキーパーを決めるのが大事だと思うけどな。誰かやりたいのおらんか?」
紅組は蓮葉が会議を仕切っている。
「はいはい。俺やりたいです!なんてったって俺は盾使いなんで、護るのにはなれてます!」
翔がすぐさま立候補した。他の誰も異議を唱えず、ゴールキーパーに関しては秒で決まった。
「それにしても…この芝…最高!」
「君ウチが作った芝のこと褒めてくれるんか。へへっ。なんか照れるな。」
「ほう。貴様がこの陽の力を得て巨大化する魔草を生成したというのか。」
「…え?」
蓮葉は身近にこのような人がいないので戸惑っていた。
「多分、この芝を君が作ったんだ。って、言ってるんだと思うよ。ブラッドは吸血鬼の言葉を喋るから、他の人には通じないことが多々あってね。」
「ああ、そういうことね。そうだよ。というか、この会場自体ウチが作ったもんだからね。ウチの力が製造って言って、材料を取り込めば簡単に色んなものを作れる力だからさ」
一方白組は
「それでは、作戦会議をしていきましょう。始めはゴールキーパーから決めます。誰かやりたい人はいますか?」
菊花が真剣に仕切っていた。
「…」
「私がやろうか?」
「え、いいんですか露里さん」
「うん。ただその代わりに、菊花ちゃんの子供の頃の写真をちょうだい。見た目的にも菊花ちゃんの子供の頃よさs」
露里が菊花相手に子供の頃の写真を貰おうと交渉していると、突然陸に背中を叩かれた。
「ちょっと陸ちゃん。邪魔しないでよ。今は可愛い子どものために必死なんだから」
「写真を手に入れようとするな。他人に迷惑をかけないでくれ。色々とめんどくさいことになるんだから」
結果二人は口論になってしまった。
「アタシたち置いてきぼりじゃない?」
「そうですね」
「ごめんなさい。あの悪いんですけど…子供の頃の写真はあげられません」
口論は菊花の言葉によりすっと止まった。
「そう……」
「ほらな、自分の子供の頃なんて他人に見せたくない人が大半なんだよ」
「いいえ。そういうわけじゃないんです。ですが……私の子供の頃の写真、まず持ってくることが無理なので……」
菊花は訳ありのように言った。写真がないわけではなく、見せたくないわけでもなく、持ってこれないと。
「あーそれなら私はゴールキーパーをやめようかな……」
「自分で言ったことを勝手にやめちゃだめだと思うな〜」
という感じで、露里がゴールキーパーに決まった。
「じゃあ亜美ちゃんの子供の頃の写真でも……」
「あげないよ」
そっから先少し作戦会議などをして、試合が始まった。
サッカーの試合がスタートした。最初は近くにいた丹がボールをホールドしている
「ブラッド!」
丹はブラッドへとパスをした
「我の力をとくと見ろ。ちょっ、あ、あの貴様。どけ!邪魔だ!」
「そんなこと言わずにさ、中二女子って結構可愛さが溢れているんだからさ。ねぇ、一枚撮らして!」
…開始数十秒で謎すぎる展開になっている。
ゴールキーパーの露里がボールを持っているブラッドへと絡んでいた。これだけだったらちゃんとした試合のワンシーンなんだが、露里はボールを持っているから来たわけでは無かった。
露里は吹の写真が欲しくて来たのだった。
「おいこら露里!戻れゴールに戻れ!」
陸は大声で叫んでいたが、一向に戻る気配は無かった。
「いただき!」
そのうちに亜美がボールを奪い取った。
「チッ!貴様のせいだぞ!」
ブラッドはキレている。まあ相手チームなんだしゴールできなかったからってキレるのはおかしい気がするが、これはキレていいだろう。
「じゃあ今のうちに写真d」
「お前はさっさと戻れ!」
陸もブチギレていた
一方、ボールは亜美から菊花へと移っていた。
「シュート!」
「させませんよ。お嬢様。今回は正々堂々とした勝負。従者関係は無視させてもらいます。」
菊花がゴール近くへとドリブルしていた。亜美のロングパスにより、ゴール近くは紅組が翔以外いなかった。
しかし、まあまあ近くにいた蓮葉が力を使った。
ゴールの前に大きな壁が出来上がり、シュートできるはずだったボールは簡単に弾かれた。
なお、翔はこのとき空気球を使おうとしていたが、この壁によって自分の空気球に巻き込まれるはめになっていた。
でもそんなことは翔以外は誰も知らなかった。
「製造の力ね。私にはどうすることもできないか」
壁はきっちりと作られていて、この壁がある限りシュートするのは不可能だった。
「ところでウチ、松木に酷い目にあわされたりしないよな……」
そのとき紅組テントでは
「蓮葉め……お嬢様のシュートシーンを台無しにしやがって……」
味方なはずの松木に恨まれていた。
「誰か!この壁を壊せる人いる?」
「ハッハッハ!今こそ我の眠れる力を解放するときだ!」
「ブラッド。あれ使うんでしょ。誰にも被害が起きないようにしてね。」
「安心しろ丹。我の眠れる力をそんな無意味なことには使わん」
ブラッドは持っていた投槍を壁に向かって投げつけた。
「さあ爆破しろ!光をまといし槍よ!」
投げた槍がその場で大量の光を出し、再び目が見えたときには壁が壊れていた
翔はさっき自分の風の被害くらって、ようやく立ち上がっていた。そんなときに目の前で壁が壊れるのは誰が予想できただろうか。
??
翔の頭の中はもうこんな感じであった。
「ありがとう…あれ?え?敵だよね?」
「あれれ〜?どうして壊しちゃってるの?」
当の本人のブラッド、そしてブラッドのことを特に問題と思ってない丹、周りの様子が全く分かってない翔以外のほとんどが「うん?」となっていた
だが、そんなブラッドがやった理由を正確に分かっていた人が一人いた。
「あいつ絶対自分の力見せつけたいからって敵味方関係なくやったろ。まあこっちのチームに貢献しちゃっているからいいけど。中二病恐ろしや」
吹と一緒に働いている日向は吹を呆れた顔で見ていた。さっきのは憶測であったが、事実本当のことだった。
「まあいいや」
菊花はシュートを狙った。翔が守っていたが、簡単に1点が入った。というのも、翔の盾で守ろうにも、ゴールに比べて盾で守るのは効率が悪いし、空気球作戦はボールの速さからして全く使えなかった。
その後前半はそれぞれ攻防が激しく、その1点以外はどちらも得点が入らず前半は終わった
今はハーフタイム。要するに休憩時間である。
「ぷはぁ…」
紅組の休憩場所では皆水を飲んでいた
「ところで、玲夢さん試合中あんまり見かけなかった気がするけど…」
前半の試合中、最初数十秒はいたが、そこから先は確かに一回も見かけなかった
「あぁ私?この芝が気持ちよさそうだから寝てたんだ〜気持ち良かったよ」
予想外すぎる答えだった
「え?玲夢さん?冗談だよね?」
「冗談じゃないよ。透明になって誰にもバレないように、芝の上で寝てたんだから。あ、勿論試合を邪魔しないように端っこのほうで寝てたよ〜」
「えー…」
人一倍眠るのが好きなのは伊達じゃないことを痛感した蓮葉だった
「大丈夫だよ〜後半はちゃんと戦うから〜多分。寝たいけど起きてすぐは寝れないから仕方なくね」
マイペースすぎる
「ところで、ブラッド(?)ちゃんは何をしてたの?私が作った壁を壊さなかった?」
「我に口を聞くとは死罪だが、この人間界では珍しく我の名前をちゃんと読んでくれたな。よい。ちゃん付けは気に入らんが答えてやる。我は貴様が生成した高き壁を破壊しなけりゃいけなかった。そうしないと、我の力を誇示できないだろ?」
変わり者二人に蓮葉は苦労させられていた。
まもなくハーフタイムは終わる。後半戦が始まった
「勝つために2点取る。」
後半戦、ボールを今は亜美が持っている。
「パスしたいが…今はできないか。力使用OKだけど、これは流石に使えないな。」
亜美の毒針は使えるわけない。重症者のオンパレードになる。
「あー、取られたか」
ドリブルでボールを運んでいると、蓮葉がボールを取った。
蓮葉は製造の力で小さめの壁を作り出し、ボールの運びを邪魔しながら一瞬のスキを狙って奪い取った。
蓮葉はそこから長い距離をドリブルした。途中で敵チームに邪魔されることもあったが、フェイントなどをかけたり、小さな壁を作って色々と邪魔をしたりして敵ゴールの近くまで行った。
「シュート!」
ゴール端を狙ったシュートはゴールキーパーに止められず、1点入った。
「蓮葉に決められたか」
菊花は遠くから心の中で蓮葉のことを褒めていた。
後半戦もいよいよ終盤、両チームどちらも得点を入れることができていない。今は1-1。引き分けだ
「ブラッド!」
丹はブラッドへとパスした。ブラッドはゴール近くにいて、シュートを決めてもらおうとしていた。
「丹よ。我にこの場を設けたこと褒めて使わす。我はブラッド。この世に舞い降りた吸血鬼…」
「うるさい」
シュートできたのにブラッドが長々と中二言葉を発していた。その間に日向がボールを奪った。
「おいこら!邪魔をすんなこの野郎が!」
「シュート決めるタイミングであんなに長いことを言ってたお前が悪い!」
ブラッドが怒っていたがそれに日向は言い返した。日向の言っていることのほうが断然納得できる。
「よし!」
日向は自分の力を使った。その力は一見どんな力なのか分からないものだった。
途中で丹がサッカーボールを奪おうとしたが、そのボールに足が絶対触れているように見えるのにサッカーボールはびくともしない。足にも当たった感触がないということが起こった?
「え?」
丹はびっくりしていた。
「えーっと、力は不触。制限時間の間物体を自分以外から触れなくする力。周りから見ることができるが触れないという不思議な現象 を起こす。なるほど」
その様子を菊花は観ていて、力の内容について納得していた。
なお菊花の力は人のステータスを観ることができる力で、そこでありとあらゆる情報を観ることができる。
「これで!」
ゴールキーパーも見えるが触れることはできない。そのせいで、1点が入り、1-2となった。その後試合終了のホイッスルが鳴り、今回は白組の勝ちとなった。
「それでは、準備が整うまでしばらくお待ち下さい。」
選手達が帰ってきた。紅組のテントで俺は帰って来た選手達の様子を見ていた。
なお、西さんは毎回の競技場その他の準備をしているので不在である
「師匠…はぁ…俺も活躍したかったですよ…。俺がやったことなんてたまたま突っ立ってたらボールに当たってシュートを防いだぐらいですよ…」
「翔色々と災難だったな」
自分の風にまきこまれたりしてたからな
「あ、俺ちょっとお手洗い行ってきます」
翔は水を飲んだあと、トイレへと走っていった。
右の方を見ていると、二人の話し声が聞こえた
「あのね。前半なんで寝てたの」
「だって…芝なんて気持ちよさそうじゃん。」
「はぁ…」
彼呆れてるな。前半ずっと寝てたの知ったときは俺もめちゃくちゃ驚いたけど
「それより、私結構頑張ったんだよ。もうちょっと褒めてもらわないと」
「透明になっているとき何やってたかまでは分からないんだけどな。まあ、玲夢は嘘は全くつかないし、頑張ったな」
「ふふっ」
なんだか笑顔になっていた。
「あの野郎!我の栄光への軌跡を邪悪なpowerを酷使して邪魔しやがって…」
「ブラッド?どうかしたの?」
この二人も話していた。中二病と思われる女子とそれを信じているっぽい男子。
「許せぬ許せぬ。我が今から直々にあの男の元へ進行して彼のものの数多の罪を懺悔さしてやる。丹、我と一緒にそこへ進まぬか?」
「分かった。俺も行く」
なんか物騒なこと言ってる。関わりたくない。
白組のテントもみんな帰っていた
愛香は日向と友達になっていた。日向と話していると、そこにブラッドと丹が現れた
「なんでここに?」
「貴様のせいで我の栄光が成就しなかった。我の力に埋もれろ」
どういうことなんだろう?
日本語なのに何言っているのか理解できない。方言なのかな
「話するときは中二病発言止めてくれないか」
「貴様また我のことを病と同じもののように扱う。貴様は無知この上ないな。だから我に勝てないのだ。まあ何があっても最強の我に勝つなど天文学的に無理なのだがな。」
「そうだよ日向。ブラッドのことを病気扱いだなんて。ブラッドは本物の吸血鬼なんだよ。それにブラッド言ってたもん。『病などそんな軟弱なものに我は負けるわけ無かろう』って」
正論を言っているだけなのに二人から責められていた。しかも吹はともかく丹はただブラッドのことを信じて言っているのだから逆に質が悪い。丹のことはあんまり強く言えない日向だった。
「俺悪くないでしょあれは!」
それから話は小一時間続いた。
「石川県の方言ってこんな感じなんだ…」
愛香は間違った知識がついた
「次の競技は借り物競走です。借り物競走は4人リレーとなります。選手は紅組、東松木・神代新・軟木北・六道黒子。白組、根高凪・根高繁・六道白子・唐栗。それでは選手はお集まりください。」
ようやく俺の番か。スポーツ大会の中でスポーツなのか分からない競技だけど。
借り物競走の走る順番はじゃんけんで、紅組が東さん→六道黒子さん→俺→ホク、白組が凪→六道白子さん→唐栗→根高繁の順となった。
「ヨーイ、ドン!」
第一走者の二人はドンの合図が鳴ると走り出した。お題のところまで行くのは東さんのほうがリードしている。
東さんがお題の紙をめくった。凪も後からめくる。
凪は自陣のテントに行った。
一方東さんは、ワープゲートを作り出した。そして何処かへといってしまった。
すぐに東さんは戻ってきた。その手には箸が握りしめられていた。家へと戻ったのだろうか。紅組がリードだ。
それに対して凪は少ししてから戻ってきた。
その手には100円玉が握りしめてあった。
「はい。白組もお題クリアです。お題は紅組箸、白組100円玉でした」
後で聞いた話によると、自分の財布から取ろうとしたけどたまたまなかったらしい。
第2走者はお題を取りに行っている。今の所十数秒の差ができている。
「え…これは…どうしよう。」
先に来ていた紅組の六道さんは立ち止まっている。お題が難しかったのか?
白組の方もお題の紙をめくった
「あ、そうだお姉様。ゴニョゴニョ…」
「それはいいね。白子。」
なんか二人で話し合っていたが、少しすると二人は何も取りに行かずコースを走った。
そして、その途中でそれぞれが物を相手に渡していた。
「はい。二人ともお題クリアです。紅組のお題は髪飾り、白組のお題はカードでした。」
黒子さんの方はポケットにテレフォンカードを入れていたらしく、白子さんの方は髪を纏めるために髪飾りをつけていたので、それぞれが交換することでどちらのお題も達成させたということだ。
よく思いついたな。流石双子だ。
第三走者の俺達は前走者の影響で同時にスタートした。
「くっ。あっちは速いな。」
相手はからくり機械。普通なら速く走れるとはあまり思わないけど、彼は自由に行動できている現代のロボットより凄いロボット。速く走れるような改良がされてあったとしても全くおかしくない。
10秒ほどの差があいて、やっとお題をめくれた。相手はもう取りに行っている。
お題は「水筒」だ。
テントへと走る。そしてテントから自分が持ってきた水筒を取って戻った。そのうちに相手はもうお題を終わらしていた。
10秒ほどの差がついた状態で、最終走者へとバトンが移された
「お題クリアです。紅組が水筒、白組が箱でした。」
なお相手は工具箱を持ってきた。作り主が持って来ていたらしい。
ホクがお題をめくった。繁はお題を取ったきり考え込んでいる。
「最後のお題は難問なので、テントの皆様も考えてください。紅組のお題は銀成分が含まれるもの、白組のどお題は金成分が含まれるものです。」
最後だけなんか難しいな。
ホクはテントで皆に聞き込みをしている
「銀成分が入っているもの、誰か持ってきていない?銀の食器とか、そういうやつ。」
そう聞くが、誰も答えはしない。一部(眠っている女子や中二病女子)を除く皆が勝つために考え込んでいた。
「んぁ…試合、終わった?」
しばらくして、寝ていた観音さんが起きてきた。試合終了まで寝る気だったのか
「銀成分が含まれるものがお題なんだよ。玲夢もなんか考えてくれ。」
「それなら、スマホはどう?携帯電話に銀使われているってどこかで聞いた。」
「それだ!都市鉱山のときに習った。でかした。スマホを持っていってください!」
機転により、ホクはスマホを持っていった。
「終了!今回は白組の勝ちです」
え?
もうちょっとだったのに、いつの間にか繁がクリアしていた。繁はペットボトルに水を入れていた。なんで?お題金成分だよね?
「海水を持ってきてくれました。海水には極微量ですが金成分が含まれているのです。」
そうなの!?初めて知った
こうして、借り物競走は紅組は負けで終わった。
テントへと戻る途中、選手達が話していた。
「六道さん。悪いですが、これは勝負なのです。あなたの妹であっても、今回ばかりは敵です。助け合わないでもらいたいのですが」
「ごめんなさい。私は妹が一番大好きで、それで甘やかしちゃうんです。昔は病気でいつも家の中にいたから。でも、私だけがそんなことしちゃだめですよね。ごめんなさい」
「あ…いや、まあ、私は一人の子のためにルールを破ってしまうことは必ずしも悪いことは限らないと思います。私もきつく言い過ぎたかもしれません。私からも謝ります。」
東さんと六道さんが話していた。六道さんが妹のことが好きなように、東さんはお嬢様(南さん)のことを大切にしている。意外と気が合うのかもこの二人
二人の話を聞きながら、テントへと俺達は戻った
「では準備ができたので野球の選手を発表します。」
「選手は、紅組 東松木・神代新・大木翔・軟木北・任田沖・観音玲夢・平良心・鏡丹治・日柱吹。白組 南菊花・根高凪・根高繁・波山愛香・若木露里・野宮陸・六道白子・明石湊・丸岡日向です。選手は出てください。」
ポジショント打順を適当に決め、じゃんけんで紅組が先攻となった。
敵のピッチャーは野宮陸さん。彼自身が立候補してたっぽい。そして一番バッターはじゃんけんでホクになった。
「今日のはこれには使える力で良かった…下手したら全く使えんかもしれんかったからな。」
野宮さんがなんか言ってた。
「おらっ!」
ピッチャーが球を投げた。最初はストレート
投げられた野球ボールは異常な速度で風を切り、当たったバットを折り、キャッチャーの明石さんの隣をぎりぎり通り、裏のネットを破って小高い丘の地面に落ちた。落ちた地面の土がえぐられていた
「え?」
何が起こった?力を使ったんだろうけど…
「強すぎでしょ!野球にここまで強いの求めてないんだから!戦闘に使うわけじゃないのに…てか、大丈夫だった?」
「は…はい…」
運良く二人どちらにも当たらなかったけど、もし当たっていたら重症だよな。
「あぁ…これバット折れてるな…バットの変えは用意していないんだが…それに野球ボールも壊れてる。まあこっちはまだ替えがあったけど。」
西さんが現場を見に来た。
誰もこんなこと起こるとは思ってなかっただろうな。
「仕方ない。野球に関してですが、諸事情により続行不可能になってしまいました。早いですが、昼休憩へと移ります。午後の部の開始時刻は予定通りとします。」
バットが折れてしまったことにより、野球はなしで午前の部は終わった。
とんだアクシデントだった。
ちなみに製造の力で彼女がバットを作ろうとはしたものの、材料がなく諦めたらしい。仕方ないね。
「師匠!一緒にお昼ごはん食べましょう!」
「いいけど。それならあいつらも誘うか」
翔と2人で昼食を東さんから受け取ると、白組のテントへと行った。
「あ、神代先輩。」
「一緒に昼食食べていいか?」
「もちろんですよ。」
「俺もな」
「私も一緒に食べたいです。」
「じゃあ、昼食取りに行ってくるので、二人共ここで待っていてください。」
3人は昼食を取りに行った。
待っていると近くから声が聞こえてきた
「姉さん。どこで食べる?」
「あの小高い丘とかどう?」
双子の二人の会話だ。めちゃくちゃ仲良さそうで、思わず微笑んだ。
「お父さん。機械は食べなくても生きていけるのに…」
「ちゃんと食べろ。俺が機械でも食を感じる機能はつけたんだから。機械だって人間のように扱うのは、当然なんだから。」
こっちも親子愛的なものが垣間見えた。機械と人間だけど。
微笑ましい。こういう光景を見れただけで、来てよかったと思える。最近は魔族の死体ばっかり見てしまってたからな。
たまには息抜きも必要だ。この交流を考えた新潟県の方々に感謝したい。
「持ってきた。」
3人が帰ってきた。俺達早いときに並んだらしく待たなかったけど、3人はまぁあ待ったっぽい。
「で、結局どこにする?」
流石にここはテントだから他の人の迷惑になりかねない。
個人的にはどこでもいいのだが。
「なら、海岸で食べたいです。」
愛香がすぐに言った。
「海岸でいい?」
皆に聞いたが、全員そこで良いっぽいので決まった。
海岸へと歩いていった。
「あれ、お前たちもここで食べるのか?」
海岸へ着くとすでに先着が昼食を食べていた。そこにいたのは任田さんと平良君だった。
「はい。てか、平良君も一緒なんですね」
「はい。僕一人で食べるの嫌だったんで任田お兄さんに頼んだんです。一緒に食べさていいですか?って。そしたらOKしてくれたんです。」
「海っていいな。水平線まで広がってて」
「海…いいな…」
愛香と翔が独り言を呟いていた。翔は山育ち、愛香も聞いたところ山育ちっぽいから、二人共海に憧れるのだろうか。
「ここでいっか。」
貸し出していたレジャーシートを引いて、5人で座った。大きいやつだから、まだまだ間がある。
「いただきます」
挨拶をして食べ始めた
弁当を食べながら雑談していた。最近の歌について話していた。あんまり歌を聞かないのでめっちゃ流行ってる系のやつしか分からない。
「お兄ちゃん。どんな感じに告白したらいいと思う?」
「例えば…」
凪と繁が二人で小さな声で話していた
「どうしたんだ?」
「ちょっ!あ、あの、二人だけの大事な話だから!新は気にしないで!」
少し聞いただけで凪に大きな声で言われた
驚いたけど確かにそうだよな。秘密の話なんだから他人に聞かれたくはないよな。兄妹だから話せる話もあるだろうし、そこのところ配慮が足りなかったな。
「お兄ちゃん。この話は先輩と別れたあとで」
「ああそうだな。」
「ようやくいた!さぁ可愛い子ちゃん。可愛い写真をちょうだい。スマホの写真を送ってくれればいいの」
食べ終わった頃、幼女大好き若木さんが現れた。
「また来たんですか」
「確かに愛香ちゃんのも欲しいけど、それは無理そうだから、今回はそっちの可愛い繁ちゃんのを貰うわ。今の所白子ちゃんと黒子ちゃんのは手に入れたわ。この調子でできるだけ集めてやるんだから」
あの二人あげちゃったんだ。でも見た感じあの二人穏やかな性格だから、断れきれなかったのかな。
「ちょっと待て」
凪が言い張った。まあいきなり妹に写真くれって言われたらそうなるわな
「繁のどこが可愛い?」
うん?
「まずはその髪。髪をあえて結ばずそのままにさらっとすることで可愛さがアップしている。そして次に服。一瞬大人っぽい服だけどそこに子供のような飾りをつけることでアクセントの効果で可愛さが抜群、それと……」
…長え
「とまあ、そんなところです」
「ふん。分かってるな君。写真が欲しいんだろ。俺が持っている写真なら一部を除いてあげよう」
「え?お兄ちゃん。まぁ確かにあげてよかったけれども」
凪どうしてそうなった。これあれか?同じアニメのオタクがそれぞれが思うアニメの良さを言い合って最終的に仲良くなるアレか?
確かに凪は妹好きだけれども
「連絡先交換しないか?繁の可愛さについて語り合いたい」
「いいですね。交換しましょう」
「そろそろ戻るか」
午後の部がもう少しで始まる。弁当のゴミを手に海岸を離れた
帰っている途中、さっきの若木さんと海岸で弁当食べていた二人が一緒にいるところを見つけた
「ねぇ、心ちゃん私に女裝した画像送ってくれない?」
「え、ちょっと…」
「露里、やめろ」
放っておこう。下手に絡まれたくない
午後の部で色々なことが起こった。
まず最初のアーチェリー対決。それぞれの組から一人ずつ出場して得点を競う。
何故か選手が銃を使う繁とクロスボウを使う六道黒子さんだったので、なかなか白熱した戦いになった。どちらも武器の力を使ったわけではなさそうなので、純粋に力量の対決だった。
結果は、銃と弓矢は遠距離を狙うという点では同じだが弾丸と違って環境の影響をよく受けるので、その点でクロスボウの黒子さんが勝った
そして次の騎馬戦。これに関しては特に言うことがない。愛香が瞬間移動で敵の鉢巻奪ったから速攻で決着が付いた。だからチートなんだってそれ。
そしてバスケットボール。選手には俺も選ばれた。これはバスケ部員としてちゃんと頑張った。味方が空を飛んだりゴールに蓋を作ったりして、逆に敵は薬を飲んでめっちゃ素早く動いたり、もうめちゃくちゃだった。皆が必殺技とか持ってるスポーツ漫画かと思った。
また戦い中に寝てたりよく分からん名乗りをしてたり女子に迫ってたりもうカオスすぎた。
なお結果は俺達が勝った。自分も活躍はできてたと思う。
その結果、3-3と引き分けになっていた。
「最後のドッジボールです。なお最後は全員出場です」
バスケットボールが終わって水分補給していたが、次も出ることになった。色々とあったスポーツ大会もこれで最後か。まあ、勝ちたいな。
「師匠。最後のドッジボール、師匠をこの盾で守って見せますからね!」
「ドッジボールのルールだとそれアウトじゃないかな?」
分からないけど。なんかそうだった気がする
「師匠も電磁使えば余裕で当てられますよ。」
「まあな。」
バスケのときはそもそも使おうにも味方にも当たりかねないので使えなかったが、ドッジボールはコートが完全に区切られている。電磁で一網打尽だ。
「でも、相手も相手で強そうなんだよな。」
愛香の瞬間移動とかボールにされたらおしまいだろ。どうやったら受けられるんだか
「そして、愛香なら確実にやるよな。すでに似たようなことしているんだし。」
そう。最初のバドミントンのときからシャトルを瞬間移動させる戦術を使っていた。
「ま、考えるだけ無駄か。翔、行こっか」
「はい。」
全員が集まり、ドッジボールが始まった。
最初の外野は2名、紅組は東さんと観音玲夢さん。白組は六道白子さんと明石さん。
最初は紅組からだ。
「とりあえず電気使うか。」
白組のコートに電流を放った。これで動くことはできない。範囲の都合上一部の人は避けられたけど、それでも十分すぎる。
投げられた球が野宮さんに当たった。当てられた人は外野へと向かう。
ボールは白組の内野へと落ちた。それを繁が拾った。
「そう言うことね。分かったよ。」
繁は外野へと投げた。その球を白子さんが拾った。
「それ!」
「ここか!」
白子さんと明石さんが紅組コートを通して投げ合っている。取りたいんだけど、両方が何も力を使ってないだろうに球が普通に速い。単純にドッジボールが上手い。
「よし!」
明石さんが投げた球が一瞬のスキを付いてホクに当たった。
その球はギリギリ紅組が取れた。
「よし!これで…」
さっき避けているとき、凪が何かをしていたのが見えた。何かを配っていたように
「電気で痺れさせて…」
さっきと同じように電磁を使う。だが相手チームの誰もがケロッとしていた。
「電気耐性を上げる薬、成功したみたいだな」
凪の独り言が聞こえた。さっき配っていたのは電気耐性を上げる薬か。俺にとって一番イヤな薬なんだが
凪は電磁使ったことに気がついていて、それの対策を短い時間で作り上げたというのか。。もしかして、繁のさっきの言葉も凪がやろうとしていることを見抜いていたのかもしれない。
それより、電磁の技が完全に無意味となってしまった。どうしようか
「さぁ我はブラッド。いずれこの世を統べる吸血鬼なり!」
「ブラッド。頑張って。」
日柱さんの球は名村さんにキャッチされた。そして名村さんはすぐに投げ返した
「丹!」
日柱さんの叫びも虚しく、丹に球が当たった
「へへ。当たっちゃったか」
「しかも、これはきついな。」
当たった球は白の外野へと跳ね返った。
「昼休憩時に調整したから、もうあんなことにはならないだろうな」
落ち着いた口調とは裏腹に、野宮さんはめちゃくちゃ速い球を投げ、それにより任田さんがやられた
結構やばい状況かも
だが、球は自分たちの外野へと跳ね返っていた。誰もいないところに転がっていた。
すると、球が消えた。
「え?」
そうしていると、今度は別の所から球が急に出てきて、それにより唐栗がやられた。
「私も、活躍しましたよね。」
何も無かったところからは観音さんが現れた。観音さんの力は確か透明になるやつだって聞いた気がする。それを使ったのだろうか
今の所内野には紅組6人、白組7人。
「紅組の武器の力、一通り見たけど強いの多いな。」
球は今南さんが持っている。
「でも、このデータによると、こうかな?」
投げられた球に日柱さんが当たった。南さんは西さんに聞いたところ人の能力やらを数値や文字で見ることができる力を持っているらしい。簡単に言えばゲームのステータスウィンドウが見えるということだ。でも結構色々な情報が見えるらしい。詳しい情報は検索しないと出てこないらしいけど。
この力があれば、俺達の力は勿論。弱点なんかも簡単に分かる。今はそれを使ったぽい。
日柱さんが右目を隠してて距離感が掴めてないときに狙っていた。
「我はこの程度で屈せぬ。残念だったな愚民共。われの体は永久に朽ち果てぬ!」
いや、屈してください。そういうルールです
それから少しあって、丹が説得して外野へと出て貰った。
「お嬢様、悪いですが、これは勝負なのです。覚悟!」
位置的に一番狙いやすかったお嬢様(南さん)を西さんは狙って投げた。ギリギリで避けられたが。
でも紅組の外野へと球は転がっていった。今南さんは線の近くにいる。すぐ投げれば確実に当たる距離だった。
だった。
「お嬢様に球など当てられません!蓮葉、一体何をしているんですか?」
「勝負なんだが?私は怒られる筋合いないだろ!」
同じチームで揉めてる。
これ完全に西さんの言い分が正しいと思う。執事として主に球投げたくないのかもしれないけど、これ勝負だしね
「東、これ勝負だからやっていいんだぞ」
敵チームの南さんにまで言われている。
結局彼は遠くに投げたけどバウンドしたので取られた。
そこから少しの間は特に目新しいことも起きなかった。今紅組内野の俺が球を持っている
「おらっ!」
闇雲に投げたけどたまたま凪に当たった。
「それっ!」
でも凪が出たあと球を取られて俺がやられた。
「あぁ、やられたか」
外野へと出た。
「師匠を良くも。」
翔が風の力でたまを飛ばそうとした。空気球の威力でぶっ飛ばそうとしたのだ。
「あぁー吹っ飛びすぎ」
空気球の威力が高すぎたので、球がコートのかなり上を飛んでいった。
「僕も風起こしてみようかな」
紅組の外野へと行った球は、何回か投げるのを経て南さんに当たった。上手い人もいるな。
「よくもお嬢様を…」
なお、当てたあと当てた人に東さんが絡みに行って、それをなんとかする羽目になった。
冷静になってください。
外野での騒ぎは無視して、ドッジボールは続く。
現在球は愛香が持っている。
「瞬間移動。」
球を瞬間移動で当てにかかっている。それに対し西さんが製造で壁を作って防いだ。
「当たりたくなければ私の後ろにいな!この人数なら守りきれるから!」
かっこいい…ドッジボール大会でのセリフなのがかっこよさを下げてる気がするけど
「といっても、材料の関係でこれ以上は壁作れない。一度壊せば材料を手に入れることができるけど、100%回収できるわけじゃないから。そこのところ、気をつけてね。」
「投げるなら僕にやらして。」
「いいぞ。ほいっ」
球を拾った翔が心君に球を渡した。
「こうして、こうして、こうすれば!」
心君の球は最初は普通の球だったが、その球は落ちそうで落ちず、ありえない方向へと転換して名村さんに当たった。
「風の力か?」
「うん!」
「その力俺の力の完全上位互換だよな…」
「え?なにか言った?」
「スキあり!さぁ繁ちゃん。愛香ちゃん。私のこと見ててね。そして私のことを好いて!私のことを変人扱いしないで!」
二人が話していると、露里がスキを付いて球を投げてきた
「盾で!」
「風の力で!」
二人共が一緒に行動したことでハプニングが起きた。翔が構えた盾を心君が風で吹き飛ばしてしまった。それにより、翔に球が当たった。
本当にこんなことがあるんだ
「ご、ごめんなさい…僕のせいで…」
「そんなに謝るなって。頑張れよ」
「こっちはこっちでやばいな。どうするべきか」
「私は一人で逃げるので、製造の力で頑張ってください。」
心君と翔が話していた頃、外野へと転がった球に西さんと六道黒子さんが必死で避けていた
「製造で作れるのもだいぶ小さくなってきたな…心君。君もこっち来て!」
投げられた球が運良く紅組の外野に入った。
「よし!」
「やった!」
外野から内野を狙った球が投げられ続け、その過程で愛香と繁がやられた。
この調子なら、紅組の勝利もあるかも
と思っていたら、取りそこねて白の外野へと球が転がっていった
「瞬間移動。」
愛香はさっきと同じように瞬間移動を使った。しかしさっきとは違う。瞬間移動の出先を背中にした。完全に避けられなくするためか。
この作戦で、西さんがやられた。
「私だって、姉なんだから、いいところ見せなきゃ。」
露里を目掛けて狙ったのだろうが、結局バウンドした。
「よし、ギリギリで取れた。」
紅組の外野へと入るところだったのに、ギリギリで丸岡さんに取られた。
「さ!」
白組が内野と外野を数回投げ続けていた。その過程で心君がやられて、残り一人となった。
「これで、終わりだ!」
当たると思ったとき、なんとか彼女は投げられた球を捕まえた。
「私じゃ無理なので、外野の皆さん。お願いします。」
外野へと球を渡した。
「分かりました。お嬢様以外になら投げるのは大丈夫なので。私にお任せください。執事たるもの、体は鍛えています」
「いや、お嬢様は敵チームなんだが」
西さんのツッコミを無視して、球を受け取った松木さんが速い球を投げた。それが丸岡さんに当たった。1-1だ。
だが、予想外のことが起こった。当たったボールは内野ではキャッチできなかったのだが、内野から紅の外野へと行った。しかしその近くに誰もいず球は転がり、白組の外野へと転がっていった。
「お姉ちゃん。ごめんね。」
妹が素早く投げた球を避けられず、最後まで残っていた姉はやられた
「終了!紅組が誰もいなくなったので、白組の勝ち!これから、閉会式へと移ります」
今回の全体の勝敗はもう分かっている。紅組が3点、白組が4点。
数え間違えではないと思う。これが今回の結果だ
「それでは、閉会式を始めます。始めは優勝チームの発表です。優勝チームは…白組です!おめでとうございます!」
負けたか。俺バスケしか活躍できてないような気がするな。
次は主催者の挨拶。主催者は勿論南さんだ。
「今回のスポーツ大会で、同じ仕事をしている仲間と交流できたでしょうか?少しでもそのお手伝いができたのなら良かったです。これからも、自分たちの仕事をそれぞれ頑張ってください。」
閉会式は順調に進み、閉会式が終わった。
「最後に記念写真撮ります!全体でそれぞれ撮りますね。」
南さんは三脚にカメラをセットし、セルフタイマーをセットしてすぐに空いているスペースに入った。
「1足す1は…」
「2!」
カメラのシャッター音が鳴った。
「では、今回はありがとうございました。」
これにて、スポーツ大会は終わった。
これからは帰ってもいいし、少しここにおってから帰ってもいいことになっている
主催者達新潟県の異少課3人は片付けをしていた
「お嬢様。片付けなら私がやりますよ。お嬢様は何もしなくていいですから」
「松木、私にも片付けぐらいさせてよ。主催者ならこういうところにまで責任持つのが当たり前なんだから」
「皆でやったら早く終わるだろうからな。私もお嬢様と同じ意見。」
3人はやっぱり仲が良かった
「まあ、私ができることは早いうちにやっておかないとね…あと150も無かったし」
「お嬢様…」
「お嬢様。その話はやめにしましょう。それに、数字なんてあてにならないことのほうが多いんですから。未来はすでに確定しているわけじゃないんですよ」
「蓮葉…そうだな。」
「ところでお嬢様。あそこに…」
「あっ、あの…先輩…あの、一緒に来てほしいところがあるんですけど…」
荷物を持って皆で帰ろうとしていると、突然繁に呼び止められた
「ん?まあ今すぐ帰る必要もないしいいけど…俺だけ?」
「はい。」
俺もしかしてなんかやっちゃったか?一人だけ呼ばれるとか怖いんだけど
まぁでも繁だし…いや、繁だからって油断はできないか、むしろいつもは穏やかな人ほど起こると怖いこともあるし、事実愛香だって最初の頃怒って翔を酷い目に合わせていたこともあったし。
「愛香、翔。ちょっとこっちを手伝ってくれないか?」
凪が二人を何かの手伝いに誘ったので助け舟を出すことは無理になった
👍
凪が繁に対してグッドサインを送っていたことに、気がついたのは繁だけだった。
繁に連れられて森の近くの小高い丘を登った。登っている最中何を言われるのか気がかりで仕方がなかった
「先輩。ここから海を見てください」
言われるがままに海を見た。そこには…
「…夕焼け…綺麗だな」
海をオの青と夕焼けのオレンジが綺麗な景色が広がっていた
「でもこれなら俺だけじゃなくても良かったのに。愛香とかも連れてくればよかったんじゃ」
「いや、先輩に伝えたいことがあるんです。先輩。実は…私…」
ドゴッ
「え?何?何が起きた?」
繁が話しているとき、近くに見た目的に魔族と思われるものが落ちてきた。全く動かない。多分すでに死んでいる。
「え?ここにいたの?大丈夫?巻き添えくらってない?」
森の中から西さんと東さん。そして南さんがやってきた
「えーっと…これ何があったんですか?」
「いや、片付けしてたら魔族がここにいるの見つけてね。様子見に行ったら戦う羽目になって、瀕死の状態まで追い込んだんだけど、羽を使って羽ばたかれたんだ。でも瀕死にしていたから、結局墜落しちゃったみたい。」
「大変ですね」
「まあこれに関しては主催者が何とかしとくから、君たちは無視していいよ。」
3人は死体をすぐに処理して、片付けをしに丘を降りていった
「ところで、なんの話だったっけ?」
「…もういいです」
よく分からないまま、丘を降りて皆と合流し、帰るのであった
凪と繁が家に帰ったあと
「繁、上手く行ったか?」
「お兄ちゃん…聞いてよ。かくかくしかじか」
「あ…今回も邪魔されたか。毎回予想外のこと起きるな。呪われてるんじゃないのか?ま、お兄ちゃんがまた告白できるよう頑張るから」
「お兄ちゃん。ありがと」
大会が終わって、繁が告白しようとしたり新潟県の3人が魔族を倒す羽目になっていた頃。他の人たちはどうなっていたのだろうか
まずは石川県の3人
「人間共の遊戯にしてはなかなかおもしろいものだったな。まぁ我にとっては喚く人間から血を吸い取るのが最高に楽しいがな」
「ブラッド…」
「お前な、中二病やるのはもう諦めているけどさ、丹に変な影響与えるなよ。丹を中二病にするなよ。マジで」
「ねぇ、いつも言ってるけど、中二病ってなんなの?」
「中二病って言うのはこいつのことだ」
「違ぇわ!」
ブラッドは日向に中二病じゃないと伝えた。まぁ中二病なんだが…
次に静岡県
「よし!幼女の写真ゲット。できるならもうちょっと欲しかったな…」
スマホの写真フォルダーを見ながら呟いた
「お前傍から見たら変態だぞ。変態だけど」
「自分のことを変態といくら言われようが、私は私のしたいことをする。人の評価なんて、自分には全く関係ないんだから」
「何ちょっと良い事言おうとしてるの?」
今度は福井県
帰る前、島の海岸で二人で座って海を眺めていた
「お姉ちゃん。楽しかったね」
「うん。私も楽しかったわ。黒子釜アーチェリーで活躍してたし」
「もぅ…お姉ちゃん…」
「それはそうと、明日からはちゃんと仕事しないとね。平和を守らないと」
「うん。お姉ちゃん。」
そこに平良心君がやってきた
「横座ってもいい?」
「いいよ。」
心君は二人の横に座った
「心君ってそういえば一人で山梨県の異少課やってるの?自己紹介のとき山梨県の人いなかったから気になっちゃって。」
「うん。でも僕のところはあんまり魔族が来ないから、僕からしたらお姉ちゃんたちのほうが凄いなって思うんだ」
それから3人は色々と話した。年が近いからか結構話していた
次は愛知県
「お父さん。どうだった?」
「唐栗が頑張ってたの見てたよ。唐栗ほんとに人みたくなったね。昔とは大違いだ。」
「お父さんは、昔のほうが良かったの?」
「いや、今のほうがいいな。自我も持ってるロボットは人間と言ってもおかしくはないからな」
最後に岐阜県
彼らは終わったあとすぐに帰って、誰かに報告をしていた
「頼んでいた調査、どうだったか?」
「私が寝る間を惜しんで調べてきました。透明になって色々と見てきました。でもそんな人はいなかったと思います」
「そうか。ま、引き続き調査をしてくれ」
「てか、それ本当の情報なんですか?」
「本当だ。私の夢に出てきたからな。」
「は?」
沖は怒った。そんな中、玲夢は眠っていた
…zzz
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