第6章 怪盗と探偵と警察業!
警察署乗っ取り事件も終わった数日後、壊されたところを修復していた
材料費も修理費も異常な金額になるところで、修復出来なくなるかもしれないところだった。
だが、ホクが復活で人員を増やし、かつあの技術班の縁の下の力持ちの博士が簡単に直してくれる機械を提供してくれたため、人件費は全くかからなかった
材料費だけだが、それもあの博士が安価な建材を用意してくれたので、結果的に治せる目処が立った
やはりあの博士強ない?ていうかあの博士はなんでこんなに協力してくれるんだか
ま、いっか
今は暇つぶしで食堂に来ている、食堂は運良く被害が軽微だったので、すぐに直ったのだ
ちなみに一人だ。愛香は繁に警察署を簡単に説明して周っている
「絶対抹茶です!」
「いいや、それは何としても譲れん!」
…?
何だか言い争っている、そしてこれらの声がどちらも聞いたことがある声だ
「やっぱりか、何してるの愛香も凪も…」
食堂にいたのは凪と愛香、そして繁だった
繁がいるから、多分愛香が食堂の説明に来たんだろうけど…
どうしたらこんなことになるんだ?
「だから…」
「抹茶よりも…」
言い争っていて俺の声は届いてないようだ、そこでよく分からない状況を傍観していた繁に話を聞いた
「何があったの?」
「愛香がここに連れてきて、そこまでは良かったんですけど、愛香が『ここの日替わりランチは美味しいんだけど抹茶がかかってないところだけ直してほしいね〜』と言ったらそれを聞いたお兄ちゃんと言い争いが始まって…」
あーなるほど、これは面倒くさいことになってるな…
愛香は抹茶オタクで抹茶を否定しないだろうし、凪は料理部の部長としてより美味しい料理を作りたいからあまり変なもの入れたくないだろうし…
「なら、神代先輩に決めてもらいましょう」
「そうだな、それが公平だ」
なんか巻き込まれた
そうして、凪と愛香の料理対決が始まった
愛香は抹茶の良さを伝えるため、凪は抹茶で味を損なわないようにするために
戦いの火蓋が切られた
「ルールはどちらが美味しくカレーを作れるかでいいよな?カレーはここの定番メニューだし」
「良いよ、勝つのは抹茶だろうけどね」
「ちょっと待って、勝手に厨房使っていいの?」
被害が軽微で修繕が済んだ食堂に行って頼んでいる。そういえば凪はまだ食堂で働いているみたいだ。楽しくなったからだとか。
厨房にて料理を作っている、その間食堂の席に座って待っていた
「私も隣座っていいか?」
後ろから聞こえてきた声、そしてそこの後ろにはついこの前会ったあの人がいた
「えっと…山井さんでしたっけ?」
「そうだ、それで合ってる」
後ろにいたのは警察署乗っ取り事件のときに出会った山井さん、探偵をやっている人だ
また暇つぶしで来てるのだろうか
「ところで、助手の方は?」
「恋か?恋は今買い物してるはずだが」
買い物、やっぱりここに何かをしに来たというより、ただ暇つぶしで来たというものなんだろう
大事な用があるなら助手を連れてくるだろうし、そもそもこんなところで油売ってる暇などないはずだ
「ところで、君達について色々と教えてくれないか?この前はこっちが言いたいこと言っただけだったし」
確かに、彼女は数少ない異少課の協力者。情報共有していたほうがやりやすいだろう
食事も来たことだし、食べながら話していた。
「君達のところを見せてくれないか?」
料理対決が終わったところで、異少課の部屋へと戻る
「やっぱりこっちの方は被害が凄いんだな…そういや、いつ頃全部直るんだ?」
「2週間後とは言ってましたね」
2週間経てば元の警察署となる。それまでの辛抱だ
異少課の部屋にて
「宿題か?良ければ教えてあげようか?」
暑いから窓を開けていた彼女は机の上のノートを見ていった
「じゃあ、お願いします」
今日の宿題の範囲の2次方程式、あんまり分からなかったんだよな…
高校生の方なら何とかいい感じに教えてくれるだろう多分
「だから、分母が2aとなって、分子が-b±√b^2-4acとなるんだ」
山井さんの教え方は良かった
スマホをいじりながらだったが、2次方程式の公式を分かりやすく教えてくれた
「ありがとうございました」
「そんなにかしこまらなくていいんだが…」
とは言っても山井さんは年上、石山さんみたいなダメ人間ではなくちゃんと見習うべきところがある人
そんな人にはかしこまるのが敬語というやつだったはずだ
グサッ!
いきなり物音がした、見ると矢が椅子に刺さっていた
場所から見るに、開いている窓から打ち込まれたものだろう
危なっ!
誰かが意図的にやったものだよな確実に、ではないとこんなところには打ち込まれないだろう
「何なんだよ」
「あれっ、矢に白い紙が…」
矢には白い紙が結び付けられていた、まるで時代劇のように
ここ現代だからな
矢から紙を外し、中に書かれていた文字を読んだ
予告状
今から3週間後 6月12日午後9時
魂の石 頂きに参ります
怪盗アヤ
怪盗…何だか馬鹿げているな
「怪盗アヤだと!」
いきなり大声を出した
「どうかしたんですか?」
「怪盗アヤ、魂の石だけを専門とした盗人。私といつも対峙しては、あとちょっとのところで逃げられる」
「あいつは、私が一番嫌いな怪盗だ」
何だか訳ありそうだな…
怪盗を好きになる探偵がいるのかは置いといて、それにしても一番嫌いとまで言う始末、おそらく過去に何かあったんだろうな
「怪盗アヤ…そいつが、山井さんの一番嫌いな人と…」
「ああそうだ。私が唯一捕まえられなかった奴だからな」
逆にそいつ以外全員捕まえられたの?普通に凄くないか?
でも、だからこそ、一つのミスを見過ごしたくないんだな
「魂の石、ここにあるんだよな?」
「あ、はい多分」
学校異世界から帰るとき、念の為何か手がかりが得られるかもと石を一つだけ持ち帰った。だが結局何も手がかりが得られなかったので、石山さんに渡したのだが。
「石山さんが一番知っているはずです」
石山さん…今どこにいるんだ?
近くの部屋にはいなかった。ここじゃないのなら本当にどこにいるのか検討もつかない
「とりあえず、私は帰る。6月12日来てもいいか?私は自分の手で捕まえたいんだ」
彼女には、強い意志が感じられた
「もちろんいいはずですよ、そのほうが捕まえやすいだろうし」
異少課は魔族に対する任務が主、とはいえ、犯罪者を野放しには絶対にしたくない。警察官として
「分かった。あとどんな感じで守るか電話で教えてくれ、そっちのほうが作戦立てやすいから」
捕まえたいんだな、確実に
山井さんが帰って少ししてから、異少課の部屋前廊下には繁、愛香、そして部活が終わった翔が話し合っていた
「皆、ちょっと来てくれ」
皆に先程までに起こっていたことを話した
「警察署に盗みに入る不届き者がいるとは!私がこの手で裁いてやろう」
繁がなんかいつもと違う感じで喋った
「繁?」
「ごめんごめん、つい最近時代劇にハマっていたものだから」
時代劇ってこういうやつだっけ?一部あってるけど一部違うような…
「ところで、その予告状を見せてくれません?」
「うん、良いよ」
スマホで撮った写真を見せる、本物の予告状はとっくに専門の課に持っていった
めちゃくちゃ慌ただしくなっていた、やはりこの怪盗は強いやつなのか?
山井さんがいつも逃げられてると言うぐらいだから、頭の切れるやつなんだろうな
本当、その頭をもっと世のため人のために使ってくれればいいのに…
「三週間後か…」
でもなんでわざわざ3週間も前に予告状を送ってきたんだ?怪盗だから相手が守りを固めるまでの猶予を与えているとでもいうのか?
怪盗ならそんなのもありそうではある。実際わざわざ予告状を送ってきているしな
でも、その猶予の期間だとしても1週間程でいいはずだが
「3週間後じゃないとだめとかあるのか?」
でも俺が知る限り犯行予告の日は本当に普通の日だ。何かがあり、それに便乗して盗むとかもない。
まあ、この話は一度置いておくか
「怪盗アヤについて調べてみるか」
スマホの検索でヒットしたものを色々と調べてみると、少しだけだが分かった
盗むものは魂の石のみ、過去に数回事件を起こしている
毎回予告状を送りつけては、華麗な手口で盗み出しているということ
誰かに暴行するとかそういう類のものは一度もしてないということ
見つけられた情報は、これぐらいだった
「あんまり分からなかったな…」
「やっぱり、この方法でいっか」
魂の石を盗むと言われて、わざわざこの場所に置いていく意味はない
そもそもあっちから勝手に送り付けられたことだ、石を隠してはいけないというわけではない
石を隠したことは流石に知らないだろうから、捕まえるチャンスを作れるし、万が一失敗しても被害は出ない
まさに一石二鳥の作戦だ
俺はこのことを皆に説明した
その夜
「…という方法でやりうとしているんですが、どうですか?」
電話の相手は山井さん、教えてくれと言われたのできちんと守り方を伝えている
「…それはだめだ」
「なんでですか?!正々堂々戦いたいから、魂の石を隠すのは駄目とか、そういうことですか?」
「いや、そういうことじゃない」
違うのか?絶対この理由だと思ったんだが
「その作戦ならすでに一度やった。予告日に遠くの家に保管する作戦で、でも奴はそっちの家に現れて、盗っていったんだ。奴には、魂の石の大まかな場所がわかる…と個人的に思っている」
そんな…大まかだとはいえ、完全に持っていくのは駄目なのか
それができればそうしたかったのだが
「こっちも作戦を考えておく、だからそっちも頑張れよ」
そう言って、通話は終了した
次の日、凪も繁から聞いたらしく、これからは全員で考えるようになった
ちなみに石山さん、昨日は非番だったみたいだ。どうりで見つからないわけだ
「で、怪盗が来たやらなんやらしたと」
石山さんに昨日起きたことを話したのだが、まるっきりやる気ないな
「どうせ怪盗なんていない。質の悪いイタズラだよ。よく爆破予告のニュースとかあるけど爆破予告されて実際に爆破されることなんてほぼないやろ。あれと同じだ」
まあ分かるんだけど、警察がそれ決めつけちゃだめじゃない?
「でも、山井さんが前に会ったことがあるとか言ってましたよ」
「よし、怪盗はいる。警察として必ず捕まえてやるよ」
一瞬で態度変えたな。
山井さんのことを信用しているのだろうか?
「で、魂の石結局どこにあるんですか?」
「警察署の地下の保管室に置いてある」
地下?そんなところあったか?
ここで仕事してから1、2ヶ月たったが今まで一回も見たことがない
階段は警察署内に数か所あるのだが、どれも一階で終わりだ
「地下あるんですか?」
凪繁はここに来てすぐだから知らないのは当たり前だが、愛香や翔も知らないみたいだ
「ああ、地下に行くには、ある特定のルートを通らないといけない。地下には重要なものが数多く保管されているから、盗まれるわけには行かないからな」
そもそも警察署に盗みに入るやつなんてこの怪盗ぐらいだと思うぞ
警察官がうようよいる中、盗みを働くなんて自殺行為だろ
逆に言えば、そんなリスクを追ってまで奴は魂の石がほしいということ。そこまで躍起になって集めるものなのかあれは?
地下へと行くため、石山さんについて来ている
「ここに、地下への扉がある」
ここって…一階の給湯室?
見渡す限り、どこにも階段はなさそうだが…
「どうやって行くんですか?」
愛香も聞いた。やはりそれが気になっていたか
「まあ、待ってろ」
給湯室にある冷蔵庫。それを開けて奥にあるボタンを押した
「うわっ!」
突然、床が動き出し、その上にいた俺は転倒してしまった
数十秒かけて、給湯室に地下へと続く階段が出現した
「どうだ?凄いだろ?」
「やっば」
「凄すぎ」
「こんな技術あったとは…」
各々が感嘆の声を出す
「これ、うちの技術班が作ったんだぞ」
ちょっと待て
「本当に技術班が作ったのか?」
「いや、実際には技術班の後ろ盾の博士が技術提供兼作成を担当してくれたけど…」
それ全部じゃないかな?
まあ完全人任せのここの技術班がそんな技術持っているとは思えなかったが
「てか、いつも出てくる博士…何者なの?」
「さあ?」
地下へと続く階段、そこを降りていく
「で、ここの奥の部屋だ」
地下には部屋が数個あったが、厳重に閉められている扉を開けた先、そこに魂の石はあった
「そう、これこれ」
あのとき見た黄緑色の石は、あの時と同じように光り輝いていた
怪盗アヤが盗もうとしても何ら違和感がないほど高貴な輝きをまとっていた
「てか、ここまで厳重なら怪盗アヤでも盗めないと思うんだけど…」
ここに入るまでに給湯室の冷蔵庫の奥のボタンを押す必要がある
いくら怪盗とはいえ、そんな仕掛け気づくとは思えないのだが
となると、今回盗まれるわけがないということで決まりだな
「山井さん、朗報ですよ」
地下から出て、異少課の部屋に行ったところで山井さんに電話をかけた
「朗報とはなんだ?教えてくれ」
「魂の石、地下に置いてあるので、いくら怪盗アヤでも盗めなさそうです。これで負けることはありませんよ」
山井さんが怪盗アヤを捕まえられなかったとしても、怪盗アヤも魂の石を手に入れられずに終わるから、引き分けで終われる
「地下だと?どういうことだ?」
さっきまで見ていたこと、それらを全て山井さんに伝えた
「…それだけか?」
「はい」
だけ?
「…多分、それぐらいの仕掛けなら、簡単に突破されかねない」
は?
嘘だよな、こんな仕掛けどうやって突破するってんだよ
「明日行っていいか?その仕掛けを見ておきたい。本当は今日行きたいが、今からペット探しの依頼が入っているから、じゃあな」
電話はそこで切れた
山井さんは怪盗アヤはどういう方法で突破するんだ?
もしかして、こいつもまた異世界の武器持っていて、それで突破するとでも言うのか?
それだったらかなり厄介なんだが、その力が愛香みたいな瞬間移動とかだったら捕まえるのが地獄並に難しいんですが
そして次の日、今日は山井さんが来るはずの日である
入り口で彼女を待っている。今異少課の部屋は色々と荒れている(翔がデリカシーのない発言をしてそれに愛香と繁がブチ切れた)からだ
入り口の自動ドアが開いた、彼女が来たのか?
しかし、そこに来たのは全く見たことのない少女だった
彼女は受付へと歩いていった
「どのようなご用ですか?」
「ここに北(ホク)いるよな?そいつに会わせてくれ」
ホク?ホクに用事があるのか?
待てよ、ホクがここにいることをなんで知っているんだ?
ホクには戦ったあとここ関係の話は口外するなと脅しておいた。だからバレるとは思わないんだが…
「すみません…私ここに配属されて間もないのでそこらへんまだよく分かっていなくて…」
「そうか…アンタは悪くないんだけどさ…」
ちょっと面白そうで見ていたのだが、色々とやばいことになっていないか?
トゥルルルル…
突然、スマホに電話が来た
相手は山井さんだ
「すまん。依頼が予想外のアクシデントでもう少しかかりそうだから、少し遅れるな」
「分かりました。なら異少課の部屋にて待っていますね」
それだけ言って電話は切れた
「ねえ、アンタ」
さっきまで様子を見ていた少女、彼女が急に話しかけてきた
「北のところに連れて行ってくれる?」
どうしようか、これは連れて行って良いのだろうか
でもホクはここで借金を返す為働いている、そんなところを見せるのはいかがなものか
ホクを探している、敬語を使わないところから見て親密な関係だったのだろう
だからこそ、俺は言わないでおこう
「あ、いや俺はたまたまここに来ていただけで、ここの人には詳しくないから」
「噓、アンタはここの異少課のメンバーでしょ。北がここの異少課にお世話になったと言っていた」
…!?
俺が異少課であることも知っているのか?
そんなことまで知っているのか
「もしこれ以上言わないなら、アタシがここのこと外にバラすけどそれでもいいの?アタシは、ただ北に文句を言いに行きたいだけなの」
「分かった…」
ここがバラされるのは完全にヤバい、色々と終わりかねない
それなら、ホクのことを言うだけに留めるべきだ
ホクには悪いが、これは仕方ない。それにあっちから襲ってきたんだし
「ホクはこっちだ」
食堂へと連れて行く。凪から聞いたのだが、ホクは今建て直しの手伝いをしながら食堂で金を稼いでいるみたいだ
食堂までただ歩いた
「ところで、名前は?」
「アタシ?アタシは名村亜美。ま、アンタはこの名前覚えなくていいよ、どうせあんまり来ないから」
「多分こっちに…いた」
食堂でホクを見つけた。こっちにいてくれて良かった
もしホクが今建て直しの手伝いをしていたら、探すのが面倒くさいことこの上ない
「お、いたな。ありがとなここまで連れてきてくれて」
ホクになんの用があったのだろうか、文句を言うためとは言っていたが…
「おい北!」
「げっ…亜美?!」
下の名前で言っていることからも親密な仲であったのは間違いないだろう。
でもホクは驚いていたな、やっぱりここで働いていることを知られたくなかったのか?
「お前勝手にいなくなるな!お陰でこっち一人で三条さんからの仕事をこなしているんだぞ!」
「ゴメンゴメンそのことはマジでごめん」
「謝って済んだら警察いらねんだよ!お前もアタシも警察官なんだからそこらへんはっきりしろよ!」
…状況が全く分からない
だが一つ気になるワードが聞こえた
『お前もアタシも警察官なんだから』
もしかして、この人そしてホクも…
「分かったけど、こっちにも事情があったんだ」
「事情?」
ホクはここを自分が襲ったこと、襲った理由が勘違いだったこと、それで起きた被害を弁償するためにここで働いていることを伝えた
「それ本当?」
「ああ、彼が証人だ」
話に勝手に追加されたんだが、まあ確かに気になった話だったからいいんだけど
「うん、ホクが言っていることは本当」
「お前な、魔族だからって勘違いで人間襲うのはどうかと思うぞ」
「すまん…」
魔族のことまで知っていたのか、話の間一切驚かず彼女は黙々と聞いていた
ホクは最初変装していたぐらいだし魔族であることはバレたくないと思っていたのだが
「ところで、君たちの関係って…」
「アタシ達は長野県警異世界対策少年課、そこで働いているんだ」
やっぱりか
自分達は警察と言っていたし、異少課のことまで知っていた
自分達も異少課だったとしたら全ての辻褄が合う
「んなことは良いとして、帰ってきてくれないか?こっち一人で仕事をする羽目になっているんだぞ」
あ…可哀想に
異少課の仕事量は場所によってまちまちなんだろうが、一人でやる量ではない
実際俺も愛香が入るまではかなり地獄だった
「すまん…」
「でも、こっちとしては帰ってもらうわけには…」
流石にこっちは警察署ごと壊されている。せめてそれを直すことはしてくれないと
ホクの復活が直すのを手助けしているから、完全にホクがいなくなると直せる目処が立たない
「あ…ゴメン。そっちは北の被害者か。アタシの事情で勝手に言ってゴメン」
しょんぼりしている。でも彼女も被害者だ。ホクの
結論だけ言うと、ホクが襲ってこなければ良かった話ではあるのだが、ホクは友達の敵討ちと言う事情(勘違い)があったから仕方ないか
「いや、謝らなくていいよ。同じ異少課として、辛さは分かっているから」
「分かった。そっちの工事終わるまでは北を好きに使ってくれ。それまではアタシ一人で仕事捌く。そして、その後は一ヶ月北だけでやらせるから」
結果的にホクが可哀想な目にあっているな。まあ勘違いを確認しなかったホクにも一定の落ち度はあるからな
「いいよな?北?」
「ハッハイ!」
ホクって彼女には弱いのか?いつも謝ってばかりな気がする
謝ることはほぼホクの落ち度なんだけど
「ところで、なんで俺が異少課だと分かったんだ?」
警察署に異少課があることを知っていたとはいえ、見ず知らずの人を異少課と確信していたような言い方だった
たまたま警察署に来ていた一般中学生な可能性も少しはあるのに?少しだけだが
「あ、それはたまたまアンタの電話が聞こえたからね」
あ~確かに言っていたような気がする
ん?電話?
あっ、山井さんのことすっかり忘れていた
「あ、やっと見つけた」
山井さん!?
「食堂にいたのか。異少課の部屋にいないから探したぞ」
ごめんなさいこれは俺が悪いです
決めたの俺だというのに
「まあいい。魂の石への階段を見せてくれ」
いきなり本題入ったな。
「へぇ~アタシもその魂の石?を見せてくれない?」
なんか急に話に混ざってきたな
「いや、ここに来たのはホクに会いに来たからじゃないの?」
「ま、それはもう終わったし。アタシは石とかが好きだから」
意外
口調からヤンキーっぽさを感じていたが、実際はちゃんと女子らしいところあるのか
ま…ヤンキーなら警察署で働けるわけ無いと思うけど
「じゃ、出発!」
山井さんだけあまり状況について来れてない
山井さんにとっては知らない女子だし仕方ないのだけど
「つまり、彼女は長野県の異少課の人と」
行くまでの間、それぞれの簡単な自己紹介をしておいた。意味ないかもしれないが
「まずここでと」
給湯室に入る。この前見た手順で階段を開く。
「無駄な所に技術かけてるな…この隠し通路作るぐらいなら金庫作ったほうがいいだろ」
…そうだな
そもそも普通警察署に地下はいらんよな、デパートじゃないんだし。
まあ作ったのはあの無駄に凄い技術力の博士だし…いっか
「そういえば、なんでこの仕掛けを突破されると思ったんですか?いくら怪盗アヤでも給湯室の冷蔵庫のボタンなんて気づくと思わないんですけど」
そこは前々から疑問に思っていた。怪盗アヤが常識外れの推理力で給湯室の冷蔵庫でボタンを見つけるのか。あまりその可能性は少ない気がするが
「怪盗アヤは変装の名人だからな、犯行前、もしかしたら今この時間からも警察官に変装して、情報収集しているかもしれない。そうなったら、これぐらいなら簡単に突破されるからな」
なるほど、そこまで考えていたのが
確かにこのボタンは位置を知らなければ手強い壁となるが、位置さえ知られてしまえばすぐに終わるからな
そして怪盗アヤは変装の名人なのか。新しい情報だ。
というか、怪盗って大抵変装するよな。怪盗の必須条件として変装というのがあるかの如く
「えっと…怪盗?」
あ、そういえば名村さんは当たり前だが怪盗がここに現れることも含めて何も知らないのか
というか知ってたら怖い。なぜ知っていたのか問いたださないと
「まあ、こっちの話だ」
「そう」
別に隠すようなことではないと思うけど、逆に言うべきことでもないからな
階段を降りて扉を閉めたあと魂の石を見た。山井さんはそこまでの道のりとかなどをちゃんとメモしていた。怪盗アヤの対策を考えるためだろう。
そして名村さんは石をガラス越しに見ていた。まあ名村さんの目的だしね。
そして階段を上がって、扉を閉めた。
「怪盗アヤを捕まえるいい作戦、私が考えてやる!」
意気込みが凄い
そして山井さんはここから帰っていった
目的も果たしたし、一刻も早く帰って助手と二人で作戦を考えたいのだろうか
「じゃあ、アタシも帰ろっかな」
「北のこと、よろしく頼んだよ」
よろしく頼んだと言われても…
まあとりあえず警察署は直してもらうが
一方、とある場所にて
「魂の石が必要とはいえ、警察署を襲うのはリスキーだったか?」
「ま、僕にかかれば楽勝なんだけどね!あの方法に、みんな騙されてくれるかな」
誰かが作戦を練っていた
警察署から帰ってきたあと、山井探偵事務所にて
「恋、魂の石は地下に保管されていた」
「地下!?そんなとこに保管されているの?」
普通の反応だ
「で、なにかいい作戦思いつきました?純様」
「ああ、だがこれのためにはおよそ2週間の間にかなり作業しないといけない。手伝ってくれるか?」
「勿論です!ここで手伝わなきゃ、なんのための助手なんだよと言いたくなりますし」
それに私が一番尊敬している純様の頼みを断るわけない。どんなことがあっても、何が起きようとも、私は純様を尊敬し、純様の助手としてありたいんだから
純様がどうしてもしたいことなんだ。純様の願いだ。私がその手伝いをしたいんだ
「ありがとな、いつも手伝わせちゃって悪いな。私が命令なんてできる立場じゃないのに…」
純様…
「そんなこと言わないでください!私がただ変わり者なだけです。普通の人ならあのことを知った時点で純様の助手を辞めてしまうかもしれませんが、私は普通の人じゃないんで」
私が変わり者なんだ。あんなことがあっても、それでも純様の助手でいたいと思う。
それについて純様が考えるべきではない
「ふん、やっぱり恋はこんな感じか」
笑顔で純様は話した。
「ところで、作戦って?」
「あ、言い忘れてたな。作戦とは…」
ゴニョゴニョ
「なるほど、確かにこれをするためには作業が必要ですね。明日ホームセンター行きません?使える道具や材料があるかもしれませんので」
「そうだな。行くか」
次の日、ホームセンター前にて
「恋、遅くないか?」
一人で行ってもいい気がするが…恋が二人で探しましょうと言ってたからな
そういえば、今の異少課のやつに伝えておくか。作戦があること
スマホを取り出し、電話をかけた。
「はい、山井さんどうかしました?」
「いい作戦が思いついたからな。でもその作戦は準備が必要だから、準備ができ次第内容を伝えるな」
「分かりました、何か手伝うことありますか?」
「いや、必要ない。こっちでなんとかなる」
そして電話を切った
「ごめんなさい、遅れました〜ハァハァ……」
恋が来た。息を切らしている。汗もかいている。
かなりの距離走ってきたのだろうか
「どうした、何かあったのか?」
「すみません。提出忘れの課題をしてたら遅れてしまいました」
一度心配したのに、特に心配するようなことじゃなかった
でも、何もなかったことに安堵している自分がいた
「これさえあれば、なんとかなるでしょう」
まぁまぁ痛い出費となってしまったな…
また依頼を大量にこなさないとな
「じゃ帰るぞ。早速今日から作業だ」
「はい!」
恋はいつもと変わらない声で言った
そして2週間が経った
「やっと、元に戻りましたね」
「久しぶりだな。あのとき壊されてから見れなかった景色だ」
工事が終わった。すべてが元に戻った
色々と壊されたのが嘘みたいだ
「すみませんでした!」
そう言ったのは、警察署を壊した張本人であり、この工事期間中一番良く働いていたホクだった
「いいって、元に戻ったことだし」
俺は結果的に良ければそれで良いと思っちゃう系だから
「こんな感じだったんだ元は…」
繁が声を出している。そういえば、繁は祭りのときは元の警察署を見たけど、その後すぐ警察署が壊されたからあまり元を知らないんだったっけ
凪の方はバイトとして働いていたから知っているらしいが
「お~北仕事終わったのか」
拍手しながらここに近づいてきた。長野県異少課の名村さんが
「これで好きなように使っていいですよ」
「オッケー。まずは数十日間仕事をすべて押し付け…、あと前々からしたかったことも認めさせて…」
どのようにこき使うか考えている。ホク可哀想に
まあ、彼女もホクと二人でやっていた仕事を一人で2週間やっていたんだからおあいこなのかな?
「じゃ、アタシ達はこれで。」
「もう帰っちゃうんですか?もう少しいてもいいのに…」
隣の県とはいえ、交通費はまぁまぁかかるだろうからな。それならここで交通費分楽しんでいけばいいのに
「いいだろ、いつでもすぐにこっちには行けそうだから」
すぐに?いつでもはまだわかるとはいえ、すぐ?
隣の県だし、まぁまぁ時間かかりそうなのだが
「あ、アンタは知らないのか。こことアタシ達の拠点を結ぶワープゲート保管庫に置かれてるから」
初情報なんだが
「じやあな、またな」
そうしてホクは長野県へと帰っていった
それから6日後、6月11日
「おい、それはあっちに置いておけ!」
「電気設備の点検はできているか?すでに細工されているかもしれん」
警察署内は慌ただしかった。それもこれも明日来る怪盗アヤの対応だ
警察の意地のため、盗まれるわけにはいかない。そのためにもこの日に仕事が忙しくなる
というか最近はあまり事件が起きていなかったので仕事が少なかったらしい。それも相まって、忙しさを分かりやすく出していた
「山井さん…大丈夫かな?」
準備ができ次第内容を伝えると聞いてから2週間が経った。明日が怪盗が来る日だというのに、準備終わるのだろうか?
「師匠…俺達何もしなくていいんですか?」
実際怪盗は俺達の仕事じゃない。だから何もしなくてもまず問題はない。
でも怪盗アヤが盗もうとしているのは魂の石。もしかしたらアンダス団に繋がる証拠になるかもしれないものだ。それを盗まれるわけには行かない
「でも…あそこの課の人だけで準備はできるから、俺達は手伝わなくていいって言われたんだよな」
「それに、山井さんの作戦がなにかもまだわかってないし…」
それさえ分かれば作戦の手伝いとかもできるかもしれないからな
そして1時間後
「おーい、いるか?」
異少課のドアがノックされた。ドアの前にいたのは山井さんとその助手の川崎さんだ
「はい」
ドアを開け、二人を部屋の中に入れた
ソファに座ったところで、話し始めた
「作戦の発表をするな」
「恋と二人で魂の石の偽物を作った。それらを、警備に当たる人全てに一つずつ身に着けてもらう。そして、その中に一人だけ本物をつけてもらうという作戦だ。木を隠すなら森の中、魂の石を隠すなら魂の石の中ということだな」
なるほど、いい作戦だ。一つをどんなに隠したとしても、怪盗はそれを狙って難しい鍵でも時間をかけて解錠してくる。それなら、いっそのこと、一つ一つはそこまで難しくないところに隠すということか
「これの良い点は、誰かに変装したとしても盗聴でこの話を聞いてたとしても、誰に渡すかまではわからないということだ。それを知っているのは、石を渡す私のみ。怪盗アヤが知る方法はない。それに、総当たりで盗ろうにも、それにはかなりの時間がかかる。全部調べる前に捕まえられる。」
探偵の凄さを改めて実感した。そして、そのために魂の石の偽物を作った彼女達。写真だけだが、本物と変わらないほどの輝きを放っていた。見た目で判断するのは困難だろう
山井さんは、今回は勝つことができそうだ
6月12日 午前10時
「今日こそ、怪盗アヤを捕まえてやる」
「純様の言うとおりです」
今日の午後9時が怪盗アヤが来る時間だ。それに伴い、探偵達は現場の警察署に来ていた。
「ところで、俺達ってどこで何をすれば?」
よくよく考えれば、俺達異少課はどこで何をすべきか考えていなかった。山井さんから作戦を聞いたぐらいだ
「こっちは好きにしていいって言われているし、君達も適当に警備してれば良いんじゃ…っ!」
「私と一緒に警備してくれ。そうしたほうが怪盗が現れたとき捕まえやすい」
今叩かなかった?気のせい?
そしてなんか山井さんが川崎さんに小声で何か話していた
「…という作戦だったろ、忘れるなよ…」
「そうでした。すっかり忘れていました」
まあ何の話をしていたのかは全く聞き取れなかったのだが
その後、作戦を再確認したり警備の状況を見に行ったり脳内トレーニングしたりして、午後7時ぐらいとなった。
「これ美味しいね。私は料理作るの下手だから、料理上手い人に憧れるな…一番憧れているのは純様なんだけど」
今夜飯を食っている。いつものように凪が食堂で作ってきたものだ
「そういえば、なんでそんなに山井さんのこと慕っているんですか?」
愛香が聞く。それは俺も気になっていた。
まるで翔のように慕う。翔は命の恩人だからと言う理由なのだが、こっちはどうなんだろう
「えっ?逆に慕わない理由なくない?昔色々とあって、いつの間にか今のように慕っていたから」
いつの間にか。そういう感じなんだ
「ま、今はいいだろそんなこと。今は怪盗アヤのことを考えるまでだ」
やっぱり山井さんは怪盗アヤに強い執念を持っている。発言だけでめちゃくちゃ感じた
それに対し、川崎さんはあまり怪盗アヤには興味なさそうだ。気のせいだろうか?
自らの手で捕まえたいと探偵は思っているのだろう。助手は…よく分からない
「さ、移動だ」
時計の時刻は8時半となっていた
「お、山井の嬢ちゃん。お久しぶりだな」
「お久しぶりです。ところで、今の警備の状況について教えてくれませんか?」
「ああ、今は…」
凄い手慣れてる感がする。相手の警察官も久しぶりと言っていたし、俺らが来る前、初代異少課の時代からいたのは本当なのだろうな。
「そうか、分かった。あ、そういやこれを持っててくれ」
ここですかさず探偵事務所で作っていたらしい魂の石の偽物を渡した。そして、作戦の内容を説明した。
「オッケー。その作戦なら多分絶対成功するよ」
やっぱり石山さんのときも思ったが、ここの警察官めちゃくちゃ山井さんを信用しているな…。それほど実績がある優秀な探偵なのだろうか。
20分ほどかけて、警備についている人全員に偽物を配り終えた。
途中トイレに行ったりしながら、全ての警察官に渡した。
殆どの人は山井さんの言うことだからかすぐにつけていた。一部山井さんに会ったことがないからか山井さんのことを「そんなに怪しいことをするなんて、もしかしてお前が怪盗か?」と聞くものがいたが、それらの人達も山井さんの言うことを聞いて何とか納得してもらった
「そういえば、これが君たちの分だ。これをつけてない人が怪盗だとわかりやすくするためにも、絶対につけてくれ」
そういう意図もあったのか。
皆が魂の石を付けた。これにより、本物の場所を知るのは配った山井さんだけだ。
ちなみに配っている最中に怪しまれたとき顔を引っ張られたがそれにより山井さんが怪盗の変装であることはない。
「怪盗アヤ…今日がお前の命日だ」
「私も捕まえるのちゃんと協力させてくださいね」
一番意気込んでいた二人は腕時計の針を何度も見ていた
予告時間まで、あと3分
さあ来い。俺らが絶対に盗むのは阻止してやる。
残り2分
残り1分
残り30秒
残り5秒
九時
突然、部屋のライトが切えた
「きゃあ!」
「うろたえるな!ライトを照らせ!」
「駄目です。ライトが付きません。ついさっきまでは付いたのに…」
停電状態。そしてそれに目が慣れたころ、怪盗の姿を目視した。
「今日も僕が来たよ!魂の石、盗ましてもらうね」
怪盗アヤ、目の前にいる水色の服を来た奴だろう
俺は実際の怪盗アヤを見るのは初めてだ。でもそれでもこいつが怪盗アヤだと分かる
そういうオーラが凄かった
「かかれー!怪盗アヤを捕まえろ!」
「はいっ!…うわっ!」
あちこちで体をぶつける音が聞こえた
「こんな暗いところで動こうとするからだよ。もう少し自分の体は大切にしようよ…」
こいつを捕まえる方法、一番良い方法はやはり電撃だろうか
しびれる程度の電流を流せば捕まえられるだろう。
「いいのかな?そんな技使って。確かに僕に攻撃できるけどこの暗い場所で電撃なんて皆の網膜が傷つくよ。それでもやろうとするの?」
「それに銃を打とうとする人や空気の球を使おうとする人もいるけど、ここ今密室なんだよ。警察署ごと消し飛ばしたいなら僕は止めないんだけどね」
…こいつ、俺が考えていたことが分かったのか。しかも技のことまで
この推理力…伊達じゃないな
「ま、長話するのもなんだし僕はこれで。目的の品を手に入れる準備は整ったしね。」
「じゃあね、バイバイ。もしかしたらまた会えるかもね」
煙幕弾が炸裂し、皆は煙の中に包まれた。
そしてその煙が晴れたときに電気が付いた。そのときにはもう…あの怪盗の姿は見えなくなっていた。
「怪盗アヤ…捕まえられなかったか」
山井さん…絶対に捕まえたいという信念を持ってたからこそ、捕まえられなかった落胆が大きいのか
「あれ?川崎さんは?」
愛香に言われて気づいた。辺りを見渡したけど、川崎さんはどこにもいなかった。
「恋?!待ってどこに行った?」
「恋のこと、ダメ元で聞くが知らないか?」
「いや、分からないです」
川崎さん、どこにいるんだ?
この短時間にどっかに行ったとは考えにくい。となると…どういうことだ?
「くそっ!地下のどこにもいない」
警察官たちが現場の検証やもしかしたらここに怪盗がいる可能性もあるので全員に検査を行っていたが、そんなことはつゆ知らず探し回った。
自分達は真っ先にしてもらって、全員が怪盗アヤではないことは証明されているので、動き回ることを許されていた。
川崎さんを探すため、扉を開けて一階に戻った。
「恋!どこだ?」
山井さんは川崎さんを大声で探している。
「私は一階を探すから、君達は2階より上を探してくれないか」
早く見つけたいのだろうな。助手なんだし
「分かりました」
何階を探すかは適当に決めた。流石に外には出てないよな多分。出られていたら探すの詰むんだけど
自分からあのときに動くのは考えづらい。
地下内ならともかく一人で誰にも伝えず地下から出るのはおかしい。
だから多分、いつかのタイミングで怪盗アヤと川崎さんが入れ替わっていて、怪盗アヤが逃げたから川崎さんがいつの間にかどっかに行ったかのように見えたのだろう
だが、いつ入れ替わったのかわからないから、結局どこにいるのか分からない
探し始めて15分
「やっと見つかった、一階の奥のお手洗いに来てくれないか。」
トイレか…そういえば、事件が起きる前にほぼ皆トイレに行っていたな
あのときに入れ替わったのか
そしてトイレ前にて、凪、翔、俺はトイレに入らず待っていた。
流石に女子トイレに入るのはな…
翔は入ろうとしていたから一回ぶん殴る羽目になったのだが
「あ…やっとほどけた」
「良かった。これで動かせるはず」
…どういう状況なのか
中に入っていった人達、そして川崎さんがトイレから出てきた
「痛…電撃くらったしトイレには閉じ込められるし散々だよ…」
あ、可哀想に
そしてこれで川崎さんに怪盗アヤが変装していたことが確実になった
「そんなことは今はいい、恋に渡した魂の石…どこにある?」
「えーと、それはここに…?あれっ…ない!ない!」
「くそっ、やっぱりか…」
ないということは盗まれたのか?そして他の人は多分盗んでないのに彼女のだけ盗んだ理由。可能性としてあるのは…
「恋。お前に持たせたものこそが、本物だったんだ」
本物でありそれを盗んだというパターン、違ってほしかったがそれだったか…
「えっ?!となると…」
「ああ、私は今回も怪盗アヤに敗北した」
そう必然的になってしまう。盗めないはずだったのに
「恋。何か覚えていることはないか?」
「トイレ行ってたら急に後ろから電撃が流れて気絶して、目が覚めたときにはトイレで縛られていたから…すみません全く分かりません」
「そっか…この縄に指紋さえついていれば良かったんだが、流石にコレに指紋残すようなバカじゃないよな…」
その後、彼女達は帰っていった。今回の失敗の反省会を開くらしい
あのあと他の警備の人にも聞いたが、全く情報を手に入れることができなかった
また現れるとき、その時はやつを捕まえる!
そう意気込んでいた
この日の夜、とある場所
「ほら言ったでしょ。僕にかかれば、警察署のものもいとも簡単に盗めるって」
「とりあえずこれで魂の石5個目。残りも少なくなってきたけど、僕は油断せず盗んでいくよ。」
「僕のためというより…のために盗んでいるんだからね。それに、失敗したら……に迷惑かけちゃうから、失敗はしないから。成功しかしないからね。」
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