第6話「ダンジョン準備」

 ここはバルロア辺境伯爵が治める領地で、領都の『バルロア』という街だ。ダンジョンは北に半日ほど歩いた所にある。階層は二十階で既に踏破済みと言う。

ダンジョンに来る冒険者の為に、宿と酒場もある村が近くにあるらしい。


バルロナの冒険者ギルドを出てから武器と防具を買いに行く。俺はいいけどアフロディーテの装備だけは揃えたかった。そうでなくても、アフロディーテのスカートは短い。せめて、下の装備だけは着けて欲しい。

 金貨の残りは25枚だ。二人分を揃えるには足りない。アフロディーテは物理攻撃も魔法攻撃も両方できる。

どっちの武器がいいかと聞くと、旦那様を優先して欲しいと言う。

アフロディーテは魔法主体で遠距離攻撃をするので防具は要らないし、仮に攻撃を受けても回避できると言うのだ。


  ダンジョンでは不意打ちをしてくる魔物もいるというので、俺の武器と防具を買うことにした。大した攻撃能力も持っていない俺に武器など不要だと思うのだが、クロスボウが売っていたので試しに買ってみた。

 金貨5枚と高い上に高価な『ボルト』と呼ばれる矢が必要なのでコストパフォーマンスは悪い。だけど、素人でも直ぐに扱えるようになるらしいし、命中率と破壊力が良いと勧められたので思い切った。そのあと俺は防具屋で全身の防具を揃えた。


 俺はアフロディーテに防具を着けて欲しいと頼み込んだ。アフロディーテは俺の頼みを受け入れてくれた。革のミニスカートが動きやすくていいと言うので、せめてその下に皮の短パンを履いてもらった。心臓の部分だけを金属で補強してある革の胸当ては、大きな胸が全然収まらなかった。結局、部分的に作り直すために一日かかると言うので明日取りに来る。


野営に必要な道具類と大量の食料品を購入して魔法収納に入れた。翌朝、領都バルロナからダンジョンの側にある『ライア』村行きの乗り合い馬車に乗った。

 馬車は半日かけてライア村に到着した。


 宿を予約したついでに昼食を取る。田舎料理だが、不思議と口に合った。俺の味覚は高級向けでは無いようだ。その日はライア村の中を見て回った。

 ダンジョンに来る冒険者目当てで商人たちが住み着いた村だそうで、農民がほとんど居ないために人口は少ない。一泊して、翌朝からダンジョンにアタックする。


 翌朝早くに朝食を食べて前の晩に頼んだ弁当を受け取る。そのままダンジョンに向かった。ダンジョンは村のすぐ側にあった。入り口の見張りはいない。入場料も必要無かった。


アフロディーテが『探知魔法』を使い、魔物を避けながら進む。

浅い階層の魔物は戦う価値が無いので、極力戦闘を避けて一気に五階層まで行く予定だ。


アフロディーテが五階層のボス『ホブゴブリン』を瞬殺した。これで入り口から五階層までの転移陣を使うことができる。

 五階層毎に存在する階層ボスを倒すと、ボス部屋の奥の小部屋にある『転移陣』という魔法陣が使えるようになる。

小部屋には下の階層に降りる階段がある。


俺たちは十階層のボス『オーガ』を倒した後、転移陣で帰還した。村に戻って宿に入る。高級な宿ではないのでお風呂はついていない。アフロディーテと夕食をとり、部屋に入った。


 アフロディーテが魔法収納から木製のタライを取り出して、 火と水の混合魔法でお湯を作りだした。


「旦那様。体をお拭きします」

 言うや否や、アフロディーテが俺の服を脱がす。

「パ、パンツはいいから」

 俺は最後の一枚を死守した。


 アフロディーテが厚手の柔らかい布地で俺の上半身を拭いてくれる。お湯の温もりが厚手の布地を通して俺の体を温める。

「ふうぅ。気持ちいいよ、アフロディーテ」

 思わず声が漏れた。体も心も癒やされる気がした。俺の上半身を拭き終わったアフロディーテが言う。

「旦那様、私の体もお願いします」

 アフロディーテがスルリと服を脱ぎ、白い肌を晒す。大きな二つの膨らみを両手で隠すが収まりきれていない。柔らかい膨らみが細い腕の上下に溢れていた。


 俺はお湯で厚手の布地をしぼり、アフロディーテの背中を優しく拭いた。白い肌が美しい。

「背中は終わったよ」

 とアフロディーテに伝える。

 アフロディーテは椅子を座り直して、俺の方に体を向けた。


柔らかいお餅のような白い双丘が腕の上下から溢れている。俺は片腕ずつ拭いていった。両方の腕を拭き終わるとアフロディーテがいきなり両腕を降ろした。


薄ピンクの胸が露わになり、強烈な衝撃が俺を襲う。俺は盛大に鼻血を吹き出した。

 神無月優吾、25歳童貞、アフロディーテの爆乳にノックダウンする。


 気がつけば、見知った綺麗な顔。

「旦那様。大丈夫ですか?」

「大丈夫だ。暫く献血していなかったので血が溜まっていたようだ」

 確かに、こちらの世界に献血車は無い。しかし、溜まっていたのは、血ではなくて煩悩だった。


 その夜は、目に焼き付いたアフロディーテの上半身がフラッシュバックして眠れなかった。

 夜が明けてベッドから出る。一睡もしていないのに全く眠気が無い。それもそのはず、心臓が早鐘を打つように鼓動しているからだ。

『でも、今日こそは眠りたい。もう二日も寝ていない』

 俺は、今日こそ寝るのだと心に誓った。

『ん? なんかフラグっぽいな』



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