最終話 男女平等へ向けて
あれから、俺らは次の日に伯父さんから一ヶ月後に転校する事を伝えられた。ちなみに、その学校は伯父さんが直接管理しており、東京都で一番金持ち学校とされている「北村学園誠林高等学校」と言う場所だった。そして、今は北村に呼ばれて友美と三人でカフェで話し合いをしていた。
「急に呼んで悪いわね」
「別に良いけど、なんか報告でもあるのか?」
「そうね、これからについて話したいのよ」
北村によれば、俺らは伯父さんに指定された学校に通いしながら研修生としてゲームの運営をしなければならないと言う事だった。
「それって、卒業してからじゃ無いのか?」
「本当はそうなのだけれど、伯父様から特別に許可を得たからできる様になったのよ」
しかも、運営委員会に入れるのは大卒からなので俺らは大学も伯父さんから指定される事になっていた。そして、大学を卒業してからは正社員として運営委員の仕事ができるそうだ。
「てかよ、そのゲームってどれぐらいの頻度でやってるのか?」
「季節毎に一回あるか無いかだから、三ヶ月に一回かしらね」
「と言う事は、俺らが参加したのは一ヶ月前だから後二ヶ月か……。その間は、何をすれば良いんだ?」
「それは、その間に準備をするのよ」
その準備とは、参加者を募集したり問題を作成したりとかなり手の込んだ作業だった。しかも、会場である体育館やサバイバルゲームの時に使った島などの点検にもかなりの時間を有してしまうとの事だった。
「そんなにかかるのかよ。そんなんで、よく俺らを拉致する暇があったな!?」
「あのね、人聞きの悪い事を言わないでくれるかしら?」
「いや、悪いも何も本当の事じゃんかよ」
「まぁまぁ、武尊落ち着いて。今はさ、長谷川さんも森さんも体調を取り戻しているんだし武尊もこうやって元気に過ごせてるんだからもう良いだろ?」
「まぁな、このゲームのお陰かは知らないけど友美との新しい関係を築く事ができたし結果オーライって事で許してやるよ」
「それは良かったわ」
俺は、思い出すだけで許せない気持ちで溢れそうだったが、友美の言葉のお陰で少しだけ北村を許す事ができた。
「武尊君、そう言えばだけど私達には特別に他にもやる事があるのよ」
「何だそれ? 伯父さんから何か言われてるのか?」
すると、北村は自分のバックからとある書類を出して俺らに見せてきた。その書類は、俺の次女の姉である
「もしかして、これって……?」
「そうよ。全国放送される男女平等ゲームの為にリハーサルで行う参加者リストよ」
しかも、その参加者リストを良く見ると姉妹二人のチームには俺と同じ様に知らない男性二人が組まれていた。なので、俺は北村に誰なのかを質問した。
「大丈夫よ。ちゃんと、武尊君の姉妹をアシストしてくれる人だからね」
「と言う事は、運営委員会の人なのか?」
「まぁ、そう言う事になるわね」
北村によると、俺の姉妹と同じチームになっている男性二人は北村によって推薦された男女平等ゲーム運営委員会の従業員だそうだ。しかし、この二人はあくまでも俺の姉妹の教育担当であるので味方では無いとの事だった。
「やっぱり、復讐が目的なんだな」
「ただの復讐じゃ無いわ。本人がちゃんと改心してくれるなら目的は果たせるのよ」
「北村さん、あれだろ? ただ単に武尊の姉妹を傷付けるだけじゃなくて本人が納得できる様にするんだろ?」
「塚田さんの言う通りね」
「良く分からないが、友美の言った通りになるんだったら何も言わない」
俺は、俺の姉妹がやった行いを反省してくれる気持ちになれれば良いのだと言う北村の気持ちに納得せざるを得なかった。しかし、俺も北村の考えには賛成なので後は本人の許可を得るだけだった。
「そうね。それは、武尊君に任せるわ。何だったら、本人が協力してくれるのならバイト代として四万円を上げると言ってくれるかしら?」
「良いけど、瑠璃はまだ中学生だぜ?」
「そうね。なら、瑠璃ちゃんには職業体験として五百円分のAmazonギフト券をあげるわ」
「それなら、瑠璃も乗ってくれそうだな」
こうして、俺らは別れる事になって今度は本人にこの事を伝える事になった。まずは、次女の愛花姉さんに電話して個人で許可を得る事にした。
「もしもし、武尊? どうしたの?」
「愛花姉さん、今時間あるか?」
「良いけど、どした?」
「ちょっと大事な話したい事があるんだけど、今何してるんだ?」
「んー、ちょっとね。今は無理かな。でも、一時間したら行けるかも」
「分かった。なら、指定先をLINEで送るから一時間後に来て欲しい」
「はーい」
そして、俺は一時間後に愛花姉さんと先程のカフェで話す事になった。愛花姉さんは、いつもガチの衣装で歌舞伎町の方に仕事しているとの事だった。しかし、俺は愛花姉さんがパパ活をしているのでは無いかと勘付いていた。
それから、愛花姉さんが北村が出した好条件に乗っかってくれたお陰で事がスムーズに進んだ。そして、家に帰ってから母親を通じて瑠璃が男女平等ゲームに参加して欲しいと詳しく説明すると受け入れてくれた。なので、俺はその事を北村に伝えて喜んで貰えた。
「後は、男女平等に向けてこのゲームを盛り上げていくわよ」
「あぁ、このゲームで本当に男女平等の日本になれるか分からないけど俺はやるよ」
「良い心がけね」
こうして、俺は北村と共にこの日本が本当の男女平等として変わってくれる事を信じて男女平等ゲームに関わる事になった。
男女平等ゲーム タイシンエル @taishin3439
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