第35話 救出作戦(前編)
それから、家族全員で久しぶりに食事ができる様になってから次の日が経過した。俺は、皆んなから何をしていたのかを聞かれまくったので少し精神的に疲れていた。しかし、母親が後押ししてくれたので最終的には全員がいつも通りに接してくれた。
そして、俺は今日からいつも通りに学校に行く事になっていた。なので、俺は家を出てから友美の家に出向いて昨日はどうだったのかを話し合おうと思った。
「友美、おはよう。どうだったか?」
「おはよう、もう昨日は散々だったぜ」
「だろうな。まぁ、俺も同じだったけどよ」
友美は、家に帰ると両親が家に居たので二人で質問攻めをされて疲弊していた。俺は、母親に助けられた部分があったけど、友美の場合は二人が一斉にブチ切れていたので辛かったとの事だった。
「ごめんな、何もしてやれなくて」
「いや良いんだ。私から参加するって決めたからな」
「本当にすまない。それで、本当の事は親に言ったのか?」
「いや、言えなかった。武尊は?」
「俺は、自分が襲われた所以外は全部話した」
「なら、あの事もか?」
「あの事?」
友美は、少し顔を真っ赤にしながら何かを訴えていた。しかし、俺は何の事か分からなかったので友美に問いかけた。すると、友美はいきなり不貞腐れた態度を取ってきた。
「な、何だよ、そんなに怒らないでくれよ」
「だから、何も無いって言っただろ!? それよりさ、北村さんからは連絡来たのか?」
「いや、北村からはまだ来てない。多分、学校で話すんだろ」
「そうだな」
「おう。あ、そうだ。そう言えば、友美と結婚を前提に付き合う事になった話はいつ話そうか迷ってるんだ」
「そ、それだよ!? その事を聞きたかったんだ!!」
「あぁ、そうだったんだ……。すまない」
俺は、友美が結婚の話を俺の親に話したのか気になっていた事に今更ながら気付いた。しかし、話すタイミングが無かったので後回しになった事を伝えた。
「そりゃそうだよな。相手は、それどころじゃないんだから」
「それによ、もし仮に言ってたとして反対の意見が多いだろうな」
「だな。まぁ、取り敢えずはお互い考える期間を儲ける為に話す事は後回しにしようか」
「分かった。友美の意見に賛成だ」
俺らは、二人のこれからについての話が終わった所で学校に着いた。そして、俺らは下駄箱に行って靴を履き替えていると北村が俺らに話しかけて来た。
「昨日はどうだったかしら?」
「二人とも散々だったよ」
「でしょうね。でも、何とかなったでしょ?」
「そうだけど、俺らの家族に何かしたのか?」
「何もしてないわよ。人を何だと思ってるのかしらね」
「いや、お前ならしてそうだなって思っただけだ」
「名誉毀損ね。それより、ちょっと来てくれるかしら?」
北村は、そう言って俺らを誰も居ない教室へと案内してきた。俺は、予想していたタイミングで北村から呼ばれたので内容は大体予想が付いていた。
「何で呼ばれたか分かるでしょ?」
「あぁ、長谷川さんと森さんの事だろ?」
「そうよ。私が得た情報では二人とも監禁されてるみたいね」
北村によると、長谷川さんは嶺城家が所有している廃工場に監禁されており、森さんは園崎家が所有しているシェルターに監禁されているとの事だった。
「場所も知ってんのか?」
「知ってるわよ。それに準備も整ってるわよ」
「は? 今からでも行くのか?」
俺は、今から職員室に行って授業に復帰する事を伝えようと思っていた。しかし、北村からは今日までが公欠扱いになっているので行かなくて良いとの事だった。
「おいおい、それなら昨日のうちに言ってくれよな」
「ごめんなさいね。さぁ、行きましょ」
俺は、北村の反省してない態度に呆れを感じながらも北村の後を着いて行く事にした。それに、長谷川さん達が苦しんでいるのに自分達だけがいつも通りの日常を過ごすのは心が痛いと思った。
それから、学校の裏門を出ると北村の使用人が乗っている車が停まっていた。そして、最初に森さんが閉じ込められているシェルターへと迎う事になった。
「北村、それで森さんはどんな場所に監禁されてるんだ?」
「そうね。簡単に言えば、家の地下にあるシェルターかしら?」
「と言う事は、いくら叫んでも誰も助けに来れない訳だな」
そして、俺はお寺の様な広すぎる敷地の前に車が停まったので北村に確認した。すると、ここが園崎家が所有している家である事が分かって驚きを隠さなかった。
「す、すげぇ……。さすが貴族だな」
「驚いてる場合じゃ無いわよ。それに、私の方が凄いんだからね」
「そうなのか……。やっぱり、貴族は凄いんだな」
「それで、北村さんはどうやって救出しようと考えてるの?」
「勿論、それは正々堂々と交渉するに決まってるでしょ」
「はぁ!?」
北村によると、北村家と園崎家は協力関係にあるらしいのでそれを壊す様な事はしたく無いとの事だった。それに、相手もその事を把握していると北村は予想しているそうだ。
「相手は、権力者で犯罪まがいの事をしてるんだぞ!?」
「それに、そんなんで相手は素直に認めるとは思わないな」
俺は、友美と共に北村の作戦について口出しした。しかし、北村は俺らの言葉に耳を傾ける事はしてくれなかった。それに、北村の顔を見てると確信している様な目線を浴びせてくるので俺は北村に任せる事にした。
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