第31話 最終イベント

 俺は、いきなりフェミニスト君から聞きたく無い事を聞かされていた。それは、サバイバルゲームが終了して運命の最終イベントに突入する為の話だったからだ。


「その前に現段階での順位を発表するよ!」


現在の順位

第一位 チーム・ブルー  3000pt

第二位 チーム・イエロー 2165pt

第三位 チーム・グリーン 1761pt

第四位 チーム・レッド  1700pt


 こうして、俺らはフェミニスト君から順位をスマホの画面から発表された。そして、俺はいつの間にか嶺城のチームに追い抜かれている事に意識がいってしまった。


「んな!? 俺らが最下位だと!?」


「でも、挽回のチャンスはあるわよ」


 北村は、俺らのチームと嶺城のチームとの差が殆ど開いて無い事が唯一の救いだと言ってくれた。なので、俺も最後のイベントで差を縮めてやる事を決意した。


 ちなみに、この点数はサバイバルゲームの評価も含まれていた。しかし、フェミニスト君によると俺達はサバイバルゲームで得た得点がどのチームよりも少ない事が原因だと言う事を言われた。


「確かに、北村が助けてくれなかったらどうなってた事か」


「最悪の場合、運営側からリタイアする様に言われてたかもね」


 俺は、北村の言葉に何も言い返す事はできなかった。しかし、唯一の救いがあるとするならば俺が北村に助けを呼んだと言う選択が大当たりした事だった。


「まぁ、北村からすれば狙ってたかもしれないけどな、俺からすれば願ったり叶ったりだ」


「それは良かったわ。それより、もうすぐ説明が始まるわよ」


 北村は、そう言いながら少し嬉しそうな雰囲気を醸し出していた。すると、フェミニスト君から最後のイベントのルール説明が耳に入ってきた。


 このイベントでは、絵具弾が仕込まれている銃を使って相手の拠点や着ている服に狙って撃つ事で色を塗りたくると言うルールになっている。しかも、支給される銃は今からランダムで配置されるので取りに行かなければならないと言うルールも含まれていた。


「そして、各チームのリーダーが撃たれるとそのチームのポイントは減るから気を付けてね」


 フェミニスト君からは、チームリーダー以外のメンバーが撃たれる分にはマイナスにはならずにポイントが加算されるが、チームリーダーが撃たれると『10pt』ずつ減っていくとの事だった。


「なら、俺達が一番重要だな」


「そうなるわね。とにかく、私達は動かない事にしときましょ」


 北村は、作戦として俺と北村が拠点の中に身を隠す事を提案した。そして、銃を取りに行く担当は友美と武林の他に長谷川さんと小田部も追加で行く事になった。


「取り敢えず、この二人は銃を取ったらすぐに戻って来なさい」


 北村は、銃を捜索する班に加えた長谷川さんと小田部に人数分の銃を確保する事も追加で指示した。そして、友美と武林には自分の武器を入手したらすぐに牧野から貰った位置情報を元に敵地に攻め込む事を伝えた。


 しかし、どの場所に何の色の銃が置かれているのかもランダムと言う事だった。なので、敵チームの色をした銃を見つけたり敵に自分の色の銃を盗られたりする可能性もあるとの事だった。


「それでは! これから、男女平等ゲームの最終イベントを始めるよー!」


 フェミニスト君は、そう言って最終イベントが始まる合図をした。そして、それと同時に友美達はランダムに配置された武器を手に入れる為に拠点を飛び出した。


「遂に……。これが最後のイベントになってしまったか」


「そうね。でも、まだ気を抜いてはいけないわよ」


「そうだな。それより、このイベントの詳細って分かってたりするのか?」


「どう言う意味かしらね?」


 俺は、北村がこのゲームの裏側について何か知っているのではないかと思っていたので質問した。すると、北村は顔色を変えてこのイベントの事を話し始めた。


「実は、このイベントを提案したのは私なのよ」


 北村は、自分の伯父がこのゲームを作る際に考えていたイベントを提案した事で一回目の時から運営に参加していた。そして、そのイベントが何度も成功を収めているので実力が認められたそうだ。


「そのお陰で、伯父様からこのゲームの時期会長として選ばれてるのよ」


「そ、そうなのか……。それで、イベントの詳細とかもお前が考えてたりするのか?」


「今回は違うわ。今回だけは、伯父様が考えているから私を宛てにしないで欲しいわ」


「それは、残念だな」


 俺は、北村の伯父さんがこのゲームを設立したと聞いたので北村だけに伝えられているのだと思った。しかし、北村は今回のゲームは参加者なので知らされていないとの事だった。


「それこそ、平等だと思うのよね」


「確かに、貴族の娘だからと言って贔屓するのは男女平等を通り越した差別だよな。なんか変な事を聞いてすまない」


「別に良いのよ。それに、武尊君には一つ大きな借りがあるからね」


 北村は、俺を無理やりこのゲームに参加させた事を大きな借りとして俺に伝えてきた。しかし、俺からすれば気にするのであれば最初からしなければ良いのでは無いかと思った。


 それに、北村の内心が分かったので最初に比べて辛い気持ちが無くなった。なので、北村にはその事は気にしないでほしいと伝えた。


「そう……。ありがとう」


「だけど、別に許しちゃいねぇぞ。ただ、こんな事をしたんだから責任と義務はしっかりと果たして欲しいぐらいだな」


「分かったわ。なら、その責任として武尊君が最下位にならない様に全力で取り組むわね」


 北村は、心に火がついたかの様な目つきで俺に責任を果たすと誓ってくれた。そして、俺は森さんがいつの間にか寝ている事に気付いたので近くにある毛布をかけて皆んなの無事を祈る事にした。

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