第23話 決闘の夜

 あれから、俺と友美は先に部屋に戻って身体を休める事にした。ちなみに、俺はテレビが目の前にあるソファで横になっていた。


「武尊……。お疲れ」


「友美、ありがとう」


 俺は、友美から温かいココアを貰った。友美は、顔を真っ赤にしながら俺の為に取手付きのコップを注いで持って来てくれた。そして、俺は友美から貰ったココアを飲む為に身体を起こした。


「な、なんか、初めてだな」


「な、何がだ?」


「武尊が、私に下の名前で呼んでくれるなんてよ」


「お、お前が言ったんだろ」


 俺は、友美から手を引っ張られて誰も居ない緊急処置室に戻った。俺らは、そこで初めての性行為をしてしまい、お互いの初めてを交換する事になってしまった。


 しかし、俺は不思議と友美が女性として魅力のある顔立ちとスタイルに惚れてしまった。なので、今まで気付かなかった俺は悔やみながらも新しい自分に導いてくれる友美の事が親友以上に好きになった。


 だからこそ、友美は俺に下の名前で呼んで欲しいと言われて呼ぶ様にしている。俺は、とても恥ずかしい気持ちで耐えきれなかった。しかし、友美はとても嬉しそうな顔をしてくれるので不思議と嫌では無かった。


「なんか、このココア美味いな」


「いや、友美が注いでくれたからだろ」


「んな!?」


 俺は、思わず本音を漏らしてしまった。すると、友美はまるで照れているのを隠しているかの様に俺の背中を強く叩いてきた。


「いだっ!? 何すんだよ!?」


「う、うるせぇ!! 武尊がそんな事言うからだろ!!」


「別に良いだろ!! そもそも、こう言う気持ちになったのはお前のせいなんだからな!!」


「い、嫌か?」


 友美は、下を向きながら俺に可愛いく問いかけてきた。俺は、友美が男女との友情がある事を証明してくれる親友として慕っていた。しかし、俺はそれ以上に関係を築きたいと思わせてくれた友美に感謝した。


「友美、本当にごめん」


「何がだよ?」


「いや、俺は今まで友美の事を女性として見ていなかった」


「何で謝るんだよ? そりゃ、私だって女の子らしい事はしてなかったけどよ」


「だけど、俺は……。とっても複雑な気持ちなんだ」


 俺は、友美の事を女性として魅力を感じてしまった為にこれまでの関係が壊れてしまった感覚に襲われていた。しかし、友美は俺の失礼な質問に嫌な顔を一つもしてなかった。


「私は、ずっと前から武尊の事が大好きだったんだ。武尊のお陰で今の私がある。だから、そんな暗い顔をしないでくれよ」


「あぁ、すまない」


 友美は、そう言いながら俺の手を握ってくれた。俺は、友美の綺麗で逞しい手を握り返しながら友美に感謝した。しかし、完全に不安が取れた訳じゃ無いので俺は自分の手が震えているのを感じていた。


「武尊の手、震えてるな」


「すまない。せっかく、勇気づけてくれたのにな……。でも、少し分かった気がする」


「何がだ?」


「俺は、やっぱり友美の事が大好きだ。親友としても女としても」


「そうか……。私も同じ感情を持ってるぞ」


「なら、このゲームが終わったら結婚しねぇか?」


 友美は、俺の唐突なプロポーズに驚きを隠せていなかった。しかし、俺は友美に対するこの気持ちが抑えきれなかった。俺は、友美との性行為で新しい自分に巡り会えた事と友美に対する新しい感情に理解が追いついてなかった。


 そして、友美が俺の事をずっと昔から異性として好きだった事もいきなりすぎて理解が追い付いてなかった。しかし、俺はそれでも友美と一緒に居る事を誓った。


「でも、私達は、まだ高校生だぜ。まぁ、結婚するなら卒業してからだな」


「確かにな。でも、言い出したのはこの俺だから責任持って学校を辞めるよ」


「んな!? 勝手な事を言い出すなよ!?」


 友美は、俺の提案に驚いて叫んでいた。しかし、俺は自分から言い出した事なので男としてケジメをつけたいと思った。だからこそ、学校を辞めて友美と結婚する為にお金を稼ぐ事を考えた。


「確かに、武尊の言いたい事は分かった。だけど、高校までは一緒に居てくれよな」


「何でだ? 俺が学校を辞めてお金を稼げばお前と結婚して一緒に居れるんだ。だから……」


「だったら、私も辞める。武尊ばっかりに負担をかけさせたく無い」


 友美は、俺だけが稼いだお金を使うより二人で稼いだお金を使う方が何倍も価値が上がると俺に伝えてくれた。そして、何より友美は結婚するならば時間をかけて考えるべきだと告げていた。俺は、友美の考えに納得してこれ以上言うのを辞めた。


「なんか……。ありがとう」


「それは、こっちが言うセリフだぜ。武尊、プロポーズしてくれてありがとう」


「いやいや!? 友美は、どこまで謙虚なんだよ!?」


「あ、え、駄目だったか? ほら、私の母ちゃんが武尊が振り向いてくれるにはどうしたら良いか一緒に考えてたからな……。あっ?」


「え?」


 友美は、目を盛大に開きながら口元を両手で抑えていた。俺は、友美が小さい頃からずっと俺の為に色々と友美の母親と話し合っていた事を聞いた。しかし、友美はその事を内緒にしたいらしく思わず言ってしまった事に後悔してしまったそうだ。


「だ、大丈夫だ。そんな事を聞いても馬鹿にしないからな」


「そ、それでも恥ずかしいんだよ!?」


 友美は、そう言いながら自分の顔を手で隠していた。俺は、その様子を見てとても微笑ましくなりながら友美を励ました。


ガチャッ!!


「ぷはぁ〜。疲れたぁ〜」


「いやぁ、僕も疲れましたね。あれ? 平本君と塚田さんだ。先に戻って居らしたのですね」


 すると、長谷川さんと森さんが疲れた顔をしながら部屋に戻って来た。なので、俺らは慌てて繋いでた手を離して長谷川さん達を労う事にした。

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