第17.5話 同性愛

「晃くん。はい、あ〜ん」


 チーム・イエローは、リーダーである山路晃誠の事を愛している園崎奏太が作り上げたチームであった。元々は、山路がチーム・レッドに居る森渚沙の事を憎んでいた事を園崎が知っており、このゲームを紹介して一緒に復讐する事を決意した。


 そして、今は料理担当の園崎と山路が作ったオムライスを園崎が山路に食べさせていた。ちなみに、後の二人は掃除と育児を黙々と作業を行なっていた。


「あぁ、やっぱり奏ちゃんと作る飯は美味すぎるな」


「そうだね。将来は、二人で一緒にご飯を作るのを日課にしようね」


 山路と園崎は、高校生の頃に知り合った仲だった。園崎は、山路と関わっていく中で友達として深く関わる関係になった。しかし、森と付き合う事になった報告を受けた時に胸が苦しくなった。


 園崎は、その時に初めて山路の事が大好きだと言う恋愛感情が自身の中にある事を知ってしまい、自身が同性愛者だと言う事が明確になった事を今でも憶えていた。


 そして、園崎は自身が同性愛者だと言う事を母親に相談するとあっさり認めてくれた。なので、園崎は母親の前では山路の事を何でも話す事になり、心の中にあるモヤモヤ感を少しずつ解消していた。


 しかし、とある日の事だった。園崎は、山路から連絡を受けて指定された場所に集合して山路と会った。すると、涙目になった山路が園崎に抱きついて森が浮気して裏切った事を聞かされた。


 園崎は、森に対しての殺意が湧いたのと同時に好きだと言う気持ちが抑えきれなくなってしまった。なので、園崎は自身の家に連れ込んで話し合う事にした。


 それから、山路は園崎が同性愛者だと言う事が分かってしまい、自身の事が好きだと伝えられた。しかし、山路は不思議と嫌な感情は抱かなかった。そして、山路と園崎は友達を超えて恋人として付き合う事になった。


「晃くん、この後はどうする?」


「なら、一緒にお風呂に入ろうか」


 園崎は、江頭が洗ったお風呂場に山路と一緒に入る事を提案されて照れていた。しかし、二人はこのゲームが終わって夫婦として事実婚をする事が決まっていた。ちなみに、この事は両家共に承認されていた。


 山路は、庶民なので園崎の両親と面談をする時はかなり緊張していた。しかし、園崎の父親は山路が婿として来るのであれば問題無いと言う事で山路を受け入れてくれた。ちなみに、山路は父子家庭で育った上に父親はゲイとして飲食店を営んでいる。


「うおっ! 湯加減もバッチリだな」


「でしょ? ここの設備が良いってのもあるけど一番は僕に仕えるメイドが優秀だからだよ」


 園崎は、家庭の事情により江頭と福永をメイドとして受け入れなければならなかった。なので、園崎は外に出かける時や山路とデートする時も二人は園崎の支度をさせていた。


「晃くん、背中流すよ」


「おう、いつもありがとう」


「ううん。そんな事ないよ」


 園崎は、山路の為に何でも尽くす事に満足していた。山路は、照れ臭くて慣れない気持ちがあるのを感じていた。しかし、園崎のお陰で絶望から這い上がれた気がして感謝している気持ちの方が大きかった。


「いや、奏ちゃんのお陰で今でもこうやって前向きに生きる事ができているんだ」


「僕だって、晃くんが居てくれたからだよ」


 園崎は、山路の言葉に照れながら大きいと感じている山路の背中を洗っていた。山路と園崎は、恋人関係になって一年が経っていながらも大好きな感情は途絶える事を知らなかった。


「相変わらず、晃くんの背中は大きいね」


「逆だと思うな。奏ちゃんの手が小さいんだと思うよ」


「え、そ、そうかな……?」


 園崎は、戸惑いながら泡まみれになっている自身の手を確認した。山路は、照れている園崎の反応を見て性欲的興奮を覚えてしまい、園崎の方を振り返って園崎の手を掴んだ。


「わぁっ!? 晃くん!?」


「なぁ、奏ちゃん……。俺、我慢できなくなっちまったよ」


「こ、晃くん……。まだ早いよ、それは結婚してからだよ」


「エロい身体をしてる奏ちゃんが悪いんだからな」


 山路は、興奮が抑えきれなくなって園崎の唇にキスを交わした。園崎は、人生で一度もキスを経験しておらず、恋人として山路と付き合ってからもキスをした事が無かった。


 なので、園崎は舌を交えながら強引にキスをしてくる山路に抵抗ができずに奪われるのを感じていた。しかし、園崎は強引に奪われている事に嫌な感情は全く無かった。


「ぷはぁっ……。晃くん、僕も、もう我慢できないよ」


「奏ちゃん……。愛してるよ」


「僕だって……。愛してるからね」


 山路と園崎は、息を荒くしながらもう一度ディープキスを交わした。そして、二人はお風呂から上がってからも身体を触り合いながら欲求が満たされるまで性行為を堪能した。


「うわぁ……。奏太様が晃誠様とえっちな行為をしてますよ」


「ほ、本当だ……。幸せで何よりですよ」


「こんな所を見せられると疼いてしまいます」


「そ、そうですね……。な、なら、一旦手を止めてから……。しますか?」


「は、はい」


 江頭と福永は、山路と園崎が性行為をしている光景を見てしまい、自身も興奮して抑えきれなくなってしまった。なので、福永は江頭に言われて作業を一旦中止する事にした。


 しかし、福永は育児担当を任されているので簡単に手を止める事はできなかった。江頭は、それでも福永の手を止めさせた。そして、二人はお互いの服を脱がしながら園崎達にバレない様に欲求を発散した。

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