第11話 第二イベント
それから、『チーム・イエロー』が最後の番になったのでリーダーである山路晃誠がフェミニスト君に呼ばれた。しかし、山路晃誠が率いる『チーム・イエロー』は全員が無罪判決を貰って北村と同じ順位に駆け上がった。
「では! 全チームが第一イベントを終えたのでランキングを発表するよ!」
第一位 チーム・ブルー 400pt
第一位 チーム・イエロー 400pt
第三位 チーム・レッド 200pt
第四位 チーム・グリーン 0pt
俺達は、フェミニスト君に言われて大画面に映されたランキングを観た。現時点では、北村と山路のチームが同率で一位になっていた。そして、俺達はランキングを見た後に第二イベントが始まるアナウンスを受けた。
「それでは! 今から第二イベントを始めるよー!」
フェミニスト君は、そう言った後に俺を含めた参加者全員を格闘技に使われるリング場へと案内した。そして、このリング場で戦いが始まる事になっている。
「今から、チーム内で抽選をして貰うよ。抽選箱には、『男』と書かれた紙と『女』と書かれた紙がそれぞれ二枚ずつ入ってるから、それを引いた性別の良い所を言う様にしてね」
ルールは、チーム対抗で男女の良い所を言い争う対決となっている。そして、自分が引いた紙に書かれた性別を相手が言い負けるまで言い続け無ければならない。ちなみに、どちらかが降参をして戦いを避ける事もできると言う追加ルールがあるそうだ。
「なお、勝った者には100ポイントが貰えるからチーム全体で400ポイントが貰えるよ。だから頑張ってね」
フェミニスト君は、そう言って抽選箱を各々のチームの色に沿って渡してきた。俺らは、森さんが放心状態で少し気まずさを感じながらくじを引いた。
「俺は『女』か……。言えるか心配だな」
「平本君は女性ですか。僕は『男』を引きました」
「あ、そうなんですね。塚田は何を引いたんだ?」
「私も武尊と一緒で『女』を引いた」
「と言う事は、森さんは男性ですか」
すると、俺は森さんが男性の良い所を言えるのか心配になった。しかも、俺も女性の良い所が言えるのか不安になった。
「まぁ、取り敢えずはやってみないと分かりませんね」
「長谷川さんの言う通りですね。他のチームが言ってる事を真似すれば何とかなりますよ」
俺は、森さんがくじを引いても無言で暗いままなので下手な気遣いしかできない事にもどかしさを感じていた。
「よーし! 次は、対戦形式を教えるよー!」
対戦方法は、一分間にどれだけ言えるかを競う事になっており、その判定はフェミニスト君が行うそうだ。そして、対戦相手はフェミニスト君が決めるそうだ。
「まず、やってみない事には分からないから早速やってよう!」
フェミニスト君は、そう言った後に俺らのチームと北村のチームをリング場へと案内してきた。その間は、嶺城のチームと山路のチームはチーム専用の楽屋で休憩する様に促された。そして、俺達は各々が引いた紙を周りに見せる様に指示された。
「ふむふむ。なるほどね! なら、『男』を引いた人と『女』を引いた人で別れてみよう!」
フェミニスト君は、そう言って俺達を誘導した。俺は、塚田と同じ立ち位置に誘導されて森さんと長谷川さんは少し間が空いた立ち位置へと誘導された。
しかし、それは北村達も同じ事だった。北村は、『男』と言う文字が書かれた紙を手にしながらもう一人のチームメイトの女性とペアになっていた。
「じゃあ、今から試合を開始するよー!」
フェミニスト君は、その言葉を合図に俺のチームから女性のくじを引いた塚田と男性のくじを引いた相手チームの
「一回戦一試合目! 『チーム・レッド』からは女性の良い所を言いまくれ! 塚田友美さんだー!」
フェミニスト君は、視聴者向けのアナウンスをして塚田を真ん中へと誘導した。そして、塚田の相手になった小田部もフェミニスト君に呼ばれて真ん中へと立った。
「それでは! どちらの意見で! 男女のどちらが! よく見えるのか言い合え! 男女共尊競り合い対決、開幕だー!」
フェミニスト君は、そう言った後に格闘技用のゴングを鳴らして二人にマイクを渡した。塚田と小田部は、それを合図にお互いが持っているマイクを使って言い合いが始まった。
すると、小田部が先制攻撃として男性が女性に対して優しい事を訴えた。しかし、塚田は男性が優しい理由として性欲と言う下心があるからだと主張した。
「あれ? そう言う嫌味しか言ってないですけど大丈夫ですか?」
「は、はぁ!? 女性だって子供を産める身体をしてるし! 良い所ぐらい知ってるよ!」
「でも、産む為には男性が持っている子種が無いと産めませんけど?」
「う、うるせぇ! だから、女性は男性より厳しくなるんだよ! 自分が身体を痛めてまで産みたいと思えるには男性の協力が必要だと思うけど違うのか?」
「違いませんよ。でも、だからと言って女性は執拗に厳しすぎます。少しは優しくしてあげても良いと思いますけど?」
「そしたら、勘違いする奴が増えて逆に迷惑だと思うな」
「確かに、男性はその様な傾向がありますからね。でも、それは女性が理解してやれば良いと逆に思いますよ」
「一理あると思うけどよ……」
塚田は、小田部の的確な主張に折れかかっていた。確かに、俺も聴いてる限りでは小田部の主張に対して少し理解できる。しかし、塚田の意見も分かるから何とも言えない気がした。
「それに、貴方が言ってる事は男性差別になりますよ?」
「え?」
小田部は、塚田が発言した『男性が優しい理由は下心があるから』だと言う事に対して男性差別だと主張した。しかも、塚田は男性を否定する様な事しか発言してない事を言われて息詰っていた。
「それは……。好きな奴が居るから他の男なんてどうでも良いんだよ……」
塚田は、照れ臭さを出しながら小田部の主張を否定していた。俺は、塚田のこの一面は初めて見たので少し戸惑い感を覚えた。
「私はよ、好きな奴が居て……。そいつにしか興味が無いんだよな」
「かっこよく言っても駄目ですからね」
小田部は、そう言って塚田の勇気を振り絞った意見をすぐに否定した。小田部は、たった一人しか想い人が居ないからと言って他の人に気を遣わない事を正当化して良い理由にはならないと指摘した。
「はーい! 終了だよー!」
フェミニスト君は、そう言って塚田と小田部の争いを停めた。そして、フェミニスト君は二人に点数をつけて勝負を観ている人達に発表した。結果は、塚田が『14点』を獲得して小田部が『53点』を獲得をしていた。
「勝者は『チーム・ブルー小田部歩美』さんでーす!!」
フェミニスト君は、そう言って北村のチームに100ポイントを贈呈した。そして、塚田は下を向きながら俺の側へと近付いた。
「塚田? お前らしく無いぞ?」
「ごめん。緊張して頭が回らなかった」
「そ、そうか……。そう言う時もあるよな」
塚田は、そう言いながら自分の調子が悪い事を俺に教えてくれた。俺は、塚田が普段はそう言う奴ではない事は分かっている。しかし、いきなり連れて来られた挙句にこんな事までされてるから仕方ないと俺は思った。
「武尊……。頑張れよ」
「お、おう」
俺は、フェミニスト君に呼ばれて誘導された立ち位置へ行こうとした時に塚田から応援してくれた。なので、少し気合いが入った俺は塚田の為にも覚悟を決める事にした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます