第10話 天罰
それから、俺達のチームが終わったので北村達の番になった。しかし、『チーム・ブルー』は全員が無罪判決を下されてこのイベントの最高得点を貰っていた。
「そんな事があるのかよ」
「残念ね。私達は、男女平等に沿って生きてきたから当然だわ」
「くそ……。あまりにも卑怯な気がする」
俺は、北村が運営と裏で繋がっているから高得点が取れるのだと思った。しかし、北村やフェミニスト君は何事も無かったかの様に次のチームの裁判へと移行した。
「それでは! 次は『チーム・グリーン』の人達の番だよ!」
フェミニスト君は、そう言った後に最初の一人を教壇へと呼び出した。一人目は、
「では! 嶺城慶太君にいつもの質問をしちゃおうかな!」
フェミニスト君は、そう言って嶺城にいつもの質問をした。嶺城は、男女の権利と責任が平等に扱われると言う簡易的に回答した。
「へぇ〜。嶺城慶太君の男女平等は、とても簡単そうに答えてるね」
「はい。私は、男女平等に関しては皆んなが難しく考えすぎだと思ってます」
「おぉ! なるほど! 嶺城慶太君には、男女と言う縛りを気にせずに平等に責任を取らせる事ができるって事だね!」
フェミニスト君は、そう言いながら大画面にとある動画を流した。それは、嶺城が複数の人達と長谷川を虐めている動画だった。この動画は、長谷川さん達が中学生の時に撮られている物だった。
「な、なんで……。こんな、物が……」
「あれれぇ〜? 嶺城慶太君? どうしちゃったのかなぁ〜?」
嶺城は、フェミニスト君に揶揄われながら長谷川さんを睨んでいた。長谷川さんは、なんで睨まれているのか分からず焦っていた。俺は、長谷川さんが仕組んだとは思えなかった。しかし、『チーム・グリーン』の奴らはこの情報が出回っている事に戸惑いながら長谷川さんが仕掛けたと勘違いして睨んでいた。
「この動画はね、嶺城慶太君が高校生の時に友達を誘ってクラスメイトを虐めている動画なんだよ」
「これと、男女平等になんの関係があるんだよ!」
嶺城は、怒鳴ってフェミニスト君にこの動画について言及した。しかし、フェミニスト君は火に油を注ぐかの様に煽っていた。そして、長谷川さんはこの状況を観て少し笑っている様子だった。
「なんでそんなに怒ってるの? あっ!? もしかして、自分が仕組んだ側だと勘違いしててつけ上がってる感じかなぁ〜?」
フェミニスト君は、嶺城が中学生の時に長谷川を虐めていた事を明かした。しかも、なんも躊躇う事無くその内容がどれだけ残酷なのかを周りに晒した。
「嶺城慶太君はさ、自分が長谷川尚輝君を蹴落とす為に仕組んでる側だと思ってるでしょ?」
「ははは……。何を言ってんだよ……?」
「このゲームはね、AIが君達を平等に審査してるんだよ」
「だから何だよ!?」
「しかもさ、この虐めって嶺城慶太君の彼女が長谷川尚輝君の見た目が気持ち悪いからと言う理由から来てるんでしょ? 酷いよね」
フェミニスト君は、嶺城が彼女の言いなりだったと言う事を晒した。しかも、その彼女は嶺城の妻として幸せに暮らしているそうだ。そして、二人の娘を授かっていたり一流ホテルの社長を勤めていたりと順風満帆な暮らしをしている事も晒された。
「こんな暮らしをしてて良いよね。他人を不登校になるまで虐めといて幸せになってるんだから羨ましいよ」
嶺城は、色んな事が晒されるとは思っていなかったそうだ。そして、嶺城の妻がネットやママ友の界隈でも見た目で判断して差別をしている事がフェミニスト君によって晒された。
「うひょー! これは酷いね! 旦那として責任を取って貰わないと!」
「そんなの……。俺が、取らなきゃいけない訳無いだろ……?」
「だってさ、嶺城慶太君は妻がやった事を何でも肯定してきたじゃん。結婚をした後でも妻が言ってきた蔑視発言を注意して来なかったでしょ?」
「な、なんで、そんな事まで知ってんだよ」
フェミニスト君は、嶺城が戸惑いながら焦っているのを観て楽しそうに問い詰めていた。そして、長谷川さんも嶺城が焦っている様子を見て気持ち良さそうにしていた。
「は、長谷川さん?」
俺は、長谷川さんの事が少し怖かったので本人に声をかけたけど嶺城の事に集中していて返事が返ってこなかった。それに、小声で自分がやってない事を連呼しながら息を荒くしていた。
「ぷぷぷ。それよりさ、自分が言った事なんだから責任をちゃんと取って貰わないとね」
フェミニスト君は、嶺城が一番最初に発言した男女共に責任と権利について言及した。そして、その責任を取らせる為に皆んなの前で長谷川さんに対する謝罪を要求した。
「謝罪! 謝罪! 謝罪!」
フェミニスト君は、リズム良く謝罪を連呼して嶺城が謝罪させる様に煽った。嶺城は、悔しそうに下唇を噛み締めながら長谷川さんの方へと近付いた。
「この度は、本当に、申し訳ありません」
そして、嶺城は長谷川さんにプライドが捨てきれなかったかの様な謝罪をした。そして、長谷川さんは嶺城の謝罪を受け入れる事はなかった。
「許しませんよ。どれだけ、僕が苦しんできたと思ってるんですか!?」
「長谷川ー!!」
長谷川さんは、嶺城のチームメイトである女性に叫ばれながらも自分の気持ちを訴えた。俺は、長谷川さんの訴えを聴いてると何故か心が苦しくなってきた。
「この動画は、僕が仕組んだ訳じゃ無いのでそれだけは勘違いしないで下さい」
長谷川さんは、嶺城にそう言って勝ち誇ったかの様に踵を返した。しかし、嶺城達は恨みが増幅したかの様な目つきで長谷川さんを睨んでいた。
「これで良いんですか?」
「良いですよ。元々、やり返したかった気持ちはありましたので」
「でも、相手もやり返す気満々ですよ?」
「大丈夫です。やられる前にやるって決めましたので」
長谷川さんは、真剣な眼差しで俺に決意を示してくれた。しかし、俺は今の長谷川さんを見てると復讐心に駆られている獣の様に感じてしまった。そして、嶺城はみんなの前で有罪判決を貰って恥を掻いてしまった。
それから、嶺城率いる『チーム・グリーン』は全員がフェミニスト君から天罰を下されているかの様に色々と晒された。そして、嶺城の次に呼ばれたのは
この人は、記者と言う立場を利用して世の中の女性が都合良く生きられる為に男性を差別する様な記事をたくさん載せていた。しかも、その内容は誰もが納得できない様な内容だったので有罪判決を下されるのも仕方ないと思ってしまった。
三人目は、嶺城と小学生の時から仲良かった
そして、最後の人は
俺は、川添や赤坂みたいな男らしさなどを求める人は今では窮屈な世の中になったと改めて思った。赤坂は、俺が思っていた事をフェミニスト君に指摘されながら有罪判決を貰った。
「自業自得ですよね」
「何がですか?」
「いや、自分から仕掛けておいてこの様は笑えるなって思っただけです」
長谷川さんは、先程の様な穏やかなオーラが無くなっていた。そして、俺は嶺城達が痛い目を見る事になんの違和感がない事に驚きながら次のチームの裁判を見届ける事になった。
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