第4話 学力検査

 それから、俺達は指定された教室に移って学力テストを行う事になった。と言っても、テスト科目は生活力が問われる科目が殆どで、俺が難しかったのは『家計力診断』と言う科目だった。


 俺は、計算が苦手でスーパーにある値引きの計算とか生活する上での節約の仕方などの内容だった。そんな事は、親に任せてばかりなので母親と父親、そして祖父母に感謝の念が入ってしまった。


「うわぁ〜、難しかった〜」


「僕は、社会人なのである程度は理解できました。と言っても、自信はありませんが……」


「私の場合は、小さい頃から料理を手伝わされていたので『料理力診断』は簡単でした」


「うへー。そう考えたら、私らは何もできない奴じゃんか」


「勝手に俺を巻き込むなよ。それは、塚田だけだろうが」


「はぁ!? お前だって難しいって言ってたじゃんか!?」


 俺は、塚田と揉め事になってしまったけど他の二人は微笑ましく眺めていた。すると、AIが俺らのテストを採点して結果を前に映した。ちなみに、テスト科目は全部で七科目の百点満点である。


平本武尊の点数

・家計力診断48点 ・料理力診断28点

・人間力診断53点 ・家事力診断61点

・仕事力診断49点 ・健康力診断45点

・異性への気遣い診断30点  合計314点


塚田友美の点数

・家計力診断27点 ・料理力診断12点

・人間力診断43点 ・家事力診断37点

・仕事力診断51点 ・健康力診断32点

・異性への気遣い診断20点  合計222点


長谷川尚輝の点数

・家計力診断49点 ・料理力診断68点

・人間力診断78点 ・家事力診断27点

・仕事力診断67点 ・健康力診断81点

・異性への気遣い診断71点  合計441点


森渚沙の点数

・家計力診断65点 ・料理力診断93点

・人間力診断41点 ・家事力診断61点

・仕事力診断57点 ・健康力診断60点

・異性への気遣い診断83点  合計460点


 俺らは、一斉に出てきた詳細を一所懸命に眺めた。しかし、塚田がこの中で一番最悪な点数である事だけはすぐに理解した。


「うがぁー! 武尊より点数悪いやんけ!」


「だから言っただろ! 俺はそこまで頭が悪く無いってよ!」


「二人とも、どんぐりの背比べみたいで情けないですよ」


「「ごめんなさい」」


 俺らは、森さんに注意される事で我に返る事ができてしまった。しかし、この中では森さんが学力検査のトップなので文句は言えなかった。それでも、半分以上の点数を出した二人は笑ってくれた。


 それから、全部のチームが学力検査を終えて結果発表が終わったと言う事でフェミニスト君が俺らの前に姿を現した。この時のフェミニスト君は、各チームが聴ける様に各部屋の画面の中に居るそうだ。


「これから、今後の事について語るよー!」


 フェミニスト君は、張り切りながら俺らに次の事について語った。これから、俺らはチーム専用の部屋に行って一日を過ごすそうだ。しかも、これが一番最初のイベントと言う事でAIが俺らの行動や言動を評価するとの事だった。


「このイベントで重要なのは、知らない男女が一緒の部屋に過ごすんだからお互いに気遣いができるのかがポイントだよ」


 フェミニスト君は、生活をする上での役割を自分達でどれだけ平等に分担できるのかを審査すると告げた。そして、話し合いやプライベートの会話なども審査基準に入るそうだ。


「それでは! 早速、チーム専用の部屋に移動してみよう!」


 フェミニスト君は、そう言って画面の中から消え去った。そして、部屋までの行き先が画面の中に映し出された。


「じゃあ、実際に行ってみましょうか」


 俺は、困り果てているメンバーを引っ張る為に先頭に立って指定された場所へと移動する事にした。すると、四つの扉があって各々に色が塗られていた。


「塚田、赤色の扉が俺らの場所だよな?」


「多分そうだと思う。だって、その隣には青色の扉があるじゃん。だから、扉の色で分けてると私は思うぜ」


 塚田が言う通り、そこには青色の扉が少し先にあった。そして、もっと先には緑色の扉と黄色の扉があったので赤色の扉が俺らの場所だと理解できた。なので、俺らはその扉を開けて入る事にした。


「武尊君、こんにちわ」


「き、北村……」


 俺は、皆んなで部屋に入ろうとしたが、隣から北村の声がしたので入室する為の足を止めてしまった。北村は、俺が知らない人達を連れて青色の扉を開けようとしていた。


「何で、お前が居るんだよ?」


「ふふふ。もう分かってるでしょ。私がなんで貴方をこんな事したのか……。ね?」


「やっぱり、俺の姉達を陥れる為なのか?」


「そうよ。これは、私の家族による復讐なのよ。まぁ、せいぜい抗ってみなさい」


 北村は、そう言って自分達の部屋に入って行った。俺は、どうして良いか分からずに悩んでいたが、他の三人は慰めてくれた。


「後で、平本君の悩み聞きますよ」


「長谷川さん、ありがとうございます。なら、今からでもお互いの悩みをぶちまけませんか?」


「そうですね。そうしましょ」


 俺は、長谷川さんや森さん達の悩みとかを聞いて絆を深めようと提案した。すると、塚田も含めて全員が俺の提案を笑顔で受け入れてくれたので少し希望が湧いてきた。

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