第2話 不動産屋との口論と家ってこんだけ?

招集日までにドロンしておく必要があるんだよな。


アイテムを集めておかねば。

どうせこの家にはもう帰ってこない。売って換金するか。


かくして俺は不動産屋へ向かう。


「すみません」

「なんだい?これから家を買うなんて変わった客だね。」

おじいさんが経営しているようだ。


「いえ?売りたいんですけど。」

「売るの?この戦争の時代に?戦争に行くのか?疎開するのか知らないけど、帰ってくるときまで取っておけばいいのに……。わしはもう死ぬかもしれないから、ここを守っているだけだよ。」

「俺はもう死ぬ覚悟はできてるんです。どうせ戦争に行っても生きては帰ってこれないと。」

とっさに嘘をついた。

「何言ってるんだい。あんたはまだ若いじゃないか?見たところアラサーだろ?人生まだまだこれからだよ。そんなこと言ってるんなら結婚して子どもを残しておいたらどうだい?生物の責務だよ。」

「いやいや、もう俺の人生はどちらにせよ詰んでいるので、のんびr……じゃなかった、もう戦争で殺してもらおうかなぁと。」

「バカを言っちゃいけないよ。生きて帰ってこい。なぁ。お前さんとは今知りあったばかりだけど。」

話が脱線してばかりだ。とっとと家を売って帰ろう。

「話は戻るんですけど、家を買ってくれるんですか?」

「でも安いよ。今なら半値の半値の半値ってとこだね。200万カクにしかならないよ。」

「200万カク?安すぎじゃないですか?」

俺はこの家を2000万カクで買ったんだ……。

「グロリアスでは不動産には残存価格はないんだよ。中古物件も同じ。女だって一緒だろ?彼氏がいたやつと、彼氏いた事ないやつ?同じ見た目だったらどっちがいいか?ちょっと考えれば猿でもわかるわ。」

「今の時代にセクハラですか?」

ちょっと頭にきてしまった。

「なら、もう少し安くしようかなぁ。まぁ、戦争に行く義士様じゃし、今のは大目に見とくがの。」

「すみません。わかりました。200万カクでいいです。」

「分かれば良いのじゃ。一括で用意するのは、時間がかかる。まずは契約書を作るからちょいと待っててくれ。お金は振り込めばよいかの?」

「いや早く送金しておいて下さい。もう振込なんていう仕組みはないので。」

「そうじゃったな。ほれ。契約データじゃ。お主の電子刻印を送ってくれ。」

ざっと目を通す。すぐに送金されて、我が家は1週間後に引き取られるらしい。

「わかりました。」

かくして売却契約を不動産屋にした。

「(だいぶ安く買えたわい。)」

「何か言いましたか?」

「いや。なんでもないぞ。達者でな。」

「当日には業者が向かうから、ちゃんときれいにしておくんだぞ。」

「わかりました。」

「それでは、くれぐれも気・を・つ・け・て・な!」

「はい。ありがとうございました。」

かくして俺は不動産屋を出ることにした。

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