第5話 友達
オリエンテーションの翌日、新入生たちは自教室で友達作りに勤しんでいた。すでに何人かは気の合う友達を見つけられたようで話をしていた。
萌香は昨日布黒木先生が教室に入ってくる前に話しかけてくれた玖実と一緒にいた。
オリエンテーションが終わったあとまた玖実が話しかけて意気投合したようで、今日も一緒に朝から話をしていた。
「昨日のオリエンテーションのあべこべ遊び、急だったね」
「そうだね。あんないきなりあべこべ遊びが始まるとは思ってなかったよ」
「あ〜、それは私も思った。でもみんな結構事故紹介できてたよね」
「そうだね。テレビで過去見たことのある事故だったら話してもよかったからね。でも同じ話はしちゃダメって結構キツかったね」
「うん。テレビをあんまり見てない人とか覚えてない人とかは結構大変そうだったね」
萌香と玖実が話していると男の子が一人教室に入って来た。活発そうな見た目をしていた。ちょうど萌香の後ろの席だったから話しかけた。
「おはよう」
「!おはよう」
最初、驚いていたようだがすぐに挨拶を返してくれた。
「せっかく席が近いから仲良くしよう!」
すかさず玖実が話しかけていた。
(玖実ちゃんは誰とでも仲良くなれそう。積極的に声をかけていくし。いいなぁ。私ももう少し積極的に出来たらいいな)
萌香がそんなことを思っている間に自己紹介し始めていた。
「私の名前は佐谷玖実。よろしくね」
「こちらこそよろしな。俺は
「ほら萌香も。友達欲しいって言ってたでしょ!」
「そうだね。私は沙美原萌香。よろしくね」
「よろしくな」
萌香の友達が1人増えた瞬間だ。
海浬は見た目と同じでとても活発なことがよくわかる話しぶりだった。でも海浬は自分から話しかけるのが苦手なよう。
「すごい話しかけやすい見た目なのになんでこのクラスで他に話しかける人いないんだろう?」
「あ〜それ私も思った!」
「俺もそれはわからないんだよね。今までこの見た目で話しかけるのが苦手なのを隠してたからちょっと焦ってたんだよ。そこに玖実と萌香が話しかけてくれてめっちゃ嬉しかった」
「そうなんだ」
仲良くなってきたところであべこべ遊びについて玖実は聞いてみた。
「話変わるんだけどさ、あべこべ遊びのことどうする?」
「どうするって言ったって、どうしようもないじゃん」
「そうだな。先輩に聞きに行くか?」
「え!?海浬くん先輩に知り合いいるの?」
「俺は呼び捨てでいいよ。知り合いっていうか幼馴染がいる」
海浬は幼馴染の子の頭が良く、臨機応変に対応できるところに憧れこの阿部小部高等学校に入ったのだ。
「俺の幼馴染、
「その夜月先輩ってどんな感じなの?」
「めっちゃかっこいいぞ。しかも優しい」
「そうなんだ。臨機応変に行動できるようになったのってこの学校に入ってから?」
「うん。急に日に日に頭の回転が速くなったぽくて、夜月のお母さんが吃驚してたのを覚えてる。最初はなんか気がきくようになったな、って感じだったんだけど、去年の冬休みくらいに家族旅行に行ったときに何か忘れ物したんだって。それが市販では売ってなかったときに夜月が代用品を用意したんだって。そこで昔より頭の回転速くなってない?って気づいたんだって」
「そうなんだ。じゃあ夜月先輩だったら何か聞けるかもねじゃあ先輩のところに行こうか」
「そうしよ!」
海浬の幼馴染に会いに行くことが決まった。
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