第3話 担任たちの日常
ここは入学式が終わった職員室。
「今年も新入生たち、疲れたって顔で帰っていきましたね。毎年あんな顔を見ていると慣れますね。慣れって怖いですね」
「そうですね〜。最後に入学式のネタばらししたときの顔なんか毎年同じですもんね。布黒木先生のクラスはどうでした?」
急に話を振られた布黒木先生は一瞬吃驚していたが、急に話を振られるのはいつものことか、と諦め
「そうだなぁ。特に変わったことはなかったなぁ。みんな『え?どういうこと?』って顔してたぞ。」
「そうですか。毎年同じだとつまんないですよね〜」
新入生とその保護者が聞いたら激怒しそうなことを言ったのは1組の担任の藍川先生。
「それ、絶対に生徒たちの前では言わないでくださいね。」
藍川先生ことを注意するのは2組の担任の嘉味田先生。
この3人の先生たちはいつも何か緊急なことがない限り一緒にいる。布黒木先生が急に話を振られて一瞬吃驚して返事をし、そこに藍川先生が爆弾発言をして、嘉味田先生が藍川先生のことを注意する、というのが3人のの日常だ。
「明日のオリエンテーションも例年通りなんですかね〜。今年はちょっとでもいいから違ってほしいな〜」
「そんなこと言わないでください。いつも通りでも良いではないですか。何かハプニングが起こるよりは。そうですよね、布黒木先生」
「そうだな。ハプニングが起こる方が怖いな」
「そうですけどさ〜。毎年同じはやっぱりつまんないですよ〜」
藍川先生が泣き真似をする。そこにやっぱり
「そんなことは言ってはいけません。いつも通りやりましょう」
嘉味田先生が注意する。
「まぁでも藍川先生の気持ちもわかるぞ。毎年同じだとマンネリ化するもんなぁ。でも今年は例年通りではないらしい。いつもよりあべこべ遊びを増やすそうだ。よかったな藍川先生、校長先生の決定だ。」
「それはいいですね〜。でも一年生たちがあべこべ遊びに慣れるのもいつもより早いってことじゃないですか。それは嫌だな〜」
「そんなこと言っても仕方ないですよ。でも良かったではないですか。あべこべ遊び増えるそうですよ。ポジティブに考えましょう。」
「うう、そうします〜」
泣き真似をしながら藍川先生が言った。
「明日のオリエンテーション、私たち教師が1つアドリブであべこべ遊びつくらないといけないですよね。布黒木先生と藍川先生は何を考えてますか?」
「それを今言っては楽しくないですよ〜、ですよね?布黒木先生」
「そうだな。明日のお楽しみだ。」
「え〜。私何も考えてないんですよ。何かないですかねぇ」
「それは自分で考えてください」
「そうですよ〜俺ですら考えたのに」
「あなたの場合は友達にでも聞いたのではないですか?」
「どうしてわかった!?もしやエスパー?」
驚いた様な演技をする藍川先生。
「誰だってわかります。あなたの今までの行動を知っていれば。そうですよね布黒木先生」
「そうだな」
布黒木先生と嘉味田先生から言われた藍川先生は苦笑いを浮かべた。
こうして先生たちの日常がいつも通り訪れた。
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布黒木先生はため口、藍川先生は「~」が多く、嘉味田先生は基本丁寧語で話しています。
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