第28話

家に帰り、台所に行くと、お母さんが神妙な面持ちで座っていた。やはり義理の妹なことを伝えるのだろう。お兄ちゃんとこれから呼んでくれるか不安だ。


「正弘達座りなさい」


「何かした私達?」


「なにもしてないわ。だけど今後の兄妹の関係を左右するわ。まぁ梨香にとっては幸運なことよ。あなた達は義理の兄妹なの」


「え?それ本当。てことは狙っても問題ないよね」


狙うってなんだよ。俺彼女いるんだけど。それに応援してるんじゃないのか?もしかして今まで兄妹だからと我慢してきたのか。だか俺は梨香は好きだが、妹としてしか見えないぞ。


「それは今から女だとアピールするから問題ないよ」

 

「心読むなよ」


「お兄ちゃん分かりやすいし、何年一緒にいると思ってるの?お兄ちゃんのことは大体分かるよ。AVの場所も。お兄ちゃんの好きなタイプも。お兄ちゃんの好きなアニメの傾向も。大好きなんだからいくらでも知りたいと思うしね」


AVの場所までばれてると思わなかった。もしかして好きな傾向も分かってたりするのか。というより妹にばれるとか、恥ずか死ぬ。研究するために見てたりしないよね?結構マニアックなのもあった気がするが。


「そうか、AVのことは美海達には言うなよ。AVを破壊されて美海に監禁される未来が見えるからな」


『へぇーこんなのを見てるんだ。私以外で興奮してるなんて許せない。後で壊してやる』


やっぱ生き霊憑いてるだろう。美海の声が聞こえるんだが。本人にばれてないだけましか。AVは終わったが。破壊されてる音がするし。これからは動画で見よう。アップロードしなきゃ大丈夫だろ。


「しないよ。それにもう壊されてるぽいしね。まぁ私は見たから問題ないけど」


見られてるとか性癖まで知られているのかよ。しかも妹に。恥ずかしすぎる。これが羞恥か。それと何枚も壊す音がする。こりゃ全部終わったな。ああ、俺のコレクションが。美海達とはそいう雰囲気になかなかならないんだよなぁー。だからたまるんだよ。


『いつでも私は大歓迎だよ。むしろしたくてうずうずしてるまであるね』


なんで本体の気持ちが分かるんだよ。生き霊じゃなくて式神だったりしないよね?だったら俺は監禁される。まぁ式神を使えるなんて聞いたことないし多分違うだろうが。時期が来たらする。


「でも義理の妹なら美海さん達から奪うよ」

 

彼女ができてからモテ期が来てもな。彼女がいなかったら付き合っていたかもしれない。妹として見てないが、それはあくまで妹ぽく振る舞っていたからである。男を狙いに来てるような感じなら分からない。それだけ妹が対好きなシスコンなんだよ。だが美海達は俺の理想だ。そう簡単に乗り換えたりしない。


「俺は美海達が大好きだ。そう簡単に好きにはならないぞ。恋愛は自由だからとやかく言う気はないが」


アイドルになるからって外堀から埋めていかないよね?いやアイドルは恋愛は御法度だから男の影は見せないはずだ。兄が大好きと言ったらそれまでだが。兄妹愛として納得するだろう。


「ふふん落として見せるよ」


あ、そのふふんはやちょっといろはっぽくて可愛かった。いかんいかんついつい見惚れるところだったわ。俺の好きな仕草をやってくるとは策士め。美海達に出会わなかったらもしかしたら好きになっていたかもしれない。だが美海達に出会っただから好きにはならない。これ以上増えても嫉妬で美海が何をするか分からないし。


「話しは終わったかしら?それじゃ私は寝るわね。お休み」


そう言って母さんは自分の部屋に向かった。それじゃー俺も行くか。明日朝早く起きて勉強をしたいし。東大に行くには今のまんまじゃ余裕ぶっこいていたら間に合わない。それだけ難易度が高いのだ。


「それじゃ梨香お休み」


俺は自分の部屋に入ると、美海と付き合う前のプリクラをみてにやける。まさか数ヵ月でここから付き合うことになるとはな。人生何が起こるか分からないものだ。俺はベットに横になりタイマーをセットして寝た。



うわー眩いな。夏の朝って暑いんだよな。だからあまり好きじゃない。春ぐらいがちょうどいい。俺はそんなことを思いながらタオルケットをからでて立ち上がった。あっというまに一週間が経ち海に行く日である。胸がたぷんたぷんと揺れて白い健康的な足が俺の目の前を通る。やベーにやけちゃいそうだわ。海でこんなに楽しみなのは久しぶりだ。


「起きてーお兄ちゃん。もう起きてるんだ。ちぇ折角キスをしようと思ったのに」


いや兄妹同士でやるのはまずいだろ。なぜか昨日ことを聞いても母さんは反対してこなかった。普通は兄妹なんだからとなるはぜ何だが。梨香が好きなことを知っていたのか?


「そんなことをしたら俺が美海に監禁されるわ」


さすがにやだよ。折角の青春を地下で過ごすの。もっとデートしたいし。手だってもっと繋ぎたい。まだまだやりたいことはたくさんある。


「そしたら救い出すよ!」


「いや式神なりでてきて厳しいと思うが。それに梨香は傷ついてほしくないし」


「今のは私的にポイント高いよ」


するとハーフパンツから伸びる足を顔の前に置いた。なに誘惑でもしてるの?ついつい触りたくなっちゃうでしょうが。我慢するがな。美海の生き霊がこっちをにらんでいるし。













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