第7話

それにしてもかなえは的確にここぞって場面で、口をだしてきたな。やはり頭は悪くないんだろう。勉強時間が足りないだけで、俺と美海で成績を上げられるように頑張るか。


「かなえ森田は怪我をしなかったか?」


「してないわよ。森田くんは相当武を極めているわね。まぁ普通だったら落ちるようなことも平然と言っていたし、行動してたわ。まぁ私は好きな人がいたから、落ちなかったけど。いなかったら落ちてたかもしれないわね。主人公といわれてる理由も分かったわ」


森田効果はかなえにも影響を与えそうになっていたか。恐るべき主人公気質だ。好きな人がいると好きにはならないんだな。そこは驚いた。

森田のことだから古武術でどんどん相手を倒していったんだろうな。


「まさか油断したときにナイフで襲ってきて、森田くんがそれを察知して、相手を蹴飛ばして大切な人を傷つけるんじゃねぇーとか言ったときは勘違いしそうだったわ。それと倒れそうになったときに甘えはもう休んでら後は俺がかたずけると言って数人を一気に倒したときは感動したわね」


たぶん俺の大切な人に傷をつけるんじゃないという意味なんだろうが。主語が抜けてるな。これで勘違いいする奴がわんさかとでてくるのだろう。勘違いした女子達が不憫に思える。


「そうか、何よりかなえが森田を好きにならないで良かったわ」


主人公だとその可能性があったからな。略奪されるほど辛いことはない。まぁ森田は美海を俺に略奪されたようなものかもしれないが。俺の愛は深い分いなくなったときに悲しむ。かなえが裏切るとは思えないが。


「私が正博くん以外を好きになるなんてあり得ないわ。それより正弘くんも美海さんばっかしに構ってないで、私にも構ってほしいわ」


まさかここでかなえが嫉妬するとは。いい傾向だ。かなえの嫉妬がなくて俺はそんなに愛されていないかと少し心配になっていたんだ。女子は嫉妬をする生き物だからな。美海はいきすぎな気がするが。あれはもはやヤンデレだからな。何かやらかしたら俺の平穏な生活が脅かされるレベル。


「ああ、構うぞ。それにしてもかなえも嫉妬するんだな」


「そりゃ女子だからね、独占欲ぐらいはあるわ。だけどそれ以上に自分に自信があるから、そこまで嫉妬しないのよ。構わなすぎると嫉妬はするけど」


かなえと美海と同じくらい構おう。どっちも彼女なんだから。その辺は平等にしないとな。じゃないとはなれる可能性もある。ハーレムみたいな関係だしいつなにが起こるか分からないし。


端からみたら女たらしにしか見えないだろうが。雪穂にもハーレムに加えてくれと言さ。だが俺の好きなのは美海とかなえだけだから断っている。これ以上美少女と付き合ったら呪いをかけられないか心配っていうのもあるが。


「これからかなえにも構うぞ」


「私もうそろそろ仕事があるから行くわね」


「わざわざ忙しといときにごめんな。モデルの仕事頑張れよ」


「頑張るわ。それじゃーこれで」


そう言って小さく胸の前で手をかなえは振っていた。なにそれ可愛い。キュンキュンしちゃうわ。モデルだから見せ方が分かっているな。俺もかなえに見合う男にならなければ。これからは反射神経も鍛えないとな。とっさの攻撃にも避けれるように。呪術にだけには頼れない、そもそも自衛目的以外の呪術を素人にすることは禁じられている。


まぁ今回は幻覚だけだから不問にされた。攻撃的な呪術じゃないからな。霊気を纏った拳は呪術に入らないから大丈夫だ。攻撃的な呪術を使うと、陰陽法により罰金とか刑務所に入ることになる。陰陽師相手なら大丈夫なんだが。


それにしても暇だ。梨香でも来てくれないかねー。小説を書いてるとドアをノックされた。


「どうぞー」


「お兄ちゃん来たよー」


「おお、ちょうどやることがないところだったからよかったわ」


「あ、お菓子が置いてある。美海さんとかなえさんが来てたんだね」


「あ、そうだはいこれ頼まれてた小説」


これを読みたかったんだよな。俺の青春ラブコメは間違っているの新作。八幡がどんなことをやるのか興味がある。それに小説の参考になるし。個人的には推しは一色いろはだ。あのさあざとさがたまらない。


「ありがとな。早く梨香のご飯が食べたいな」


「お兄ちゃんはマッカンを我慢したらいくらでも好きな料理を作って上げるよ。かなえさんも甘すぎだよ。マッカンを毎日4本くらい持ってくるんだから」


「仕方ないだろう。マッカンが美味しすぎるんだから」


あの美味しさを分からないなんて、人生損をしてるな。千葉の飲み水なんて言えるレベル。千葉の生んだ最高の飲み物だ。マッカンで糖尿病になって構わないレベル。千葉はよくこれを産み出したな。


「はぁーお兄ちゃん病気にならないでよ」


「気を付ける」


「そう言えばお兄ちゃん学校じゃヒーローになっているみたいだよ。美海さんを救ったヒーローだって。まぁ森田先輩の方がヒーロ的な扱いを受けてるけど」


「まぁあいつは主人公だしな」


最終的に俺が救っても主人公効果で森田がヒーロ扱いされる。まぁあのとき森田が脇役を引き受けたのには驚いたが。森田は美海を諦めたんだろうか。そんなことを考えながらマッカンを飲んだ。ああ甘い。
















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