第6話

しばらく話し込んでいると、ドアがノックされた。誰だろうか?梨香か?でも来ると言っていた時間にはまだ早いような。だが他に来る人は思い浮かばない。とりあえず入ってもらうか。


「どうぞ」


「失礼するぞ。ふむ貴殿が尾関くんか。とてもあいつらを倒すほどの強者に見えんが」


なんかすごい貫禄のおじさんが入ってきた。思わず悲鳴を上げたくなるほどだ。そういえば美海が今日は組長が来ると言っていたような。てことはこの人か噂の組長は。これで組長じゃないといわれたらどんだけ怖い奴が組長なんだよと疑うレベルで怖い。


「まぁそうですよね。オーラがでてないんですから」


霊力で威嚇すれば多少はだせるが、やくざの組長をびびらせるほどじゃない。それにこれは最近できたことで、自由にコントロールができない。だから俺はやくざの組長から見たら弱者にしか見えないだろう。


「だが尾関くんが倒したことに変わりはない。あとすまなかった。うちに関係のあるの組が尾関くんの彼女を拐ってしまって」


そう言って組長が頭を下げた。関係あると言っても直接的な関係はほとんどないのに頭を下げれるからこの人は組のトップを張れるんだろう。権力のある人間で頭を下げることは大体の人ができない。プライドが邪魔してな。だがこの人はできるとこから人格者でもあるんだろう。


「大丈夫ですよ。美海には怪我はありませんでしたし。頭を上げてください」


「分かった。それでなにか夢はあるか?」


頭を上げると真剣な顔で聞いてきた。これは普通の公務員とか言っちゃダメな場面だな。


「政治家です」


「政治家か、それなら協力はできそうだ。俺の知り合いに大物政治家がいる。その人は後継者がいないといていたんだ。尾関くんを推薦しておこう」


「それは助かります。政治家目指そうにも祖父の地盤は別の地域ですし、もう後継者がいたので、一から始めなきゃいけなかったので」


大物ってどれくらいレベルだろう?そもそもこの組がどの程度の権力を持っているか分からないが。この人から大物感が漂っているからたぶん有名な組だろう。


「そうかそれならよかった。尾関くんの祖父は総理大臣を経験してるんだよな。だからそこから出馬をするんじゃないかと少し不安だったが問題はないみたいだ」


「それで貴方の組は何て名前なんでしょうか?」


「服部組だ。名前ぐらいは聞いたことがあるんじゃないか?」


超大物の組じゃん。確か日本を裏から牛耳っているくらいの。それくらいのレベルなら政治家と繋がりかあってもおかしくはないな。やくざと政治家ってやっぱ繋がっているんだな。


「知ってますね比較的ホワイトなやくざで政治を裏から牛耳ってるって聞いたことがあります」


「それはいいすぎだ。確かにうちの関係のある投資している企業には大手か多く、政治家とも繋がりは深いが、政治には直接関わっていないぞ」


噂の類いだったか。まぁあれだけの権力を持っていれば、そいう噂がでてもおかしくはない。それだけ服部組は権力を持っている。その組長が直々に謝りに来るのだから、今回がいかに重要な事件だったかが分かる。美海は徳川家の分家でそれなりの権力をもっているし、俺は祖父が総理大臣だったし、大物が絡みすぎてるからな。


「それよりもやくざって個人に高い金利をつけてそれで儲かってるんですよね?」


模しそうならここで関わりをもつのは不味いかもしれない。相当数の恨みを買ってるだろうし。美海達に被害が及ぶ可能性がある。ここは慎重にいかなくては。


「心配に及ばないぞ。俺たちは個人には比較的金利があまり高くないし。他の組みたいに無理に借金を迫ったりもしない。そもそもやる必要かないんだよな。うちは会社への投資で儲かっている」


だから政治家と繋がっていたも国民からその政治家は批判を浴びないのか。週刊誌もそれを分かってるから記事にしないんだろう。ここで繋がりを持てば大きな後ろ盾になるかもしれない。やりたい政策も実行しやすいだろう。


「それならお願いします」


「直接面談があるかもしれないが、そこんとろはよろしくな」


直接面談か、なにか失態をおかなさないように準備でもしておくか。なぜ政治家になりたいかたか聞かれるだろうからそこから準備をしておこう。


「服部さん、金銭の保証はどうするのかしら?一回もその話がでていないの気になったのですけれど」


「その話か、それは親ともう合意済みだが1000万ぐらいだ。全額尾関くんか自由に使っていいらしいぞ。それと織田さんだよな?織田さんにも迷惑をかけたから二百万円の示談金を渡そうか」


するとかなえは目を開いて驚いていた。まぁ被害を受けたわけじゃなく自ら突っ込んだわけだしな。驚いても無理はない。かなえからしたらそんな大金でもないかもしれないが、相手の誠意として受けとるべきだろう。


「かなえ受け取ってるんだ。相手のためにも」


「そうね、受け取りますわ」


「それで美海にもその話はいってるんですよね?」

 

「もちろんだ千六百万円示談金として渡している。それともうひとつ願いを叶える予定だ」


家が立つレベルだな。そのお金で恐らく美海は声優になるための準備を整えるだろう。防音室を作るか、作ってある家にいくだろう。美海ほど頭のいい声優候補はあまりいないだろうからな。


「それじゃ俺はここで失礼するぞ。それじゃー体を休めておけ」


そう言って服部さんは病室をでた。やくざたけどいい人そうだったな。あいつらをどう処分するかは服部さんに任せよう。信頼に足る人だと分かったから。















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