なんか変な事に気付く。



「………………?」


 コマツを止め、大木に向かって滅多打ちにされた褐色クソトカゲの様子を確認する俺。


 予想の八倍くらいグッシャグシャになってるクソトカゲを見て、俺は何かおかしい事に気が付く。


「…………流石に弱くね?」


 黒と比べてサイズが小さかったとはいえ、ここまで簡単に殺せる物なのか? と言うか本当に死んでるのか?


 疑問を感じても、売却による確認をするまでも無くステータスに結果が反映されてるので殺したのは確実だった。


 ──『アルマ/Lv.15』

 ──『HP:1500/MP:1500』

 ──『ヌルMP:9600』

 ──『ヘルメスMP:5』

 ──『STR:120/INT:105』

 ──『VIT:135/MIN:60』

 ──『AGI:105/DEX:90』

 ──『ワークビークルショッピング』

 ──『眷属化(機械)』

 ──『召喚術』

 ──『拡張可能』


 この通り、レベルが3も上がってる。上昇率を考えると、コイツは黒いクソトカゲより格下だったのだと分かる。


 ちなみに召喚中の眷属はMPが表示されないが、ジャックとコマツを送還するとこんな感じになる。


 ──『ジャックMP:200』

 ──『コマツMP:150』


 ジャックはランバージャックと名付けたけど、ちゃんと呼びやすい様に略称で表示されてるのが良い感じだ。こう言うところは便利になってるんだなと思う。


 あと、スキルリストにも変化がある。拡張可能が一つ増えてるのだ。


「…………もしかして、レベルが五の倍数に達する毎にスキルが一つ手に入るのか?」


 黒いクソトカゲじゃない別種の竜を討伐したから、そのボーナスである可能性は依然として存在するが、流石に竜の種類だけボーナスが貰えると考えるのは無理がある気がした。


 そうすると、五の倍数までレベルを上げるとスキル枠が一つ手に入ると考える方が自然だ。


「…………んー? 選択出来るスキルが増えてるな」


 前回見た物は全部残ってるが、それに加えて『背撃』や『切断』など、戦闘に使えそうなスキルが増えてる。他にも『伐採』や『剛力』なんてスキルもある。


「もしかして、俺の行動がスキルリストに影響してる?」


 俺、と言うより眷属の行動か。恐らくは眷属の経験が俺にバックされてるんだろう。実際、クソトカゲを殺した二回ともが直接手を出して無いのだし。


 一回目は召喚しただけのBWEヌルで潰したし、二回目の今はコマツが無限ジャイアントスイングで叩き殺した。そのどちらも俺のレベルが上がってるんだし、スキル取得の経験も同じシステムだったとして不思議は無い。


「…………なるほどなぁ。だとしたら、今この場でスキルを取らずに、もっと色んな経験をして取得スキルを増やした方が良いのかね?」


 それとも、このスキルリストは拡張枠が増えた時点で不動になってるのだろうか? あくまでレベル15までの経験を反映してるだけで、これ以降の経験は次の20レベルまで保留とか?


「それを知る為にも、今は取得せずに色々やってみようか」


 それと、ワークビークルの行動が俺のスキルに影響を及ぼすなら、もっと色んなワークビークルを呼び出して色々やらせても良いかも知れない。


 例えば、アタッチメントをブレイカーって言う物に交換したパワーショベルがある。ブレイカーって言うのはコンクリート等を叩き割る為のパイルバンカーみたいな『自動ツルハシ』の事だ。


 アレで竜樹をひたすらガリガリと削らせたら、また攻撃系のスキルとか手に入りそうだ。


 他にも放水車を買ってホースで水をぶっぱなしてれば、水魔法とか手に入るんじゃないか? 流石に魔法は望み過ぎかも知れないが、可能性はゼロじゃない。


「いやダメか。放水車を買っても、この世には消火栓が無い……」


 給水車とかと連動出来るかも知れないが、俺は詳しくないので今は無駄遣いしたくない。やるとしたら人里に行って生活が安定した後に、ポイントにも余裕が出来てからの事だ。


「…………ん? 待てよ、眷属の経験が俺にバックされるなら、俺が取得したスキルの効果が眷属にバックされたりしないのか?」


 そも、『伐採』なんてスキルを俺が持っても仕方ないだろう。眷属の経験でスキルを手に入れる仕様があっても、眷属が居る奴は眷属に伐採作業をやらせてるからスキルが手に入るんだ。


 スキルが手に入ったからって、そこから自分の手で伐採作業をするかって言うと「いや無いだろ」って答えになる。だとしたらこの仕様は完全に無駄である。


「…………伐採、取るか? もし眷属にも効果がバックされるなら、ジャックで竜樹を伐採する速度も上がるだろうし」


 だが効果が無かった場合、完全に無駄スキルになる。貴重なスキル枠を無駄打ちするのは、ポイントの無駄遣いよりも遠慮したい。


「うん、やっぱ保留だな。それに、眷属に効果があるかどうかを調べる時は俺と眷属のどっちにも使えるスキルを選ぼう」


 そうすれば、眷属に効果が無かった時でも完全に腐る事も無い。俺自身が使えるスキルなら問題は無いのだ。


 例えばこの切断なんてスキルは、俺が刃物を持てば自衛にも使えるし、眷属にも効果があるならコマツのハサミが更に凶悪になるだろう。


 スキルの効果を確認したところ、何かしらを切る時に補正が入るパッシブスキルらしいので、戦闘の他にも幅広く使えるはずだ。料理とか、工作とか。


 そういう意味では剛力も良い。これこそ戦闘にも日常生活にも使える最高の汎用スキルだろう。効果は単純に、STRを倍にすると書いてあった。


「…………あぁ、そうだ。そういえば食料が欲しくてコイツを仕留めたんだっけか」


 熟考してたが、ふと目的を思い出した俺はコマツに次の指示を出す。


 とりあえずコイツを解体して、食べれるようにしなくては。


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