眷属選び。
改めてワークビークルショッピングを見ると、エクスカベーターは正式名称じゃなくて種別だと知った。
簡単に言うと、メーカー毎に個別のパワーショベルがあって、それぞれに品番や製品名がある様な物だ。バケットホイールエクスカベーターは重機の種類を指すのであって、製品名じゃない。
「正式名称は
例外無く全部がクソでかいのはそうだが、機種によって大きさや形が微妙に違う。どれも必要ポイントが百億からで、とてもじゃないが真っ当な手段じゃ手が出せない。
略称は
BWE、なんかカッコイイな。名前を付けるとしたらなんだ、293だから、
じゃぁなんだ、
「…………変に捻るとロクな事にならないな。最初に呼び出したんだし、数字で呼ぶか」
「ヌルで良いか。なんか一番より零番の方が特別な感じするし」
と言う訳で設定。入力はなんだ、打ち込みなのか? 思念操作みたいなこと出来る癖に、変なところでアナログだな。
──『アルマ/Lv.12』
──『HP:1200/MP:1200』
──『【ヌル】MP:9600』
──『STR:96/INT:84』
──『VIT:108/MIN:48』
──『AGI:84/DEX:72』
バケットホイールエクスカベーター、Bagger293の名付けが終わったので、次は普段使い出来そうで戦力に出来そうな重機等を買っていこう。
ヌルの修理費に一億ポイント持って行かれてるが、それでもまだ五千ポイント以上も残ってる。特殊な重機じゃ無いなら複数買える程の資金力だ。
かなり高額な大型油圧ショベルカーでも一千万から二千万も有れば大体買える。小型の物なら数百万って所か。
もちろん例外もある。採石用の超大型重機だと平気で億越えの値段なので、今は手が出ない。強そうなんだけどな。
「小型の物だと、クソトカゲを相手にしたら速攻でスクラップになりそうだよな。大型でもちょっと無理があるのに、超大型が高すぎる……」
クソトカゲは八階から十階ほどの高さがある雑居ビルくらいにデカかった。それが動かない建造物なら重機でぶっ壊すのに問題無いが、自ら動く攻撃性の高い生物って言うのがとてもネックである。ビルに踏み潰されたショベルカーとか一撃で大破するだろう。
「だけど、あの大きさが標準サイズなのかも分からないし、小回りが効いた方が有利な相手だって居るかもしれん」
取り敢えず、普段の移動用にバイクでも買うか。そして小型の敵生成物や対人戦なども考えて小型のショベルカーに、大物用の重機を一台ってところか。
重機はそもそも生き物を傷付ける用途に使う物じゃ無いが、それでもパワーショベルのアームを伸ばしてフルスイングすれば相応の威力になる。
自分が乗ってそんな動きをするのはゴメンだが、眷属化の効果で自律行動してくれるって言うなら構わないだろう。
「人里に行ったら、どうにか金を稼いで重機を改造するのも良いな。鍛冶師とかに巨大な剣や爪でも作らせて、パワーショベルのバケットと交換したりとか」
そうすると、パワーショベルのフルスイングが打撃ではなく斬撃に変わる。しっかりと武装すれば大きさが足りない重機でもクソトカゲを殺せるかも知れないな。
「…………そう言えば、林業用の重機もあったよな。凄い速度で伐採とかしてくれるやつ」
ワークビークルショッピングで調べてみると、あった。かなりの種類が存在する。ただ、どれもこれも地球規模のサイズ感である。この森の巨木を伐採出来そうな機種はそう多くない。
良く考えると、製材用に植林された樹木を切る為に作られてるんだから、こんな御神木レベルの大木を切れる規格なんて早々無いだろう。当たり前の事だった。
「……んー、1440万ポイントで買えるコイツかな」
しかし皆無と言うことも無く、一応は要求に答えてくれそうな物を見付ける。海外製でかなり高額だが、パッと見はめちゃくちゃ強そうに見える伐採機だ。
多くの伐採機はパワーショベルの派生だったりアタッチメント交換した物なのだが、どうやらこれは専用機みたいで、キャタピラやタイヤでは無く四本のマシンレッグを使って歩行するタイプになってる。
伐採作業をするアームの先にはクソでかい爪が対になっていて、その爪の内側にこれまたクソでかいチェーンソーが仕込まれてる様だ。
こいつを買って、その辺の木を切れたらポイントが稼ぎ放題になるんだが、どうだろうか? 枝だけでもかなりのポイントになったんだし、まる一本を売却したら美味しいはずなのだが。そうなれば超大型にも手が届く。
それに、ポイントに売却可能なサイズの限界をまだ調べられてない。これだけの大木をそのまま売れたら、制限は多分無いのだろうとわかるし、制限があって売れない場合でも、その時に改めて伐採機を使って大木をバラバラにしてやれば良い。細かくすれば売れるだろ。
「あと、こいつを上手く使えればクソトカゲの足とか切断出来そうだし」
動きは遅いだろうから、工夫しないと攻撃には使えないだろう。だが火力と言う面だけを見ると中々に見える。とりあえず購入候補に入れておこう。
「納得行かないのが、自衛隊が使う装甲車とか給水車はラインナップにあるのに、戦車とかは無いって事だよな」
それさえ有ればこんなに悩まなかったのに。やっぱこれ、俺が苦労する様を見て喜んでる奴が居るだろ絶対。ラインナップに悪意を感じる。
結局、今は移動用の足として新聞配達用のシンプルな原付バイクを一つと、伐採機を一つ買った。伐採機が上手く使えれば、この森でポイントを貯めまくってから外に出たい。と言うかこんな森は正直今すぐ出たいのだが、背に腹はかえられない。
購入を実行して目の前に呼び出す。そして眷属化と召還契約もすぐに。
バイクには旅人を意識して『ヘルメス』、伐採機には
ヘルメスは燃費最強で有名な原付バイクで、新聞配達用の物だが前カゴで全てを済ます為か荷台には何も無く、ぶっちゃけ『ただのバイクです』と言われても疑わない見た目である。色は深緑でそこも好みだった。
ジャックは薄緑色で、見た目は角が曲がった四本足のカブトムシ的な感じだ。カッコ良さとカッコ悪さが奇妙に同居してるデザイン性は、ワークビークルとしてはあるあるだと思う。
「よし、じゃぁヘルメスは送還して、ジャックはそこの木を伐採してくれ」
ヌルが完全に沈黙しててゴーレム化させた自覚は薄かったが、新品のジャックは問題無く勝手に動いて…………、くれない。なんでや故障か不良品なのか詐欺かコノヤロウ。
「……………………あぁ、燃料か」
そういやヌルにも
どうやって燃料を入れるのか分からないが、何となく触れて念じれば良いと思ってその通りにする。ホントこの『何故か分かる』システムが気色悪いけど仕方ない。
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