第9話 氷嬢様と初めてのお泊り会(後編)

前回のあらすじ。主税と鈴女はそれぞれの部屋でお泊り会をすることになった。その後、玄関でたまたま鉢合わせてしまい急遽5人で夕食会をすることになった。


主税「じゃあ買い物行ってくるわ。」


朱莉「え、鍛冶場くん自分で料理作れるの?」


主税「まあな。」


駿介「コイツの料理はサイコーだぞ。」


倫「何でアンタが自慢げなのよ。」


朱莉「そうなんだ。なんか意外・・・・・・」


主税「2人は晩飯のリクエストはないか?」


朱莉「え、私は何でもいいよ。」


鈴女「私も、特にリクエストはございません。いつも、鍛冶場さんに任せているので。」


主税「了解。じゃあ留守番頼むな。」


主税は買い物をしに部屋を出た。しかし、3人は鈴女の言葉に違和感を抱いていた。


駿介・倫・朱莉「(ん・・・・・・何か違和感が。)」


その後、主税が帰ってきて晩御飯の支度をしていた。


朱莉「鍛冶場くん。何か手伝えることない?」


主税「山吹さん?みんなでゲームしていたんじゃねえのか?」


朱莉「そうだけど、一人で準備させているのに罪悪感があって。」


主税「いいって、いつも一人で作業していたから。」


朱莉「ならいいけど。」


主税「でもありがとな。氷堂さんと仲良くしてくれて。」


朱莉「え、急にどうしたの。」


主税「俺は2年から氷堂さんと同じクラスになったから詳しいことは分からなかったけど友達がいないことに悩んでいたらしいんだ。でもアイツは表情出さないから。」


朱莉「なんか、鈴女ちゃんの親みたいね。」


主税「は!?そんなんじゃねえし!」


朱莉「動揺しちゃって~」


主税「いいからリビングで待ってろ~!!」


朱莉をリビングに戻し、晩御飯の作業をした。数時間後・・・・・・


主税「お待ち、俺特製「ビーフシチュー煮込みハンバーグ」だ。おあがりよ!」


それぞれの机の前にビーフシチュー煮込みハンバーグを置いた。


倫「待ってました~!!」


駿介「うまそ~!!」


朱莉も目の前の料理に目を輝かせていた。


朱莉「本当に鍛冶場くんが作ったの?そんじょそこらの奥さんでもこのクオリティは作れないよ。」


朱莉はナイフでハンバーグを切り、フォークで刺してハンバーグを口に運んだ。


朱莉「!?」


鈴女「どういたしましたか?」


朱莉「美味しい・・・・・・私もよく料理をするけど、この味は一生かけてもたどり着けないかも。」


主税「そこまで喜んでくれるとは。」


駿介「でも、何でこんなうまい飯を作れるんだ?」


主税「別に才能とかはないぞ。家の家事全般は俺の仕事だからその長年の経験だよ。」


駿介「まあ勉強はできないけどな」


主税「るっせ!」


倫「でも、小学生の時に作った目玉焼き。完全に炭だったよね。」


主税「まだ覚えてんのかよそのこと。」


倫「だって卵が完全な黒炭になっていたもの忘れたくても忘れられないわ。」


主税「まあそうだよな。もったいないから全部食って何回か吐きそうになったけど。」


と昔の主税たちの話を始めた。


朱莉「3人は幼馴染なんだよね。」


駿介「そ、幼稚園から今までずっとな。」


主税「3人とも家が近かったんだよ。今はここに住んでるけど前はアパートに住んでいたんだよ。」


倫「ホント大変だったよね。まさか劣化で床が抜けるなんて。」


朱莉「床抜けるのってアニメとかしか見たことがないけど現実でもあるんだね・・・・・・」


主税「それでここに引っ越してきたんだよ。でも隣が氷堂さんとは思わなかったけどな。」


倫「ホント、世間は狭いわね。」


主税「そうだ、5人いるし「一生ゲーム」しないか。」


鈴女「一生ゲーム・・・・・・って何でしょうか?」


駿介「ボードゲームだよ。ルーレットを回してコマを進めて一攫千金を目指すゲームだ。」


鈴女「面白そうですね。」


主税「じゃあ出すからちょっと待ってろ。」


主税は物置からボードゲームを出しに向かった。早速、ゲームが始まった。


主税「まずは俺からだな!」


主税はルーレットを思い切り回した。出目は5だった。主税の赤い車が5個前に進んだ。


主税「げっ!スピード違反で7000円払うだと!」


主税は早速お金を払うことに。


朱莉「次は私だね!」


朱莉はルーレットを回し7が出た。朱莉の黄色の車が7個前に進んだ。


朱莉「宝くじ当選!20000円手に入れた!」


その後、倫と駿介も自分のターンを終え、鈴女のターンになった。


鈴女はルーレットを回し、9が出た。白の車が9個進んだ。


鈴女「えっと・・・・・・医者になれる。」


主税「職業カードだな。気に入ったら給料日に給料がもらえるんだ。」


倫「でも似合っているわよね。」


鈴女「そうですか?では、なります。」


その後もターンが進み。


主税「よっしゃ!学校の先生から校長に昇格!」


倫「双子が生まれた!みんなから30000円ずつもらうって」


駿介「おい、政治家で寝てる姿を見られたって!人気カード2つ捨てるとか」


鈴女「難しい手術に成功した。ボーナスで100000円もらう。」


などいろいろなイベントが進んだ。終盤になって


主税「次は俺か・・・・・・家の床に穴が開いた!?」


倫「ぷっ!現実と同じじゃん。」


主税「よりによってこのマスに止まるとは・・・・・・」


さらに進むと、鈴女が大変なことに・・・・・・


鈴女「人生最大の賭け・・・・・・一つ数字を選んで当たれば100万、外れば全財産を失う。」


駿介「文字通りの人生最大の賭けだな。」


鈴女「では、1で。」


鈴女はルーレットを回した。ルーレットの出目は10・・・・・・の次の1だった。


主税・駿介・倫・朱莉「お~~~~~~~~!!!」


鈴女は人生最大の賭けで勝利し、その結果。総資産で一位を取り、鈴女の優勝となった。


駿介「結局賭けゲーじゃねえか!」


朱莉「十分の一の確率で当てたんだから当然よね。」


倫「でも、久しぶりにやったけどこのゲーム面白いわね。」


鈴女「私は、みんなでこういう風に遊ぶの初めてで。」


駿介・倫「(ヤバッ!地雷踏んだ。)」


鈴女「とても、楽しかったです・・・・・・またみんなとやりたいです。」


鈴女の口角が少し上がり、微笑んだ。


朱莉「鈴女ちゃんが笑った!」


倫「かわいい!」


駿介「おい主税、お前も見ただろ!」


しかしその場所に主税はいなかった。その後、主税はトイレに行っていたことが分かった。ボードゲーム大会を終え、解散することになった。女子3人は鈴女の部屋。男子は主税の部屋で寝泊まりすることになった。


駿介「それにしてもさ、氷嬢様。最近表情豊かになったよな。」


主税「そうか?でも確かにずっと無表情じゃなくなったよな。」


駿介「お前はもったいないことしたよな。今日初めて笑ったんだぜ!」


主税「俺だって笑ったところ見たことあるし!」


駿介「でも、今日で印象変わったわ。クラスでは人気だがやっぱ近づきづらいところがあったんだけど、話してみると優しくて。」


主税「それは確かに、普段ずっと敬語だし大人っぽいし、同い年には見えないよな。」


駿介「隣の部屋、何してんだろな。」


隣の鈴女の部屋では女子三人でお風呂に入っていた。倫が湯船に浸かって体を洗っている朱莉の胸をジーっと見ていた。


倫「・・・・・・・・・・・・。」


朱莉「なっ・・・・・・何見てるの。」


倫「こーんなけしからんおっぱいつけといて羨ましいったらありゃしない!!」


朱莉「いや、だって私Dだよ。」


倫「私はAだよ!」


朱莉「え~・・・・・・。」


倫「ダジャレ言って誤魔化すな!!」


倫は湯船から飛び出し、朱莉の胸を揉みしだいた。


朱莉「ちょっとやめっ・・・・・・助けて鈴女ちゃ~ん!」


朱莉が助けを求めているとお風呂場のドアが開き、鈴女が入ってきた。


鈴女「随分騒がしいですが、どうしたのですか。」


鈴女の白いボディを見た二人は、今度は鈴女にじりじりと近づき始めた。


倫「氷堂さん、とてもいい体してるわね。」


朱莉「その体よ~く見せてもらえないかな~」


鈴女は近づく二人から逃げるよう後ずさった。


倫・朱莉「覚悟!!」


倫と朱莉は鈴女の豊満な胸をそれぞれ片乳ずつ揉みしだき始めた。


鈴女「やめてください!くすぐったいです!」


倫「にしてもこの乳なかなかのものね。指が沈むわよ。」


朱莉「ホントにこれは別格ね。」


鈴女「いい加減にしてください!」


鈴女は二人を押し倒すと3人まとめて湯船に落ちていった。3人がお湯から上がると鈴女をなだめた。


倫「ごめんごめん、やりすぎちゃった。」


朱莉「もうやらないから許して。」


鈴女をなだめ、何とか事なきを得た。お風呂から上がりたわいもない話でパジャマパーティーを楽しんだ3人は寝室で眠った。次の日の朝、主税と駿介は朝ご飯にトーストをかじっていると主税のスマホから電話がかかってきた。


主税「倫から電話だ。」


主税が電話を取ると・・・・・・


倫「主税、そっちに戻っていい・・・・・・?」


なんだか眠そうな声が聞こえた。


主税「お前、何があったんか?」


倫「実は一睡もできなくて・・・・・・」


主税「夜更かししたのか?」


倫「いや・・・・・・氷堂さんの寝相が悪すぎて眠れなかった・・・・・・」


主税「は?」


倫は鈴女の寝相の悪さに殴られたり蹴られたりして眠ることができなかったという。


主税「(氷堂さん、寝相悪いのか・・・・・・)」


こうして1泊2日のお泊り会が終わった。眠っている鈴女の表情はどこか嬉しそうな表情だった。


第9話「完」

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