第2話 スケルトン討伐

 路銀を稼ぐために冒険者登録した。

 最初に受けたのがスケルトンの討伐。

 古戦場があるためにスケルトンがやってくるのだ。

 一直線に村へは向かわないから、定期的に古戦場との間を討伐すれば、問題ない。


「あんた、スケルトン討伐を受けたのよね。私が一緒に行ってあげる。感謝しなさいよ。このプリシラ様が誘ってあげたんだから」


 神剣を使っているところは見せたくない。


「ええと、別に一緒でなくても良いけど」

「いいってことはオッケーよね」

「お断りだ」

「断るの。後悔するわよ」

「駄目だ」


「お願い、頼みます。一緒に行って。心細いの」

「最初からそう言えよ。俺の戦闘に関する事を口外しないと誓えるか」

「誓う」

「よし、じゃあ。魔法契約だ。【魔法契約、俺の戦闘に関する事を口外しない】」

「誓います。あんた、変人ね。魔法契約なんか使えたら、ギルドの職員になれるわよ。冒険者する必要なんてないじゃない」

「あんたじゃなくてクラフトな。まあ色々とあるんだ」


 魔法契約は鍛冶ギルドの職員に教わった。

 ギルドマスターが変わったら、辞めたけど、元気にしているだろうか。


 俺とプリシラは古戦場近くの森にやってきた。

 森は薄暗く不気味に静まり返っている。


「なんかでそうね」

「スケルトンぐらいだろ。後はゾンビかな」

「なんか嫌な感じがするのよね」

「気のせいだろ。俺は何にも感じないぞ。ほらお客さんだ」


 剣を持ったスケルトンが現れた。

 神剣の強さはどんな感じかな。

 俺は鞘ごと神剣を振るった。

 突風が吹いて、森の中に道が出来た。


「何よ、あれ?! いったいどうなっているの」


 俺も驚いた。

 よほどじゃないと、剣は鞘から抜けないな。


「俺の剣は凄いんだよ。魔法契約した意味がわかるだろう。盗賊に狙われたくないからな」

「分かるわ。もしかして聖剣なの。ねえどこで出に入れたのよ」

「作った」

「もしかして変態。鍛冶師極めた人がなにやっているのよ」

「色々あるんだ」

「そう聞かないわ。今日の報酬は半々ね」

「仕方ないな。荷物持ちぐらいしろよ」


「あっ、スケルトンが剣と魔石を落としてる。あっちにも」


 俺は剣と魔石を拾ってお札を貼った。

 手慣れた作業だ。


「ちょっと、なんで素手で触っているのよ。呪われたりしないの?」

「質問の多い奴だな。こういうのを扱う仕事をしてた」

「鍛冶師なら持ち込まれるわよね。でもそれはお札を貼ったやつでしょ」


 だんだんとめんどくさくなった。


「定期的に貼り換えが必要なんだ」

「へぇ、長く保管しておくのね」

「まあな」


 へぼギルドマスターが、長く保管させてたからな。

 それにしても、呪ろわれた剣がどこからきているか考えなかったが、ここからだったとはな。

 古戦場は100万の死骸が埋まっていると聞いた事がある。

 呪われた剣の供給が途絶えないわけだ。


「寒くない?」

「ぜんぜん」


「あっ!」


 プリシラが絶句して一点を見つめている。

 なんだ、人間の形をしたゴーストか。

 聖剣でゴーストは斬れると聞いた。

 神剣なら余裕だろう。


 俺は鞘ごと剣を振るった。

 道が新しく出来て、ゴーストは霧散した。


 レベルアップした。

 俺のレベルは幾つだったかな。

 数えてないや。


「凄いのね。レイスが一撃」

「まあな」


 レイスだったか。

 まあ何でもいい。


「まあなって! 100人ぐらいで挑むのが普通のアンデッドなのよ!」


 赤ん坊の頭ほどの魔石が転がっていた。


「興奮するなよ。魔石落ちているぞ」

「あんたが拾いなさいよ」

「あんたじゃなくて、クラフトな」


 俺は事も無げに魔石を拾った。


「順番が違う。お札貼ってから、拾うのよ。ちょっと、なんで平気なわけ。信じられない。きっと呪われているわ。すぐに帰って、鑑定してもらうのね」

「いや、平気だけど」

「駄目よ。今日は終り」

「仕方ないな」


 ギルドに呪われた剣と呪われた魔石を提出する。


「魔石拾った時に、呪われたかも知れないから、鑑定をお願いします」

「かしこまりました【鑑定】。からかってます? 呪い完全耐性がありますよ」

「そうなのか。最近、鑑定はしてもらわなかったからな」


「あんたマゾなの」

「あんたじゃなくてクラフトな。マゾじゃない」

「じゃどうやって完全耐性なんて身に着けたの?」

「なんでか分からない」


「あの、呪われた剣を扱う仕事してませんでしたか?」


 受付嬢からそう聞かれた。


「してたけど」

「やっぱり。受付嬢も呪い耐性スキルを得る事があるんですよ。事故でお札が剥がれたりしますから。それに、お札してても余波があります」

「そうか。思い当たる節はあるな」


 やばい事実に気がついた。

 呪われた剣-32768は邪神ぐらい危険だったのでは。

 余波で発狂するくらいに。

 だが、今となっては関係ないな。

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