第3話「不良娘パー子と照れ屋アヅマ①」【鬼のクトゥルフ編】

小春日和【鬼のクトゥルフ編】

エピソード3「不良娘パー子と照れ屋アヅマの小鬼日和①」


パー子「お、あのオタクくん、今日も漫画をかいとるのぅ~暇潰しに読んでみるか!どれどれ…」


ある日、幸せな家庭の藤本家に特殊部隊が入り拉致される、鬼の妹は実験体に、人間の兄は全身義体にされた、そして実験で妹を殺された心の傷を埋めるために、敵であるロシアの軍人女性を誘拐して、兄は股間についた鬼の金棒でお仕置きして子作りします

――これは女をさらい子供を産ませるナマハゲから着想にしたストーリー


パー子「うむ、有害図書じゃ、持って帰ってメルカリで売るか…」 

ツキタ「おい」


パー子「ここ、主人公の股間の作画がおかしいようじゃが?股間から幼虫やらビームやら出るし、なんじゃこれは」

ツキタ「うっせえ!おかしいのはおめーの頭だろ!おめーさ、昨日俺の自転車盗んだだろ!」

パー子「…」


パー子「わしじゃない、アイツがやったんじゃ」

??「はえええ!?」

ツキタ「んなわけねえだろ…こいつ自転車盗んだって、西海さんは、やってないですよね?」

アヅマ「あ、昨日うちの前に知らない人の自転車がおいてあった」

ツキタ「ほらな」

アヅマ「母さんがリサイクルショップに売っちゃったんだけど…」

ツキタ「ほらな…え?売った?」

パー子「最低な親じゃ!許せんのう!」


ツキタ「ないんですか?」

アヅマ「私が弁償しますから…」

パー子「泣くな、おぬしは悪くない…よーしよし」


ツキタ「なんか盗まれることはあったが、もう限界だわ、警察に言うから」

パー子「あーそうかそうか、わしは気の短い卑屈な男は嫌いじゃ!クソ童貞!」 

ツキタ「は?お前も処女だろ」

パー子「童貞童貞童貞!」

ツキタ「はいはい処女おつ」

アヅマ「あの!私のせいなんです!体で払いますから」


ツキタ「な、なんの冗談だよ?」

パー子「…ツキタちょっとこい」


パー子「あやつの家は子供が十人くらいおる、めっちゃ貧乏での、親が万引きで捕まったのは知っとるじゃろ、そのあとアヅマは小学生の頃からずっと体を売られとるんじゃ」

ツキタ「万引きは知ってたけど、体を売らせてるとか嘘だろ」

パー子「嘘はつかん」

ツキタ「だから俺の自転車を?西海さんが貧乏だからあげたのか?」

パー子「まあそうなる」


ツキタ「児童相談所に連絡する、もう二度と盗むなよ?」

パー子「…わかった、そうする」


付近の動物が狩られているニュース

鹿とか牛とか

角が密猟者に狩られているらしい

その数日後にうちの娘の片角も無くなっていた


ハルコ「なんでもないよ」

ツキタ「なんでもないわけないだろ、何で角を取ったんだ?なんか他の子に言われたのか?」 

ハルコ「公園でお姉さんと遊んでたら、角が欲しいってお願いされたの」

ツキタ「あげたのか?」

ハルコ「うん、別にそんな大切なものじゃないし」

ツキタ「その女、女子高生くらいで、髪がピンク色だったか?」

ハルコ「うん」

ツキタ「あいつ妹のツノまで盗みやがって…」


後日、学校にて

ツキタ「おい、パー子、妹の角を返せ!」

パー子「さあなんのことじゃ?」

ツキタ「しらばっくれんな、カバンなかに持ってんだろ返せよ!」

パー子「おいやめんか!」


ゴロゴロ…

ツキタ「は?なんだこれ…」

キャアアアア!ナンダドウシタ?

とクラス中が騒ぎだす


ツキタ「パー子、もう意味がわかんねえよ」

角がカバンの中にぎっしり詰め込まれてあった

パー子「あの漫画を描くお前なら、わかってくれると思ったんじゃがな」

パー子は角を拾い集めて、そのあと何事もなく授業を行ったが、放課後にパー子は親と一緒に生徒指導室に呼び出されることになった


事の経緯がわからず気になったツキタは生徒指導室の扉の前で聞いていた


パー子は角フェチらしい

角に異常な興奮を覚える特殊性癖で、前々からツノを集めていたらしい、親はそれを隠すように言っていたが、ここ最近はそれが抑えきれなくなっているらしい


もっとも本人がなぜツノに対して、異常な興奮を覚えるのか、小学生の頃から鹿の剥製のツノを股間に押し当てる悪癖があって、やめられないのだという、パー子の泣き声も聞こえていた、ツキタはこれ以上は彼女の尊厳にも関わると思った

「おい!先生が来るぞ!散れ!散れ!」

すると野次馬は消えていった


ツキタ「小学生の頃からツノフェチ…アヅマさんとパー子も小学生の付き合いで…なんか知ってるか?」

ハルコ「あのね、お姉さんに秘密にして欲しいって言われたけど、言うね」


ツキタ「男の子になりたいから角がほしい?」

ハルコ「うん、男の子になって、好きな子を守りたいから、って言ってた」


ハルコ「鬼の金棒じゃ!って言ってすごく喜んでたからあげちゃった」

ツキタ「あげちゃったってお前…」

ハルコ「ほら、こんなの生えてくるから減るもんじゃないし、あっ、あと二本もいらん、一本で満足じゃ!って帰ってったかな、じゃあ散歩いってくる」


ツキタ「鬼の金棒…俺の描いてた漫画の設定か…ツノを押し当てると興奮する…股間に、つまりあいつは、男性器がほしいのか?」


パー子「あの漫画を描いたおぬしなら、わかってくれると思ったんじゃがな」


ツキタ「男の子になって守りたいと思ったのは、小学生の頃に、西海さんと会ってから、つまりあいつは同性愛者で、しかもトランスジェンダーで、男口調になったのもそれからだ…」


後日、学校にて

カズヒロ先生「皆さん、パー子ちゃんから大事な報告があります」

パー子「わしずっと男の子になるのが夢じゃったから、先週フィリピン行って性転換してきて帰国したんじゃ、男子諸君、今後から男子トイレを使うから宜しくのう!

「ええええ!」

とクラス中がざわついていた

パー子「ほれ、お土産のマカダミアチョコ、おぬしの妹への礼じゃ、これはアヅマの分じゃからお前の分はない」

ツキタ「はいはい、チョコとか野郎からなんざ貰いたくねえよ、きもちわりい、ほら西海さん」

アヅマ「パー子ちゃんが男の子…(ドキドキドキドキ)」

ツキタ「西海さん?」

アヅマ「あ、ひゃい!」


象の形をしたチョコレート

あとでハルコにあげたら美味しそうに食っていた、パー子が角を盗んだことは学校と家族がなんとか示談して、少年院送りにはならなかったらしい

ハルコの角も生えてきてるし問題ない、もうそれ以上は深く考えないことにしたのであった、そう西海さんが大変なことになるそのときまでは…


つづく


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