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企画書ができあがって、それによりタイトルの方向性が決まった。
この辺りで一回全体ミーティングを持って置くべきだろうか。
そんなわけで今日は視聴覚室で企画書を広げて会議となった。
「企画書って初めて見る。ゲームの元なんだ」
「まぁまぁね。あとはこれを基にやるだけと」
「そう、それだけだけど、現場には魔物がいるのよ。すんなり行く方がなぜか少ないのよね」
理想主義の英梨々と現実主義の詩羽先輩が真っ向からぶつかり、加藤は企画自体が初めてというお登りさん状態。
俺はというと俺も商業としても同人としてもゲーム作りをしたことがないのは周知の通りだった。俺に力を貸してくれているみんなのためにもと意気込みだけ先走ってしまう。
「ええと、今の段階で何か疑問な点や不明な点はあるか?」
ピリピリしてきそうな雰囲気をなんとか前向きにしようと頑張って声を上げる。
「冒険ものとなるとマップが必要になるの?」
「RPGのようなマップは必要ないぞ。あくまでノベルゲームとして作るから」
「それなら街中やショップ前に城門前みたいな背景があればいい?」
「そうだな。まずはそんなものでいいだろ。町人や衛兵みたいなモブの立ちキャラが必要になるか」
「了解。分かった」
早速スケッチブックを取り出してそれっぽいラフを描き始めた。まだ会議中だぞ。言い出したら聞かないのは昔からだけどな。
「冒険譚なんて作風としてもあまり経験がないから、そういう意味でも冒険になるわね。お使いクエストとか、いろんなネタが必要になるわよね。イメージしているゲームがあるなら一度プレイしてみてもいいかしら?」
「それならやっぱり王道のがいいですね。世界を征服しようとする悪い魔王を倒して行く勇者みたいのかな。いきなり戦いを挑んでも勝てないから、世界各地を巡って強力な武器や防具を集めて、魔王の手先を倒してレベルアップする。そしてとうとう魔王との対面から決戦を経て勝利する……」
「かくして世界に平和が訪れ、勇者はお姫様と結婚すると。そうなると『各地を回る』『強力な武器や防具を手に入れる』『魔王の手先を倒す』などの過程とレベリング、ダンジョンの踏破など『お使いクエスト』になると」
「冒険の末にメインヒロインと結ばれるという点ではそうなりますね。だけどどうして、お姫様と魔王の手先に部分で周りを見るんですか」
「それは参考に」
「何の参考!?」
「分かってるくせに」
冒険のテーマは青い鳥探しだから魔王なんて登場しない。あくまで冒険のエッセンスということでだね。
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