ミーティングのこと
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あれから詩羽先輩は何度か企画書を読み込んでから、少しベッドを借りると言って寝てしまった。
立て込んだ状況になると、まさに寝ている時間などない! ということもあるらしいけど睡眠は記憶の整理も兼ねているとのことだ。
だから「書く段階」ならまだしも「企画段階」ならば一度寝て内容を整理するのがいいかもしれない。
静かな寝息を立てる先輩を見ていつぞやの逆襲をと思ったり、その後のことを想像して恐ろしくなったりしながら、よく男のベッドで寝られるものだ思ったりした。
俺は改めて「青い鳥」の話を読んでみることにした。
「青い鳥」は外国の作家が書いたお話を日本語に翻訳したものだ。
クリスマス・イヴの夜に、魔女のお婆さんから青い鳥を探して来てほしいと頼まれた。それで貧しい木こりの家の兄妹のチルチルとミチルが、色々な国や場所に行って青い鳥を探すという物語。
木こりの家の兄妹は行く先々のそれぞれの国でそれらしい鳥を捕まえのだが、色が変わってしまったり死んでしまったりして連れて帰ってくることが出来ない。とうとう捕まえることができずに家に帰ってくると家に青い鳥がいたという結末だ。
一時期、青い鳥症候群とか不遇な自分を嘆く風潮があったとか。
そこから『七つ集めると凄い玉』とか『存亡の危機に瀕した国を救う黄金の杯』とか、そんな、なんでも願いが叶う的な要素が付け加えられていったらしい。
舞台となる異世界は剣と魔法とドラゴン(イメージ)だから、それくらいやっても許されるだろう。
また俺は次の段階のことも考えておかないとな。
シナリオとイラストだけではゲームはできあがらない。
きちんとゲームという箱に入れて動くようにしないといけない。
要はプログラムを組んで実行できる状態にする。これだ。実行環境について最近はパソコンでもスマホでもいいけど、やっぱりパソコンの方が多いな。
本を閉じてパソコンでゲームエンジンについて検索する。昔よりかは簡単に作ることができるようになっているみたいだ。素材ファイルを選択したり、ドラッグ&ドロップで背景やキャラクターを立たせることができるみたいだな。
見た目には簡単そうだけど、やっぱりやってみると色々と大変なんだろうな。だがそれはやってみてからいえばいいだろう。
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