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 詩羽先輩と意見を交わすことどれくらいか。

 外は真っ暗だった。部屋に来た時はまだ夕方だったのに。

「はい。保存。とりあえずプリントアウトして読み返してみましょう。どれだけ粗が見つかるか楽しみね。ふふっふ、ふふふふ」

「こわい。お手柔らかにね!?」

「嫌よ」

 なんと、にのべもない。まぁそれでこそ詩羽先輩なんだけど。

 そして出来上がったのがこんな感じだった。




■タイトル  倫理くんによる倫理くんの自己満ギャルゲー(仮)


■ジャンル  ADV & ブロック崩し(クリア後)


■コンセプト 冒険&恋愛&現代帰還


・ヒロインとイベントを通して親密になる従来型の恋愛アドベンチャー。

 冒険要素を取り入れるために異世界転移からの現代帰還劇とする。


・内容的にはエ○○ロと青い鳥を合わせたような冒険。

 さまざまな街や国へ行き青い鳥の行方を追う。(いわゆる、おつかいクエスト)


・冒険を通じて、相互理解から信頼が生まれ、恋慕に昇華していく様子を描く。

 大切な存在ができたことで必ずしも現代帰還が正解ではないのでないかという主人公の葛藤も。



■システム クエストとイベントでの行動選択の成否


 クエスト内でイベントが起こり、主人公の選択肢による行動でフラグ管理をしてクエストの成功と不成功を、ヒロインの好感度の上昇程度を決める。

 クエストは成功しなくてもゲームオーバーにはならないが、ヒロインの好感度はあまり上がらない。

 しかしあまりクエストでの失敗が多いと、ヒロインの好感度が高くてもエピローグでバッドエンドとなるようにする。

 そのため一定数はクエストにおいて成功をしておく必要がある。

 エピローグまではゲームオーバー(その先に進めない)は起こらない。


(エピローグでのバッドエンドは、異世界の神様が怒って異世界から追い出される形で現代帰還をして救済ヒロインと結ばれる)   



■主題歌名「 colorful destiny 」

(歌詞:倫理くん 歌:加藤さん  未定 )

(実際に組み込むかも含めて要検討)



■舞台 現代世界と転移先の異世界


 現代世界 現代日本の地方の町。(人口はおよそ20万人くらい)


 異世界  いわゆるファンタジー世界。剣と魔法とドラゴン(イメージ)

   

■キャラクター


 ヒロインは4人。

 武器屋の娘 と 吟遊詩人 と シスター と ギルドの受付


 武器屋の娘は、家督を譲り受けるために見聞を広める旅に出る。ムードメーカー。

 吟遊詩人は、歌(または戯曲)で路銀稼ぎ。つまりは財務担当。

 シスターは、主人公に巻き込まれる形で青い鳥を探しに出ることになる。メインヒロイン。

 ギルドの受付は、世界各地の青い鳥の伝説の真偽を自分の目で見たみたいとギルドを辞めてきた。交渉担当。


 主人公とヒロイン4人で青い鳥を探す旅に出る。 



 主人公   瀬川浩司(せがわ・こうじ 18歳)


 異世界では「コウジ」と名前だけ名乗っている。

 現代ではこの春に高校を卒業したばかりの新社会人。

 その年の夏、レジャーで山登りに来て足を滑らせて落ちた。

 性格は普段は温厚。だけど自分の好きは分野については周りを圧倒するほどの興味や関心に加えて集中力もみせる。



 武器屋の娘 サリー(18歳)


 主人公の異世界での交友関係においては、勇者パーティを除いて一番の古株。

 初来店時に買ったのはダガーと量産品のロングソードだった。

 主人公が青い鳥を探しに出ると聞いて、一緒に同行することを決意する。


 「旅は道連れ、世は情けって言うでしょ。さぁ行きましょう」



 吟遊詩人  ヴィオラ(19歳)


 親が両替商をしていた。その影響でお金にはかなりこだわる。

 また両替をしにきたお客から聞く色々な話(旅のエピソードや苦労話)が好きでそれが高じて吟遊詩人(自分も書いたり歌ったりする人)になった。

 親のあとを継いで両替商になるつもりはない。


「血湧き肉躍る冒険の始まりね。どんな話になるのかしら」



 シスター  ユリアス(18歳)


 主人公に「青い鳥の伝説」を聞かれたことで、主人公の現代帰還のための旅に巻き込まれる、ある意味で不運な境遇のシスター。

 本人はいたってフラットで、旅への同行について「これも人助けの一環」と捉えており他のメンバーにも、いつも通りのフラットさで接する。


「わたしは青い鳥がいてもいなくても、どっちでもいいんだけどね」



 ギルドの受付  カトレア(20歳)


 異世界の冒険者ギルドで受付をしていた。

 来る日も来る日もギルドの受付の毎日に少し退屈さを感じていた。

 そこに「青い鳥の伝説」を求めて旅に出る主人公たちに「これは!」と思って主人公たちに同行するため、ギルドを辞めてきた。


「何かと便利だと思いますよ私がいると。え? 邪魔?」



 救済ヒロインとして一緒に山登りをしていた幼馴染。


「山から落ちるなんてバカね。やっぱり浩司は私がいないと何もできなんだから」



■プロローグ(現代)


 時期は夏を前にしたレイニーシーズン(6月くらい)から始まる。

 ごく普通の高校生だった主人公は、ごく普通に単位を落とすこともなく、ごく普通に卒業した。

 心残りがあるとすれば、やっぱり高校生といえば浮いた話の一つも欲しかった。

 しかし自分の好きな分野の話なると、マシンガントークが止まらなくなるため、その話題を避けて接する人がほとどんどになってしまい、そんな展開はほぼ訪れなかった。

  

 そのことをよく知っている主人公のおさななじみでさえ、学校では距離をおいていた。

 学校の外では普通に話もできたし、休みの日には一緒にでかけたりもしてた。

 その一つが今回の夏山登山だったわけだ。他に出かける奴はいないのだろうか。


 そして、その夏山登山で俺はこちらの世界では行方不明となるのである。



■共通ルート及びプロローグ(異世界)


 主人公は勇者パーティを解雇された傭兵。

 現代から転移してきた。夏休みにレジャーで山のぼりにきていた。

 足を滑らせて転落する。ここで異世界へ転移する。現代では行方不明扱いで死亡扱いはされていない。

 勇者パーティに参加していたのは、勇者パーティのが自分たちの名を上げるためのボランティア。

 100%相手の打算だったが、それでもこの時は俺はとても助かった。なにしろ、異世界で天涯孤独になったわけだし、衣食住に深刻に困っていたからだ。

 その後はギルドのランク昇格を受けたことで目的を果たし終えた勇者パーティは主人公を容赦なく厄介払いをした。


 当面の生活手段も無くなって途方に暮れた主人公は、とりあえず教会に相談へ行く。

 教会では教会で預かっている孤児たちに絵本を読み聞かせをしているシスターを見かける。

 修道服を着ているわけでもなく、普通の町娘にしか見えないそのシスターの話に主人公は興味を抱く。

 その時の話が「青い鳥の伝説」で、見つけることができると願いが叶うというものだった。

 主人公は「青い鳥の伝説」を頼りに現代への帰還をしようと行動を開始する。


 実は世界各地に「青い鳥の伝説」は存在していた。

 街があれば必ず教会も一つはあるもので、教会の数だけ伝説もあったのである。

 立ち寄る町々で教会のお手伝いや聞き込みなどで情報を集める必要があった。

 その過程はクエストとして現れる。




●シスター(ユリアス)ルート

 

 今日も今日とて青い鳥探し。いい加減よく飽きないものだと感心しながら、後をついて行く。

 もはや日常と化してきたこの感じ。初めは巻き込まれたからだったが、いつからかそれだけではない思いを持つようになった。

 このまま旅が続いてほしいような、早く見つけてほしいような。

  

「もし、青い鳥が見つかったらコウジくんは元の世界へ帰るんだよね? わたしはどうしたらいいのかな?」

「元の生活に戻ればいいだろ。本当にユリアスの献身はシスターの鑑だと思う。感謝しても感謝しきれないな」


 そこでユリアスが打ち明ける真実。それはユリアスはシスターではなかった。

 偶然その日、子供たちに読みきかせを頼まれた町娘Aだったのである。

 本来のその役割だったシスターは至急の用で出かけることになってしまったのだった。


 どうして今までそのことを黙っていたのか。どうして今になってそのことを打ち明けたのか。

 二人の間に微妙な空気が流れながらも青い鳥探しは続いていく。本当は途中からわかっていた。

 それを言ってしまえば唐突に終わりを迎えてしまう。それが嫌だったことに。だから言えなかった。


 そんな中、ついに青い鳥が見つかる。

 旅の終わりを惜しむ二人。


「見つかっちゃったね。おめでとう。よかったね。見つかって」


 その一言で浩司は決意する。


「この鳥はユリアスのものだ。俺にとっての青い鳥はユリアスだったんだ」

「コウジくん?」

「ユリアスがシスターでないのなら、誰に気兼ねすることもない。好きだ、ユリアス。きっと、ずっと前から好きだった」

「コウジくん……」

 

 二人を祝福するように青い鳥が大きな声で一回鳴いた。




 うーん、いきなり凄いものができるわけもないけど、努力と議論の成果はあったと思うけどな。

 さすがに全面的にダメということはないだろう。

 あるとすればシナリオではなくゲーム化に際する技術的な問題だと思いたい。

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