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俺にしても詩羽先輩にしても目新しいもののない俺の部屋。
パソコンも円盤も撮り溜めたアニメも漫画も。
でも俺はそれどころではなくて。なにかいけないことしようというわけじゃないし、そもそも先輩がここに来たのは打ち合わせだから。
「ここなら周りを気にしないでとことん話すことができるわね。まずはどうしてこんなことになっているの?」
「あぁ……これは加藤にもう少しメインヒロインの自覚を持ってもらおうと思って。学校でも少女漫画とか読んでいたりしてヒロインのなんたるかを感じようとしているようだったから」
「そう。タイトルは?」
「『彼氏彼女の〇〇』と『廃執事はお家復興の夢を見るか』だった。けど関連性が見えなかったから折角なら三題噺でもとなったわけで」
「百歩譲ってそういうことにしましょう。でも倫理くんにはもっとやるべきことがあったんじゃないの?」
これ以上突き詰めてもなにも出てこないと思ったのか先輩は質問を変えた。
「お題は加藤さんと向こうの女にも渡っているなら止めてしまうのは逆に手間よね。だから私の方でも預かっておくわ。それじゃ本題の企画の確認に入りましょうか」
もともと挙げていた内容は加藤をメインヒロインにしたギャルゲーを作る。それだけだった。普通に考えれば鼻で笑われるような寝言に力を貸してくれている。とてもありがたい。だから俺も思ってけど、どうやら先走ってしまったみたいだ。俺のやらないといけないこと。それは今は企画書の見直しだった。
「俺が動かないとなにも始まらないんだな」
「何を今さら」
「そう今さらなんだ。よしやろう」
「私は最初からそのつもりだけど? ある程度のたたき台はあげる。でも詳細は倫理くんが決めるのよ。あなたのゲームなんだから」
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