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「オタクが喧嘩に勝つという意外性があってもいいけど、あのヒロインがそれで動くかしらね?」

「災害救助のごとく普通に手当はしてくれるでしょうけど、祝福とか感激はしてくれなそうですね」

 そういうやつだ。安定感が半端ないんだ。

 少女漫画に良くあるような「世界の破滅と相手の男キャラを天秤にかけて男キャラを選ぶ」ような感じでもない。でも……

「僕と契約してメインヒロインになってよ」という話には乗ってくれた。わざわざまでして。

 だからこそ二人とも手を貸してくれる気になったみたいだし。

「そういえば先輩、こっちじゃない原稿の締め切りとか大丈夫なんですか?」

「気にしてくれるの? それなら大丈夫よ。キャラの深掘りや気分転換に短編を書いてみたりしてするのとあまり変わらないから」

 なんという無駄がない。と思うもさっきからあまり先輩の手は動いてない。そいう俺もあまり進んでいるわけじゃない。俺がしっかりしないといけないのに。

「共通ルートは他愛ない日常からの個別ルートへの誘導で問題ないわよね?」

「はい、大丈夫です。あと先輩は漫画とか読まないんですか?」

「漫画?」

「ノベルじゃなくてコミックですね」

「どうかしら。すぐにタイトルを思い出せない程度には読んでるわ」

「印象に残るようなタイトルがないということですかね」

「かもね」


 そんな話をしばらくしていたら予鈴が鳴った。

「もう下校の時間になるのね。今日はお開きでいいかしら」

「そうですね。お疲れさまでした」


今日の進捗 先輩のおかげでちょっと進んだ気がする

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