言霊

saito sekai

言葉は人生を構築するのか?



ここはある店。名前は「GEN海(げんかい)」だ。リーズナブルな値段の飲み屋で、いつも賑わっていたが、だいぶ変わった所がある店でもあった。配膳しながら、息絶え絶えの演技、「ああ…これが私の限界かもしれない…」等と言ったり、厨房では、フライパンを握りながら、「ああ…なんて重いのだ…限界だ…」そして働きながら、「ああ…もう生きるのが限界」と死んだふりをする店員もいるのだ。そのパフォーマンスが面白いと口コミで広がり、店は繁盛。限界作戦は成功したのだ。テレビでも取り上げられ、店員の中にはタレントとして、成功する者も出てきたが…


しかし、その店は直ぐに潰れた。「限界演技」は直ぐに飽きられ、正に経営も限界になったのだった。


閉店の貼り紙の前で、限界芸でプチブレイクした男が、ボンヤリしていたが、やがてボロボロの自転車で、去っていった。           END

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言霊 saito sekai @saitosekai

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