御礼

屋上から教室に戻ると。


奥原さんがいなかった。

何でも、体調が悪くなった、とかで保健室に避難したらしかった。


専ら俺の悪口が休み時間に囁かれていた。


山吹があげたおにぎりで具合が悪くなったらしい、と。

悪くなっていたんじゃないか、と。


まぁ、その。


朝炊いたおにぎりで多分、食中毒なんてことはないと思うんだけど。


俺はピンピンしてるしなぁ。


眠くなる古典の時間。

おじいちゃん先生のぼそぼそ声が。

子守唄に聞こえてきて。

俺は迷わず机に突っ伏して眠ることにした。

気が付けば。


授業終わりのチャイムが鳴り、

みんながトイレに行くなり、次の授業の準備をするなりで、周りはいそいそとし始めていた。


俺は次の数学の時間も眠かったから結局寝た。


最後の6時限目の授業終わりまで、

俺は寝た。


奥原さんはこの日の最後の授業おわりまで、

結局戻って来なかった。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る