第2話 ゴブリン
そうですね。まずは身近な魔物の話にしましょうか。
ゴブリンとか、どうでしょう? 見たことありますよね?
ゴブリンって、とても繁殖力が高いんです。ある日ある場所で、2匹のゴブリンを見たら、その1ヶ月後には、200匹になっていることも不思議ではありません。
どうしてアレらがそこまで繁殖できるか知っていますか? アレらは別にゴブリン同士でなくても繁殖できるんですよ。
つまり、他種族を捕まえてきて繁殖する場合もあるのですよね。
だから、冒険者の皆さんにとってもそれなりに怖い存在なんですよ。特に、初心者さんにとっては。
私達駆除隊の仕事はゴブリンの駆除と同様に、そういった新人冒険者の救出も仕事の一環だったりするのです。
最近の仕事ですと、ダンジョンで繁殖しすぎたゴブリンの駆除でしたね。そのダンジョン、初心者でも簡単なダンジョンって言われていたんですが、ゴブリンがかなり繁殖してしまいましてね。
複数の冒険者パーティが行方不明になっていたりして、問題になっていたんです。それで、私達の出番というわけです。
ダンジョンに入ってすぐにゴブリンに出会いました。しかも、10匹。これでは新人冒険者は堪りませんよね。
まぁ、私達は出会った端からゴブリンたちを駆除していきました。それで、副隊長……、あぁ。失礼。私の部下ですけれど。彼女がゴブリンの巣を発見したんです。
そして、駆除隊で一番体の大きい突撃隊長が、巣に突っ込んでいってくれました。巣には100匹……200匹くらいゴブリンがいたと思いますね。
大体10分で駆除は終わりましたよ。まぁ、それなりに大変な仕事でしたね。
問題だったのは……救出対象の冒険者の方でした。
その方は女性だったのですが、小さなゴブリンの幼体を抱えて怯えていました。
おそらく、運良く生き残った新人冒険者の方だったのでしょうが……ゴブリンの幼体を抱えていたというのはそういうことですよね。
彼女は最初、その幼体をまるで実の子供のように守るような動作を見せていたので、私も困ってしまいました。
そこで、とりあえず、副隊長に彼女を落ち着かせるようにして、ゴブリンの幼体は私が預かりました。
え? 預かってどうしたのかって? ……フフッ。もしかして、残酷な展開を予想していますか?
いえいえ。大丈夫ですよ。そんなことはしていません。しっかりしかるべき対応をしましたよ。
どんな対応、ですか? そうですね……。
アナタは知らないかもしれませんが、ゴブリンの内臓って、滋養強壮に良いらしいんですよね。しかも、幼体なら尚更効果抜群だとか。おかげで私は今日も調子が良いですよ。
救出した冒険者の方も、その後のカウンセリングで段々と元気を取り戻してくれているようで、何よりです。
おや? 大丈夫ですか? 少し顔色が悪いですよ? 良ければ、私が服用している滋養強壮剤を……え? いらない? そうですか。
では、次の話をしましょうか。
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