(4)『眠れない夜に怖い話を集めるスレ』
『774:夕暮れ通りの名無しさん
>>628ってまだあるのか
一本松公園の近くの一軒家だよな?俺が厨房の頃からあるわ
一本松公園ってのは近所のガキが勝手につけた名前で、本当は立派な名前がついてるんだけど誰も呼ばなかったのね。でもみんなそう呼んでた。まあこの話はぜんぜん関係ないんだけど
で、問題の家はワンブロック先にあるんだけど、坂の上にでも建っているのか、遊具に登るとちょうど見えたわけ
その日、俺らは遊具で鬼ごっこ(遊具から落ちたら問答無用で鬼になるってやつで、結構流行った)してたんだけど、そのうちの1人が突然、「人がいる!」って公園の外を指差して叫んだんだ
そいつをYと呼ぶけど、Yはそれっきり固まっちゃって鬼ごっこどころじゃなくなって、とりあえずYがいる遊具のてっぺんに登った
みんなしてYが指差す方向を見た。その先に、例の家があったんだ。もう蔦とか絡まりまくってて、しかもなんか暗い。廃墟、までとはいかないけど明らかに人が住んでなさそうな家があった
俺は「あんなボロ屋に人がいるわけないだろ」とか笑って信じなかった。鬼に追い詰められそうになったYの出まかせだと思ったんだ
でもYはぜんぜん譲らない。じゃあ見に行って確かめようって話になった。今思えば、超不自然だよな。俺はあの家が廃墟ってことを知らなかったし、もし廃墟じゃないなら、家に人がいるのは当然だ、でも、あの時の俺らは確かめにいくことに、なぜか躍起になっていた。たぶん、すでに呼ばれてたんだと思う。あの家に
804:夕暮れ通りの名無しさん
>>791埼玉県ではないけど、関東近隣とだけ言っておく
続きだけど、家の前まで行ってみても不思議と怖いとか変とか、そういう気にはならなかった
レンガ造りの二階建てで、門から玄関の間までに大きな庭があったのを覚えてる。庭には美術とかで使う絵を置く木の枠が転がってた
遠くで見た時からわかっていたけど、壁はやっぱり蔦だらけ。カーテンは引かれてないようだったけど、窓は真っ暗で外から中の様子は伺えそうになかった
とにかく、一見普通の家なんだよ。本当にあったなんて驚いているやつもいた
俺はお化け屋敷かも! なんてワクワクしてただけにすっかり興味をなくして、早く戻って鬼ごっこの続きがやりたかった
ただYだけは違ったんだ。あちこちの窓を指さしては「あっちに人影が」「今手を振ってなかった?」と俺たちに聞いてくる
そのうち、一緒に来てた別のやつが「そんなに気になるならちょっとピンポンしてこいよ」って茶化したんだ。そいつはニヤニヤ笑ってたから、俺たちはすぐ意図に気づいてYを煽った
もし住人が出てきたら一斉に逃げ出す。ピンポンダッシュするつもりだったんだな
なぜかインターホンは門ではなく玄関のほうに着いていて、ピンポンするには敷地に入るしかなかった
Yは渋々という感じで庭に入って行き、玄関の前に立った。俺たちは固唾を飲んでYの様子を見守った
そうしたら、Yはピンポンを押さず、ドアを開けて中に入っていったんだ。俺たちは唖然としたけど、すぐに勇気あるYの行動を賞賛した
これであいつは明日クラスのヒーローだ。何か盗んできたら学校中で噂になる。俺たちは英雄の帰還を待ち望んだ
だけど、待てど暮らせどYは出てこなかった。心配した1人が恐る恐るドアの前まで行ったんだけど、すぐに戻ってきてこう言ったんだ
「鍵が閉まっている」
俺たちは気味が悪くなって、その場を逃げ出した
924:夕暮れ通りの名無しさん
774です。このレスでおわる
結論から言うと、Yは帰ってこなかった。不法侵入がバレるのを恐れた俺たちは最初黙ってることにしたんだけど、Yの親から俺の親に電話がきて、つい白状したんだ
最初はめちゃくちゃ怒られたんだけど、警察沙汰になってすぐにそれどころじゃなくなった
警察が踏み込んだとき、鍵はかかっていなかったらしい。扉を開けると、そこかしこに絵が飾ってあったそうだ。どの絵も破けていたり、黒ずんでいたり、どれも壊れていたらしい
ただそのひとつに、いなくなったときのYそっくりの人物が描かれた絵があったそうだ
俺はもう、あそこには行けない』
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