第3話 班決め(目指せハーレム)


 「えーっと、今日は皆さんにひとつ決めて貰いたいことがあります!」


 担任のマーガレット先生がパチンと指を鳴らして教室の前にあるボードに文字を映した。

 これが魔法なのか?

 だとしたら随分と便利だな。


 「説明するのも面倒臭いからコレ見て、理解してくれると先生嬉しいです」


 見た目は結構可愛いのに、めんどくさがりなのが玉に瑕だ。


 「なんか遠足してモンスターを皆で倒す、みたいなこと書いてありますね」


 リリアが代わりに読んでくれた。

 マジでクラスに俺の知る人がいたのは助かる。

 なかみが違うから、クラスメイトは皆、他人みたいなもんなんだよな。 

 この身体自体は、交流があったみたいだけど話したことの無い俺自身は、少し身構えてしまう。

 気楽に話せるのは、ポンコツメイドのリリアくらいだ。


 「はーい、内容把握出来たかな?というわけで四人くらいで班を作っちゃってください!」


 あとは任せるーと言うと先生は教室を出てどこかへと行ってしまった。

 放任主義もここまで行くと、やる気が無いだけなのでは?と疑いたい。


 「さて、一緒の班になる人達を誰にします?他に組みたい人がいらっしゃるのなら私はほかの班に行っても構わないですよ!」


 リリアも人柄がいいからか、色んな人と交流があるっぽい。


 「リリアは私と一緒じゃ嫌かしら?」


 コイツに他のとこ行かれちゃうと、俺が困るんだよなぁ。

 というわけでリリアを他の班に入れるという選択肢は存在しない。


 「え!?今、私と一緒がいいってそうおっしゃいました!?」


 拡大解釈しすぎだろ……どうしたらそう聞こえるんだよ。


 「言ってないわ」

 「嬉しすぎて泣いちゃいますよ!?もう、一生ついてきますね!」


 あの〜俺の言ったこと聞こえてたか?

 リリアは勝手に盛り上がっている。

 ルイーザの記憶だと一番仲が良いのは、ヘンリエッタ嬢とクレア嬢らしい。

 俺自身は、見たことないから視線を泳がせてルイーザの記憶を元に教室内を探す。

 お、あれがヘンリエッタか、体育会系な見た目をしていて、ナイスなおっぱいをお持ちだ。

 はい、採用決定!

 で、あれがクレアか。

 ちょっぴり気の強そうな見た目してるけど、おっぱいはそれに反してちっぱいか。

 まぁ俺は、巨乳もちっぱいも両方等しく愛せる度量の大きな男だからな!

 ってダメだろこんなんで選んでたら!

 心は男のまま女性の身体を得てしまった弊害なのか、すぐにおっぱいに思考がシフトしてしまう。

 もうどうせだったら心まで女になりたかった……。

 そんなことを考えていると


 「ルイーザさん、僕と組まないかい?」

 

 ことある事にルイーザに絡んでくるらしい男に、名前は……えーと……アルベルトが絡んできた。

 俺のハーレム班計画を邪魔しやがって!


 「あらごめんなさい。私、もう班員に他の人をお誘いしてますの」


 淑女然として丁重に誘いをお断りする。

 その間にリリアに視線を送った。

 リリアは頷くと俺の意図することを察してくれたのか、ヘンリエッタとクレアを呼びにいった。


 「この僕よりも魅力的な男がいるのかい?」


 妙に鼻につくキザったらしい仕草でアピールしてくるアルベルト。


 「呼んでくれてありがとう」

 「お招き感謝致しますわ!」


 リリアはヘンリエッタとクレアを連れてきた。

 ポンコツだけど、こういうときは分かって行動してくれるのがマジで助かる。


 「チッ、伯爵の令嬢風情が僕の恋路を邪魔しやがって!」


 二人を見たアルベルトは、そう吐き捨てると去っていった。


 「あぁ言うやつ、マジで嫌いだわ」


 身分的な差別発言しやがって。

 どっちも可愛い女の子だろうが。


 「ルイーザ様、その口調どうなされたのですか?」

 「確かに変わっておられますわね」


 あ、ヤベぇ……またしても素が出てしまった。

 今度は、なんて取り繕おうか。

 余計な言うじゃねぇぞ、ポンコツメイド。

 俺はその意思を込めてリリアに視線を送る。

 リリアは、わかりました!とばかりに頷いた。


 「実はですね、ルイーザ様はカッコイイ男性に憧れておられるのです!」


 お前ぇぇぇぇぇぇっ!

 余計なこと言うなって意味で視線送っただろうがぁぁ。

 全ッ然、わかってねぇじゃねぇか!

 やりましたよ!とでも言いたげにリリアはサムズアップをかましてきた。

 やらかしましたよ、の間違いだろ……それ。

 これでますます言い訳するのが大変になったじゃねぇか。


 「それならやっぱり僕の番だね!」


 どこで聞いてたのかアルベルトが戻ってくる。

 お前は、カッコよくねぇし邪魔なんだよぉぉぉっ!


 「呼んでないですわ」


 アルベルトから即座に目線を逸らして、興味無いですよオーラを全開で醸しておく。


 「Oh……つれないところがまたイイ!」


 そう言い残してアルベルトは去っていった。

 

 「公爵の子息相手には強く出れるルイーザ様、本当にかっこいいね」

 「そう思いますわ!」


 アルベルトを追っ払ったことで、結果としてリリアの発言は、肯定的に捉えられたらしかった。

 まぁ、終わりよければ全てよしってことだな。

 

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TS公爵令嬢は、自由気ままに異世界を生きる〜転生したら勝ち確人生を手に入れたんだが〜 ふぃるめる @aterie3

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